すっかり書きかけ放置してしまった。。
今更ではありますが、
今年は向田邦子女史没後40年とのこと。先日、特集番組を拝見しました。
大変面白かったです。
(陳腐な感想で恐縮)
爆笑問題 太田光氏
黒柳徹子さん
女優の美村里江さん、酒井若菜さん
作家の小川糸さん、有川ひろさん
熱烈な向田邦子ファンの面々が思い思いに自分の大好きな向田邦子女史について語る
愛溢れる番組。
「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」、私も大好きな「向田邦子新春ドラマシリーズ」などを製作されていたドラマのTBSならではの企画だったように思いました。
太田光氏が紹介された
「時間ですよ」の西城秀樹と大楠道代の淡い悲恋の回の描かれ方は衝撃的だったし。
ミムラさんのマハシャイマミオの朗読は楽しかったし。
中でも、酒井若菜さんの向田邦子ファン必聴の講演録音「言葉が怖い」のお話しは、「えーっ!知らないー!」と
エセファンの私としては、大変好奇心をくすぐられました。
というわけで。
今となっては絶版となったCDを探して探して。💦
やっと隣町の図書館で発見いたしました。
ありがとう図書館!
ありがとう◯◯区!
感謝しながら聴き入りました。
丁寧でありながら軽妙な語り口。
ユーモア溢れる
お話しの数々を堪能。
簡単に内容の覚え書きをメモメモ。
「言葉」をキーワードに話が膨らむ膨らむ1時間半でした。
喋ったり、思ったり、書いたりするのが言葉。使うほどに怖くなる。
実はあまりたくさん言葉を使っていない。意外に喋る言葉は、貧しいんじゃないか。
書いた言葉は消しゴムで消せるが、口から出た言葉は消すことが出来ない。
いけないと思って、謝ったりしても人を傷つけて取り返しがつかなくなってしまったりすることが、怖い。
言葉は諸刃の剣。丁寧に考えて使わないといけない。
向田さんの時代には、もちろん今のSNSはないわけで。
「書いた言葉」が公の目に触れるものであれば、必ず誰かの目や手が介入し、問題があれば良くも悪くもそこでストップがかかる時代。
また、「書いた言葉」を個人的に誰かに手紙として送りつけたとしても、その人がそこで捨てればそこでストップ。
ある意味、当時は
「書いた言葉」によって、やたらに感情を垂れ流さないセーフティネットが自然と機能していたのかもしれません。
だからこそ、出てしまったら取り返しがつかない.消しゴムで消せない「話し言葉」が「怖い」ということでしょう。
そして、SNS全盛の現在。
書いてから人の目に触れるまでに、時間を要することも、誰かに確認してもらうこともなく、話し言葉と同じ速度、同じ次元で「書き言葉」が飛び交っています。
ひとつの投稿が原因で、人が自ら命を絶ったり、人の人生を狂わせたり。
向田邦子女史が危惧されている「言葉は諸刃の剣」という思いが、今は更に「言葉」全体に広く深く広がっていることに気付きます。
むしろ、面と向かって言う「話し言葉」の方がブレーキがかかり、顔の見えない「書き言葉」の方が殺傷率の高い武器になってしまった感もあり。
だからこそ、「言葉」についていろいろな切り口から語られたこの講演は今聴いても全く色褪せないのだと思うのでした。
日本人と外国人の言葉に対する考え方の違いが面白い話。
旅先でほんわかした言葉に関するエピソード。
ふとした時に気の利いた言葉がかけられる人が素晴らしい。
相手を傷つけない言葉をサラッと言う渋谷駅の駅員さんに惚れた話。
森繁久彌翁の三浦友和山口百恵夫妻の結婚式スピーチが素晴らしかった話。
森繁久彌翁が、とある番組の打ち上げパーティーでさりげなく向田邦子女史を慰労してくれた話。
短くてピリッとしたスピーチは素敵だ。
動物の話。
言葉を使わない動物が喜怒哀楽をもって周りにいることに安らぎを感じる。
英語しかわからないボクサー犬を飼うことになった鳶の親方とのエピソードから「言葉」を理解する手がかりを得た話。
子守りをするケニアのおばさんライオンから考えるライオンのコミュニケーション方法。
象の行列の序列はどうやって決めるのか
