【第25話】
はるは貴彦に何とか立ち直って欲しいが、どうすることも出来ない。
周作も心配するが、明日から一ヵ月、仕事で釧路に行かなければいけないと言う。
従業員たちも気持ちは同じだが、まずは目前に迫った湯祭りをどうするか
決めなければいけなかった。それには貴彦がどのように行動するかで予定が変ってくるため、
皆困惑。しのぶも息子がどうするのかを思うと胸が痛い。
遥子ははると周作に心配のしすぎはかえって良くないと諭す。
ところが当の貴彦が自暴自棄になり、泥酔して皆の前に現れる。
遥子は貴彦には幼い頃から人の面倒を進んで見るような優しさがあったと語る。
しかし、何を言われても貴彦は自分の気持ちに整理がつけられなかった。それどころかはるに、
「お前が登別に来てから何もかもがおかしくなった、出て行け」と暴言を吐く。
それでも一応、支配人の仕事を続ける貴彦と、仲居たちは腫れ物に触る思いで付き合う。
が、それがかえって貴彦の神経を逆撫で。
はるは貴彦にやる気が芽生えたのではないかと期待するが、
貴彦から、「君ほど単純じゃない」と言われ、がっかりする。
しのぶはやりきれない思いを胸に秘めながら、貴彦を黙って見守っていた。
【第26話】
はるは極楽屋で貴彦のことを遥子に相談。何もしないのが一番と言われても、
なんとかしたいはるだった。その帰り道、そそっかしいはるは転んでしまい、
これまで見かけたことのない渋い中年男性に助けられる。
その頃、湯之国屋に青山夫婦と小学六年生の息子、隼人という家族客が泊まる。
着いたときから暗い表情の隼人を、はるは気にする。実は隼人は三ヵ月前に病気が発覚、
激しい運動を禁じられ、サッカー選手になる夢を断たれていたのだ。
旅館を予約する際、ある程度事情を話していたはずだと言われ、貴彦に確認すると、
やはり聞いていた。
「隼人の気持ちが分かる自分なら何とか出来ると思ったんですか?」
しのぶに反抗的に言う貴彦にはるは皆が支配人を心配していると訴える。
しのぶとはるには無関心を装った貴彦だが、陰では隼人に同情、
彼が天文に興味を持っているのを知ると、仕事が終ってから一緒に星を見る約束をする。
はるはしのぶに頼まれたお使い先でケガの手当てをしてくれた先ほどの男性を見かける。
お礼を言い、自分が湯之国屋の仲居だと告げると驚かれてしまう。
その夜、貴彦のミスで、二組の団体客、「いたいけな動物愛護団体」と
「登別牛をおいしく食べる会」がダブルブッキングに。
あいにくしのぶは不在で、困り果てる貴彦を押しのけて、典子がその場を取り仕切る。
部屋の問題が片付いたのも束の間、
今度は百合が「いたいけな動物愛護団体」にステーキやしゃぶしゃぶなど、
「登別牛をおいしく食べる会」に出さなくてはいけない料理を運んでしまい、
再びトラブルになる。両方の客たちは怒り出し、旅館は大混乱。
その頃、いつまでも来ない貴彦を隼人は待ち続けていた。
【第27話】
宿泊客の料理トラブルの対処に追われているうちに、
貴彦は隼人との約束をすっかり忘れてしまう。自分の不甲斐なさを責める彼を励まそうと、
はるは隼人が元気になったと告げる。
その言葉で隼人との約束の場所に貴彦があわてて駆けつけると、
隼人が崩れたビールケースに足をはさまれて倒れていた。
貴彦は隼人を病院へ運ぶ。はるが医師の顔を見て驚く。
自分のケガの手当てをしてくれた例の男性だったのだ。
その医師・大光寺は隼人のケガはたいしたことがないという。
しかし、駆けつけた隼人の両親は一方的に貴彦を責める。
立ち会った大光寺は両親の過保護を指摘。
貴彦は大光寺に礼を言うが、自分は旅館の仕事に向いていないとついグチをこぼしてしまう。
「その年でそんなことを言っていると親が心配する。それはただの親不孝だ」大光寺にそう言われ、
何も言い返すことの出来ない貴彦だったが、胸に染みるものを感じる。
翌朝、貴彦は隼人の両親に改めて謝罪した後、隼人に、
今までわがままばかり言って母親を苦しめてきた自分のようにならないでほしい、
と言い聞かせる。
