安全性「世界一」と言われている日本の鉄道、当たり前の話ですが列車は線路が整備されていないと安全に走ることはできません。JR北海道の保線データー改ざん不祥事により本来保線作業が必要な線路の不具合が放置された結果、函館線で貨物列車が脱線したニュースは最も典型的な事例の一つです。
3月の最終日曜日、わたらせ渓谷鉄道が企画したイベント「線路を守ろう!保線体験」に参加しました。
わたらせ渓谷鉄道は群馬県の桐生駅と栃木県日光市足尾町にある間藤(まとう)駅間44.1kmを結ぶ第3セクターのローカル鉄道、その歴史はかつて沿線で栄えた足尾銅山と深いつながりがあります。明治の頃、産出した銅や鉱山で使用する材料の運搬、また銅山に関わる人々の運搬を目的として路線は開通し、戦前・戦後は銅山と共に国鉄足尾線として栄えます。1973年に足尾銅山が閉山されると旅客・貨物ともに輸送量が大きく減少し、赤字ローカル線に転落。国鉄分割民営化後の1989年、JR足尾線が廃止されると同時に第三セクター、わたらせ渓谷鐵道株式会社が路線を引継ぎ、 現在に至っています。
集合場所は大間々(おおまま)駅
ホームに始発駅桐生へ向けて回送待機中のトロッコ車両「わっし~」号。
社長の樺澤さんとスタッフ皆さんの挨拶、参加者も黄色の安全ベストを着用します。
大間々駅より下りの普通列車に乗車、一つお隣の上神梅(かみかんばい)駅で下車。
ここから大間々駅まで約5.1kmの線路を徒歩で巡回、線路に異常が無いか確認します。
途中には小さな鉄橋が数か所、細い鉄板の部分を歩きますが雨で滑りやすいです。
又トンネルも、短いトンネルは照明がありません(懐中電灯持参)
巡回中の一日保線員2名、記念撮影。
2時間半の徒歩巡回が終了し大間々駅で「わ鉄」が最初に購入した車両101号の保存車を見学。
運転席からの風景、先に見えるのはお留守番中の「はやこま号」。
車両は富士重工業(スバル)製です、もちろんエンジンはボクサーではありません・・・。
台車部分のドライブシャフト・ギヤボックス・車輪。
昼食は雨のため会議室で「わ鉄」自慢の「やまと豚弁当」。てぬぐいのお土産付きでラッキ~。
午後は大間々駅構内の車両基地内での各種作業体験
軌道自転車(レールスター)運転体験。前後にハンドル・ペダル・エンジンがあります。
タイタンパーによるバラスト(敷石)突き固め体験。枕木の下に敷石を入れる作業です。
軌間(線路の幅)と傾斜角測定体験は専用のゲージを使用します。これは最も重要な作業でJR北海道の不祥事以降、さらに厳しく管理していると誇らしげに説明してくれました。
基準値は1067mm、JR在来線と同じ規格で日本では「狭軌」と称しています。
車庫内でお化粧中のディーゼル機関車
線路を枕木に固定する「犬釘」
犬釘打ち体験、ハンマーはとても重いです、15kg以上あったかな。
線路をカットする体験
カットした線路はお土産で頂きました、30kgレールと呼ばれる現在ではあまり使用されていない貴重なレールだそうです。(1mあたり30kgの規格)
世界一の安全を縁の下で支える鉄道マン達の仕事を体験できた貴重な一日でした。
↓動画にまとめてみました。
*このイベントは、わたらせ渓谷鉄道のスタッフによる厳重な安全管理の元に行われています。
駅構内の立入り禁止区域や沿線の線路内に無断で入ることは大変危険です、絶対に入らないで下さい。
弁当に加えてレールのカットサンプルをお土産にしてくれるのも鉄っちゃんにはたまらんでしょうね。
きちんと怪我しないように面取りも出来てるようですな。
先日フリーゲージの車両の記事が出ていたのを思い出しました。
関係ないですが蛍光ベストはオヤジ号のトランクにも2着入ってますわ。
こういう企画の時じゃないと線路を堂々と歩くことなんかできないし、記念撮影なんてできませんよね~
しかし動画見て当たり前に列車が通ってるのにはびっくりしました。
桜も綺麗な時期で、お土産ももらっていい経験ができましたね~
動く、かっ飛び奥様もいっぱい見れてよかったです?(笑)
なんだか一日保線員2名の写真ははやこまさんと、カットビさんのお二方のような・・
軌道自転車の運転手もやはり同じ方ですか!
歩いてきた線路を富士重工製のディーゼルカーが通り過ぎて、結構素人さん相手では開催側は神経を使うでしょうね。
その心意気に感動、安全には神経は使ったでしょうけど、よくこの企画が通った
な〜と思う内容!鉄道ファンじゃなくても楽しかったでしょうと思います。
黄色の安全ベストを着用した瞬間からその日は「わ鉄」の社員になった気持ちになりました。お土産のカットレールは自分達が実際にカットしたものではなく、前回のイベントでカットしたものを面取りして準備していたとの事、飾り台を作ろうかなと考えてます。
今度のフリーゲージトレインは実用化に向けた耐久性確認がメインの様です。
そうなんです、運転体験や車両基地公開などのイベントは何社か実施していますが、保線体験、しかも営業中の線路を歩く体験は他では見ないと思います。
当日は小生より妻の方が楽しんでいた様に思えます、間違いなく「鉄」です。
徒歩巡回体験は約2時間半の行程ですが、その間2本の列車が通過しました。時間に余裕を持って退避場所で待機したのですが、係員の方が携帯電話で退避場所の位置や安全確認等頻繁に連絡を取っていました。小生も駅以外の場所でこれだけ間近で列車の通過をみたのは初めてだと思います。
この日は我が夫婦一日保線員として「わ鉄」の社員になった気持ちでお手伝いさせて頂きました。起動自転車の運転も妻の方が筋がイイみたいで、停車位置にピタリと停車しました。
参加者は子供や女性もいたのでスタッフの皆さん、特に線路巡回の時は神経使われたと思います。
春はお花見、夏は新緑、秋は紅葉の景色をトロッコ列車に乗って見に来る観光客で賑わう路線ですが、冬は特に目玉がなく観光客が減るのでこの様なイベントを企画して稼いでいる、と樺沢社長が仰ってました。巡回の時も列の最後尾に付いて歩いてくれました、この社長さんは気さくな方で大変親しみ易い方でした。