先述したように、僕は二〇〇二年から六年間、一日の自慰回数を記録してきた。各年とも三百六十五回を大きく上回るほどのルーティンワークとなり、特に〇三年から五年、ちょうど三十歳前後がピークだった。理想的なオナペットが現れれば、おのずと自慰の回数は増えるし、当時は土、日曜の二日間で七~九回の固め打ちがあたりまえなほど、僕の性欲はみなぎっていた。
〇三年、僕が二十八、九歳の頃に年間最多回数を記録したのは、前園りさだ。彼女も知る人ぞ知るマイナー級グラビアアイドルで、僕もセルビデオ店で平積みされた彼女の写真集の表紙を手に取るまで、存在を一切知らなかった。表紙には当時放映されていた連続ドラマの端役を演じていたとの文言が書かれていたが、そんなことよりも表紙と裏表紙から窺える彼女の成熟した肢体に、その写真集を買わずにいられなくなった。
現役高校生で生徒会長、それにスタイルの良さと、先にデビューした佐藤寛子とキャラクターがかぶっているが、僕の自慰回数は前園が佐藤を上回った。世間の人気は佐藤に軍配が上がったが、それは前園に芸能界での出世欲が乏しかっただけにすぎず、僕は十七歳の彼女のグラビアを堪能できただけで満足だった。
前園の写真集は「楽園~秘密の花園~」の一作品のみで、あとはムックなどで数ページのグラビアを飾った程度。高校を卒業してからはソフトな着エロ路線のDVDを一作品発表したが、垢抜けてしまった彼女にはもはや興味がなく、彼女自身もフェードアウトしてしまった。僕の彼女に対する記憶は、写真集でしかない。
佐藤に違わず、前園も撮影時十七歳らしからぬいやらしい体つきで、僕の劣情と性的想像力を存分にかき立てさせてくれた。物憂げな表情を浮かべた青ビキニ姿と、カーディガンを羽織ったオレンジのビキニ姿からあふれ出そうな胸の膨らみは秀逸で、射精時には幾度となくそれらのページを重宝させてもらった。ヤフオク!に出品されているサンプル画像で久しぶりに拝見したが、今でも僕の下半身がぴくんと反応するほど、良質な素材だったとあの頃を懐かしむ。
お世話になったオナペットがメディアに露出しても、僕は興味がわかず、むしろどうでもよかったが、前園が帯ドラマの端役に出てくるのを知ると、その番組を実際に視聴するほど、彼女が気になった。そんなことは後にも先にもなく、僕は役者としての彼女を応援してみたくなったが、何度かの端役を演じただけで芸能界から去ってしまったし、僕も新たな素材探しで彼女を気にかけなくなった。
今と異なり、当時はグラビアアイドルの供給源の裾野が広かった。十八歳以下にも門戸を広げていたからで、僕も前園にちょっと飽きてしまえば、次々に代わりを探すことができた。もし彼女が高校卒業までに二作目の写真集を出していれば、僕は彼女を繋ぎ止めておくことができたかもしれないが、その期待を抱きつつも次々にデビューしてくる現役高校生世代の素材探しに余念がなく、飽きたら新しいので楽しむという新陳代謝を繰り返すことになる。