ナショナル・シアターライヴ ハムレット
とにかく上映時間が3時間半と長いので
夜観に行くと帰るのが大変になっちゃう本作。
やっと鑑賞出来ましたっ!
朝イチで出かけて終わったのが13時過ぎ。(笑)
でもでも長さを感じることなくとっても楽しめましたよー。
ざっくり覚書です。
自慢ではありませんが
私にとってシェークスピアは気難しい人で(笑)
これまでいくつかはシェークスピアが原作の舞台を観たことはあっても途中で寝ちゃったり。
飽きちゃったり
ろくなことにはならなかったのですが。
今回はカンバーバッチ君だし。
ロンドンでも評判良かったっていうし。
ナショナルシアターライブはDVDがあるんだかないんだか噂聞かないし。
やっぱり観るしかなかろうと重い腰を上げて
観に行って大当たり。
ネタバレしますのでこの先は
ご自身でご判断下さいませ。
まずは作品紹介トークがあり。
そのあと、カンバーバッチ君のインタビューと
役作りのために学生の演じるハムレットを観に行って学生とハムレットの解釈について語り合うドキュメンタリーが流れます。
うんうん。本編が楽しみだ。
そしていよいよ本編。
なんにも予習して行かなかったので
勝手にキラキラの王子様の衣装を想像していた私。
オープニングからびっくりぽん。
デンマーク国王子ハムレット
普通の現代の兄ちゃんで登場。
あれまあ、素敵。
Nat King Cole のNature Boy 聴いてます。
尊敬する父の死と早すぎる母の再婚を目の当たりにして、既に失意真っ只中の王子。
落ち込んでるのに
お母さんの結婚式に出ろと言われ。
そりゃあ、荒れますよ。
しまいには死んだお父さんの亡霊が出てきて
自分は弟(お母さんの再婚相手)に殺されたと彼に訴えます。
尊敬する父を殺され、母を穢され。
王(先王の弟)を油断させるために狂気を演じて復讐することを決意します。
この彼の決意を知っているのは親友のホレイショーだけ。まるでバックパッカーのようなホレイショー。斬新だ。(笑)
ハムレットは復讐を完遂するため
愛するオフィーリアにも冷たく当たります。
うーん。
このあたりはちょっと難しくて。
ハムレットがどれくらいオフィーリアを愛してたのか。それがよくわからなかったんですよね。
オフィーリアに冷たく当たったのは、復讐を成し遂げるための精神的な障害となるからか。
オフィーリアの父が王の忠実な侍従長で、彼女が父に従順でハムレットの様子を探ろうとしていると思ったからか。果たして?
オフィーリアの父、ポローニアスはハムレットの狂気の理由を恋の病だというのだけれど、このふたりそんなに愛し合ってるか?
そんなこんなのうち
旅芸人がやってきて
お城でお芝居を上演することに。
ハムレットはこの時とばかりに
王と王妃を辱めるような題材で芝居をすることを
思いつきます。
案の定王は怒りに震え退場。
ハムレットに核心を突かれ
一応自分の鬼の所業を悔いてる?と思いきや瞬時に開き直ってる??
王が悔いてるシーンだけを垣間見たハムレット、悔いてる時に王を殺しても復讐の意味がないと見逃しちゃう。
そして一方の母も大ショック。
大ショックの母にさらに辛辣な言葉を畳み掛けるように浴びせるハムレット。
おまけに王のために王妃とハムレットの話を隠れて聞いていたポローニアスをハムレットったら、ネズミと間違えて刺し殺しちゃいます。本当にネズミだとは思っていないと思いますが。
我が身の危険を察知した王は激昂し、
ハムレットをイギリスに送ってイギリス王の手で斬首させようと画策、ハムレットを船に乗せます。
が、なんと。
その船が海賊船に襲われてハムレットだけ
海賊の捕虜になり、まあ、いろいろあって、ハムレットデンマークに秘密裏に帰国。
ホレイショーには連絡しないとっ、ってことで
この先、ホレイショー一緒です。
そういえばイギリスにはハムレットの学友ふたりが付いて行ったんだけど、ハムレットったら、あっさりと彼らを見捨てました。
彼らが選んだ道だと。
バックパッカーのようなホレイショーへの信頼は絶対で、王の命を受けていろいろな制服を纏う彼らのことは全く信用してなかったということよね。
ハムレットの服装も自由だし。
このあたり、権威主義に対する反抗みたいなものが感じられますー。
さてさて一方、オフィーリアは父を殺され、その犯人がハムレットだって知ってしまったのよね?多分。
余りの悲しみに狂ってしまいます。
そこへ父の非業の死を知り留学から慌てて帰国したポローニアスの息子レアティーズ登場。
民衆を引き連れ暴徒となって宮殿にやってきます。
葬儀もせずになんで父をすぐに埋めたんだっ!