何で自分たちのうんちを踏まないのか
象の群れから考えるコミュニケーション方法。
動物はボディランゲージで伝え合っているのではないか。
向田さんの飽くなき好奇心。恐るべし。
日常で触れる言葉の話
下町の都電を見に行った時に会った女の子が「じれったいなぁー」という言葉を使っていることに驚き。
じれったい→ちょっと色っぽい印象を持っていた女史だが、サラッと使いこなす少女を見て不思議に感じた模様。
使い方にこだわり過ぎると言葉が痩せてしまう。(この表現、面白い。)
「じれったい」と子どもが話すドラマを書きたい。
落語の話。
言葉の宝庫。素敵な日本語。
古今亭志ん朝の「火焔太鼓」
オチの「くすぐっちゃおう」に人間の可笑しみがある。
自分では書けないセリフ。頭が下がる。
一度聴くと忘れない名セリフ
シェークスピアやコマーシャルに出てくる
ものもたくさんあるが、
本当にいいセリフとは聴くとすぐ忘れてしまう。フッと気持ちが和むセリフ。
一言で小言を忘れられるセリフ。なのではないか。
菊池寛の講演会を聴きに行った時の印象的な話。
自分の名前は寛大の寛。
「人には寛大、自分には峻厳」でありたいと語った菊池寛の温かさが伝わるエビ。
人に小言を言うときは悪いことを先に言っていいことを後に言うと気まずくならない。悪いことが心に残らないように、
なるべく悪いことを先にいうようにしている向田女史。
金属バットで両親を殺めた事件の話。
(当時のホットニュースだったのね。)
先に悪いことを言ってから、大切だということを伝えたら結果が変わっていたのではないか。
向田邦子女史の猫生活。
猫はふつう人を踏まないが、
彼(飼い猫)は怒ると向田女史をジワっと踏んでいくそうである。
猫のおっぱいの出の話。
大きい猫を出のいいおっぱいから離して
小さい猫に変えて、猫が均等に育つように毎日入れ替え作業を続け、これまで50匹以上育てている。
おっぱいを押す→お乳が出る→美味しい→幸せ→おっぱいを押す→お乳が出る→…エンドレス。
嬉しいとき、おっぱいを押すしぐさをするのはここから来ている。
言葉も同じ。
身体に染みついている言葉が思いがけない時に出る。
ナイアガラの滝を見た時に人は何というか。「おー」が一番多いらしい。
ナイアガラを見た時に美辞麗句は浮かばない。
日本語ペラペラの
外国人でも夢は英語で見る。
高橋昌也さんはハムレットをよくやっているので、「お醤油つぎを取って」という時も、ハムレットみたいになるのがご不満な女史。
あまり気取った声を出す人にはちょっといじわるをして気取らない地の声を引き出したりするそう。可愛い。自分らしい言葉を豊かに使えることが、豊かな人生を送ることになるのではないか。
言葉の数はいいも悪いもたくさんあった方がいい。
言葉が豊かになることによって人間関係も円滑になるのではないか。
複雑な言葉を持つことは幸せなこと。
インドの暑い「ホット」しかない。
日本語は「暑い」だけでも、ものすごくたくさんの言葉がある。
ハンバーグとカレーとラーメンばかり食べているのではなくいろいろなメニューを食べた方がいいのと同じで
横着せず、いろいろな言葉を使った方がいい。
貧しい言葉で言葉について語ったが
一つだけでも心に止まれば嬉しい
と、こんなたくさんの言葉が溢れるお話をしておいて挨拶される向田邦子女史。
最後は広辞苑で引いた
世阿弥の言葉
「男どき女どき」について。
何やっても上手くいく時は「男どき」
上手く行かない時は「女どき」
「皆さんは今日はつまらない話を聞かされて「女どき」でした。諦めてください。」
で笑いをとってオチとなりました。
こんなところでしょうか。
多岐に渡る内容でとても全部書き出すのは難しいなぁー。
書いたあらすじが散漫。「不可能はいっぱいある方が楽しい。」
とお話しされる向田邦子さん。
ダメダメな人間でも、温かい眼差しで
愛を注いだキャラクターとして描かれていた女史の文章をまた読みたくなりました。
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