パトロールに使っている自転車を新しいものに買い替えてちょうどひと月経った。
季節はまさに「天高く馬肥ゆる秋」だが、昨今の気象の変化は言わずもがな、さわやかな蒼天の下を身も心も軽くペダルを漕いで♪…とはなかなかいかず、晴れれば真夏日で汗だくになるし、やって来る台風はとんでもなく離れたところにいても激しい雨を降らせたり…
こと気象に関する限り、なかなかこれまでの常識が通じにくい現象が現れるなど"野遊び"好きだけにとどまらず、フツーの市井の人々にとっても歓迎すべからざる傾向が続いている。
ここ南関東でも真夏日が3日も続いたかと思うと、急に北東の冷たい風が吹きつけて温度が急激に下がり、寒冷アレルギーによる猛烈なクシャミ鼻水に見舞われて集中力を失いかけたり、ベッドの足元にはタオルケットと掛け布団の両方を出しておいて、夜中の急激な気温の変化に対応したりするありさまで、ゆっくりと穏やかに季節が移り替わっていった頃が懐かしくてならない。
そんなわけで、せっかく新しい自転車を手に入れても、乗車回数=パトロール回数は増えず、まだたったの100数十㎞しか走っていない。
これは案外なことで、季節柄もう少し距離は伸びてもいいのに、と自分自身でも意外である。
しかも、真っ先にパトロールするはずだったホームコースである湘南海岸自転車道にまだ1度も乗り入れていない。
いったい、なぜか?
理由は堆砂である。
広々とした砂浜に沿って伸びている湘南海岸自転車道は舗装道路の表面に砂がないことはめったにない。
海岸の管理者が時々道路の表面にたまった砂を排除する作業をしてはいるものの、海の砂というものは少し強い風が吹けば簡単に吹き飛ぶもので、片道20㎞ほどの路面のどこかに必ずと言っていいほど堆砂の塊ができる。
堆砂とまではいかなくとも、薄っすらと路面を覆っているのがむしろスタンダードで、車軸やペダルを回すクランク、変速機といった自転車にとっての重要部品はすぐ砂まみれになってしまうのである。
いずれもスムーズに回転するように油を注しているので、小さくて軽い砂粒は余計くっつきやすい。
そんなわけで、せっかくスムーズな走りを見せているピッカピカな新車を簡単に砂まみれにしてしまう気になれず、この自転車道に乗り入れることに二の足を踏んでいるというわけである。
とはいえ、海際は走りたい。いやっ、海際だけパトロールできれば本望なのだ。
それで、止むを得ず交通量の多い国道134号を滑川交差点~稲村ケ崎~七里ガ浜~江ノ島入口まで走る回数が増えているのだが、やはり車と並走するというのはストレス以外の何物でもない。
のんびりとパトロール…というところが肝なの。
このままあのホームコースともいうべき湘南海岸自転車道をあきらめ、金輪際近づかないつもりなのか…
そうもいかない。
ならばどうする…
はてさて、どうしたものか…
to be or not to be…
目下、この命題の回答を見つけるべく思案投げ首なのでございます。