あすにゃん日記

500字程度のエッセイを書きます。

モテソーダ

2020-07-26 18:39:09 | 日記
  モテソーダ
ある日商店街の十字路にフラフラ出ていた二歳の男の子を見かけたブタ男は、とっさに飛び出して少年を抱きかかえ、救った。ところが少年はブタ男の顔を見て、そのつぶれた鼻、細い目、でっぷりした体を見て泣き出してしまった。
「あーあ、もうちょっとカッコイイ外見だったらなぁ」
 逃げ出した少年を見送り、ブタ男はそうつぶやきながら、うらさびれた商店街を歩いていると、店のおばちゃんが呼びかけた。
「イケメンになる、モテソーダがあるよ。ひとつどうだい」
 そのおばちゃんには、発明家のだんながいたので、ブタ男は笑いながら、
「ぼくを実験台にするのかい」
 と問うと、おばちゃんは、
「うちの主人も試したんだ。ごらん、このイケメンぶり!」
 八百屋の店奥で、新聞紙から顔を上げた人物は、目元すずしく彫りの深い、ギリシャ彫刻風の外見だった。ブタ男は思わずみとれた。
「よし、飲んでみよう」
 ブタ男はごくりとそのモテソーダを飲んでみた。
 とたん、背がぐんぐん伸びはじめ、逞しい胸に、浅黒い肌、キラキラ輝く黒い瞳をした、どこから見てもイケメンがそこに立っていた。
 女の子たちは、その正体がブタ男だと知らないまま、そのイケメンブタ男に群がった。
「昨日はツインテールの子だったけど、今日はショートヘアの子がいいな」
 とっかえひっかえしているブタ男は、友だちに自慢した。
「えっへっへ。俺は鬼モテる。俺はスーパーヒーローだ!」
 調子に乗った彼は、人を人とも思わない態度になっていった。
 幼なじみのまゆは、それを嫌悪の目で見ていた。ブタ男が、自分中心の悪人になってしまったからである。
 まゆがそっぽを向いて、ブタ男を相手にしないので、ブタ男はまゆに迫った。
「ぼくとブタ男と、どっちが好きなんだ」
「あんたみたいな傲慢な男、だいきらい! ブタ男さんの方が、優しい!」
 まゆにひっぱたかれて、ブタ男は目覚めた。
 例のおばちゃんのところへ行って、モテソーダを無効にする薬をゲット。
 それを飲んで、まゆのところへ。
「欲望のままにふるまうなんて、大人のすることじゃなかった。人間、がまんが肝心だ」
 ブタ男は、重々しい口調で言った。
 元通りになっていくブタ男を見て、まゆは目を丸くした。ブタ男は唇を噛みしめている。
「でも、がまんできない事ってあるよね。
 たとえば、トイレとか」。

ドイツの郵便局にて すわ、テロか?!

2020-07-23 06:18:26 | 日記
   ドイツの郵便局にて

 ある日のことである。エレーナの勤める郵便局に、ひとつの小包が届いた。ドイツでは、郵便物を留め置くことができるのだが、その荷物は着くなり大きな騒ぎを巻き起こした。
「うわ、臭い!」
 エレーナは、荷物から充満する強烈な悪臭に、顔をしかめた。ツンとするような、なにかがくさったような臭いである……、胸がむかつき、息が苦しくなった。となりのペーターを見やると、彼はコーナーに突っ伏して、げえげえ吐いている。
「だいじょうぶか、うえっ」
 同僚たちは、つぎつぎと倒れ、中には腹痛で床に倒れるものまで現れた。
 エレーナは、部屋一杯に充満したこの異臭のせいでめまいがしたので、息を詰めて局を飛び出した。
「だ、だれか助けて……!」
 自分の声が、かすれているのがわかった。駆け寄ってくる通行人に、すがりついてしまう。
 通行人が呼んだので、救急車がやってきた。しかし、郵便局の中には入ってこない。
 警察が、「荷物をあらためた方がいい」
 と、医療関係者を制したからである。
 ガスマスクが用意され、万全の準備で郵便物が開けられることになった。差出人の同意は取っていない。この異臭が、新手のテロである可能性は、否定できなかったからだ。日本でも、地下鉄にサリンを撒いた事件があった。
 警察は、完全防備で、荷物をおそるおそるあけた。
 すると、中から出てきたのは、緑色で丸っこいイガイガのついたものだった。
「これは……、ドリアン?!」
 警察は、あっけにとられた。
 ドリアン。世界の三大くだものの一つ。その悪臭は、津々浦々に知らわたっている。よく見ると、このドリアンの数は、およそ三十個はあるように思えた。
 その後の警察の調べによると、差出人は、タイの友人からそのドリアンをプレゼントされたという話であった。
 


激オチくんその後

2020-07-15 13:48:59 | 日記
いつぞや、Gooで「続きを希望」されていた、「激落ちくん」の話題。続き、行きます。
いちど、テーブルの上が真っ黒になっていたので、コンロを出す関係で焼けたのかと思っていたのが、
実は黒カビだったので、激落ちくんを使ったら綺麗に取れたんです。
それが、黒カビが復活したので、今度は漂白剤をうすめて
ティッシュペーパーに染ませて広げますと
テーブル、綺麗になりました!
再度、黒カビが復活することもなく、
毎日楽しく食事ができます。

みなさんも、カビには漂白剤を薄めるのがいちばんみたいですよ!
でも、扱いには気をつけてね。