何があったんだと王に詰め寄ります。
おまけに最愛の妹は狂ってるー
そりゃあ怒るわな。
ズルい王様は
「いやいや、それはハムレットの仕業だから仇をうてるよう私が段取りしてあげよう」
なんて上手くレアティーズを丸め込みます。
そんな折
事故なのか自殺なのか…オフィーリアが溺死してしまうのでした。
火に油を注いじゃった。
レアティーズ、
ハムレットぶっ殺してやるーっ!怒り心頭です。
たまたまオフィーリアの埋葬場所に居合わせたハムレット。
この墓守りとの掛け合い、面白かったです。
この舞台、悲劇の割にはハムレットのコミカルな表情や仕草が多くて、可愛いカンバーバッチくんを堪能出来る点も魅力的。
このシーンもまさにそんなシーンなんですが、
そうそう。
ここで「道化師」のガイコツが出てきて、ハムレットが彼との思い出を懐かしそうに語るシーンがあるのですが、この舞台で印象的な使い方をされている挿入歌
Nat King Cole のNature Boyの2番の歌詞に
道化師や王様のこと
いろいろな話をした…という部分があるのですよね。
ふふ。これは偶然ではないですよね。
このハムレットを観た後、このNature Boyの歌詞を読むと何だか胸がキューっとします。
泣く、何だか泣く。
そうなの。
ハムレットは純粋なのです。
ちょっとシャイで 悲しい目をした
でも たいそう賢い少年でちょっと変わってるけど人の心を捉えて放さない不思議な魅力を持っているんです。
無茶苦茶純粋であるが故に、叔父や母が許せない。自分が国王を継承できるとかできないとかオフィーリアと結ばれるとか結ばれないとか、そういうことは思考の外で。
自分の心の中に計りを持っているのだと。
あ、話が逸れました。
で、オフィーリアの埋葬場所で
ハムレット、レアティーズ、王、王妃みんな鉢合わせ。
ハムレット、オフィーリアの死はショックだったみたい。とっても愛してたと力説。
そうだったのか…ハムレット。
そして改めて
ハムレットとレアティーズで果たし合いをすることに。
いよいよ果たし合いです。
ハムレットがレアティーズに謝罪。
お父さんもオフィーリアも意図せず死に追いやってしまった、すみません。
レアティーズあっさり許します。(許すんだ~驚)
でもやっぱり名誉のために戦うことに。
レアティーズの剣には予てから王との打ち合わせ通り毒が塗ってあって、ちょっとでもかすったらハムレット死んじゃうという仕組み。
その上ご丁寧に休憩中に飲むぶどう酒には毒入りを準備。
王様…ハンパじゃないです。
そして果たし合い。
熱戦の末、お互いの剣がすり替わり、
レアティーズが毒剣に倒れます。
おまけに興奮した王妃が毒入りぶどう酒を飲んで
倒れます。
レアティーズも純粋ないいヤツで、
自分が弄した策に自ら嵌ったことを自白。
ハムレットは毒剣で逃げる王を刺し殺し、
自らも毒剣に倒れます。
ホレイショーに真実を語り継ぐよう言い残して。
死体の山に
ノルウェー王の王子がやってきて
この王国に何があったのかと嘆き、弔砲を撃つように命じ、この先この国を取りまとめることを匂わせて幕を閉じます。
…というわけで原作にとりあえず沿った内容ですよね。
こんな感じでざっくり書けるほど分かりやすい展開、記憶違いの部分もあるかと思いますがご容赦下さい。
前半のセットはほぼ宮殿の中。
休憩に入る直前に強い突風が宮殿内に吹き
後半が始まると
宮殿の壁や家具はほぼそのままに床は一面土がひかれ荒地のようになっています。
墓地のシーンもその土の上で描かれるので
不自然さは特に感じられず、
死体の山を前にしたラストのノルウェー王子のシーンも何処か象徴的な印象があり良かったと思います。
ノルウェー王子は唐突にラストに登場するわけではありません。
ストーリーの中にちょいちょい登場する人物。
彼に影響されて復讐に踏み切った?ハムレット。
というわけで何気にキーパーソンです。
カンバーバッチ君
本当に熱演で前半はほぼ出突っ張り。
後半の前半はちょっとお休みしますが
その後も熱くて切ない青年を演じ切られておりました。
私が英語に明るくないため字幕を追ってしまって
せっかくの彼のアップの表情を何度となく見逃したことが悔やまれます。
英語がご堪能な方が羨ましい…。
苦悩する純粋な青年像
彼が踏み止まりそうになると亡霊やら進み続けて何かを成し遂げようとする青年(ノルウェー王子)やらに背中を押される…うーん。
切ないのよねー。
ひねりはないものの
わかりやすくてとても面白かったです。
こんなシェークスピアなら大歓迎。
またいつか挑戦してみよう!
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