キーマカレーとわたし
コロナ禍で、夫が在宅勤務となり、昼食は今日はキーマカレー(レトルト)になった。炊きたてのご飯に熱したカレーを流し入れ、ひとくち食べて、愕然とした。
スパイスが違う。ふつうのカレーには使わない、さわやかな、しかし異国風の味わい。タイやジャワ風のカレーに思える。中辛だと箱には書いてあったのだが、なかなかどうして、舌にピリピリくる辛みだ。挽肉の姿はなかった。
「野菜もない。具もない。ルーだけのカレー。ひどいじゃないの」
義母は憤然としている。
「きみがルーから作りなさい」
夫は、喜色満面だ。
このままでは、キーマカレーを作らされることになりそう。文学への修行の時間がまた制限されそうである。了