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平方録

ジムなんかに通わなくたって…

「畑の積雪が何と75cmもあるんだ」
「こんなに積もったのを見るのは生まれて初めての気がする」とも。

山形市から北に約20km離れたサクランボで名高い東根市。
そこの実家に山形市内からほぼ毎日のように通って畑仕事をしている友人がその現状に驚き、半ば呆れたような口調で電話で伝えてきた。
お陰で梅や柿の太い枝がポキポキ折れてしまってもいるようで、被害の全容すらわからないと言って嘆いている。

柿の枝?
友人宅の柿は渋柿だが、こいつの渋を抜いたものはボクが‶今わの際用〟にと送ってもらい、大切に冷凍保存しているくらい甘露で美味な‶柿の中の柿の王様〟とも呼べる逸品である。
この柿がトロトロに熟したところにウイスキーを垂らし、スプーンですくって食べるのが何よりの好物で、それを今わの際にもやろうと思っているのだ ♪
一方で渋抜き以上に手間をかけた干し柿たるや皇室献上品にしてもよいくらいで、日本中の上等な和菓子が束になったって、この干し柿の前に出て己との違いを知ったら恥ずかしさのあまり尻尾を巻いてスゴスゴと引っ込んでしまうくらいである。

その柿の木が傷ついたとあらば一大事ではないか。
ボクの今わの際はどうなるんだ…
秋の収穫に影響がなければいいがと気をもまされることになった。
雪が降るのは自由だが、こういう悪さをしてはいけない。

ところで友人はこの大雪を前に指をくわえているわけでなく、除排雪作業に大汗をかいているのだという。
一旦その作業に取り掛かると体は熱を帯び、氷点下の気温の下であろうと体中から湯気が立ち上るくらいで、びっしょりと汗をかくそうである。
ボクと同い年だから、まだまだ老け込む年齢ではないが、体のどこか腰あたりに不具合は生じていないか聞くと「肩甲骨の辺りが痛むぐらいで大丈夫だ。かえっていい運動になってるよ」と意気軒高である。
ボクなら腰をやられてしまうところだろう。

それにしても都会の老若男女は健康維持のためにそこそこの費用を払ってスポーツジムに通い、飛んだり跳ねたり泳いだりしている。
これに対して雪深い地方の人々はこちらも老若男女を問わず、家を押しつぶされないためにも雪かきという必要欠くべからざる作業に取り組まざるを得ず、そのおかげでスポーツジムに通わなくとも全身を鍛え、健全な肉体を維持していくうえで大いに役立っているということができるのではないか。
どちらが幸せかという二者択一の単純な話ではないにしても、色々考えさせられる所ではある。

それにしてもコロ公が暴れていなければ‶雪かき十字軍〟として援軍要請を受けていたことだろう。
外出制限下の現状を喜ぶべきか、はたまた残念に思うか。腰がなぁ…とは思いつつ、地酒の誘惑には多分、勝てないだろうなぁとも思う。
かくして友人の孤軍奮闘に遠くからエールを送るのみなのがいささかもどかしい…ということにしておくか。
ファイトォ~!


(見出し写真は鎌倉山から遠望した相模湾 立春間近なせいか曇り空だが柔らかな雰囲気が伝わって来る)
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