隼人は旅館を飛び出し、貴彦とはるが追いかける。
港の海沿いを歩いていた隼人はついバランスを崩し、海に落ちてしまう。
はるは急いで駆けつけるが…。
【第28話】
旅館を飛び出した隼人が誤って水族館のプールに落ち、溺れかける。
貴彦はかなづちにもかかわらずプールに飛び込む。はるははらはらするが、
二人は係員に助けられる。
旅館に戻った隼人は別人のようにたくましくなり、今までのわがままを両親に謝る。
貴彦と隼人は一緒に温泉に入り大きなはしゃぎ声を上げる。それをのぞいていたはるは、
貴彦が自分に負けないよう旅館の仕事を頑張るつもだりというのを聞き、照れながらも喜ぶ。
そんな彼らの姿を離れて見ていたしのぶは、
息子が長い迷路から抜け出してくれたことがただただ嬉しい。
心を入れかえ、仕事に打ち込む決意の出来た貴彦は、
しのぶに湯祭りを仕切らせてほしいと申し出る。今まで心配をかけてきたことを謝られ、
しのぶはまたしても嬉し涙が……。
その夜、しのぶははるに、貴彦を立ち直らせてくれてありがとうとお礼を言う。
しかし、それは自分でなく、医者の先生の言葉だったとはるは告げる。隼人のことも含め、
明日お礼に行こうと言うしのぶにはるは同行するとはしゃいで答える。
「なんか癒されるんですよね大光寺先生って」そんなはるの何気ない一言に
しのぶは急に言葉を失うのだった。
翌日、大光寺のところへ、しのぶははると出掛ける。
一週間前に赴任してきたという大光寺と対面したしのぶはいつもとちがってどこかぎこちない。
貴彦のことが落ち着き、全てが順調にいき始めた湯之国屋だったが、
しのぶに一大事が起こり始めていたことを、まだ誰も知らなかった。
【第29話】
大光寺と会ってから、しのぶの様子がおかしい。いつもぼんやりとして、仕事にもミスが出る。
極楽屋で飲んでいたはるたちは心配するが、貴彦がしっかりしてくれたので、
緊張の糸が切れたのかもしれない、と噂しあう。
その時、同席していた夏目の携帯に頻繁に着信が入る。
不審に思うはるに治と敦は夏目がまだし結婚したばかりだと教える。
翌日、湯之国屋に派手な身なりの若い女性がやって来る。
なんとそれが夏目の妻、美雪で、はるはいつも頼りになる夏目の妻があまりに若いことに驚く。
美雪は夏目をマーくんと呼び、寝言でしのぶの名前を呼んだことが許せず、
夏目との関係を問いただしに来たのだった。
かつて夏目はしのぶに思いを寄せていたが、
今は美雪一筋だと言い、証拠の「プリクラ」を見せて、美雪の誤解を解く。
この出来事を楽しげに話していたはると貴彦の間に百合が割り込んでくる。
「私は支配人のことを尊敬したとしても、それが男女の好きにはならない」はるが
百合にそう言うと、なぜか貴彦が不機嫌になるのだった。
その頃、しのぶは大光寺を極楽屋に呼び出す。見つめ合う二人のはさまざまな思いが行き交う。「ここにいるのは偶然なのか」としのぶが聞き、「偶然だ」と答える大光寺。
これからは会うつもりがないと言って店を出るしのぶだが、その瞳には光るものが……。
【第30話】
葵は仲居の皆に声を掛け、具合の悪そうな人を探す。
どうにか大光寺のところに連れていこうとするが、はるがそんな行動をいさめる。
貴彦はやりあっている二人を注意するが、葵が苦し紛れで、
はるが大光寺のところに行こうとしていたと嘘を。貴彦はとたんに機嫌が悪くなる。
貴彦ははるのささいな行動も気になり、彼女に惹かれていく自分に戸惑う。
葵が今度は支配人がやる気を出したことをお祝いしようと親睦会を企画。
皆もつきあうが、ゲストとして大光寺も呼ぶ。葵は、大光寺が東京で開業していることを調べあげ、
登別に来た理由を聞く。温泉療法の研究に来た、と答える大光寺。
さらに、葵は大光寺が家庭を持っていて、もうすぐ結婚する娘がいることも聞き出す。
玉の輿を狙っていた葵は大ショック。喜怒哀楽の激しい葵にはるたちもあきれる。
親睦会が終わり、はるは大光寺がハンカチを忘れていったことに気づく。
あわてて彼の後を追うと、大光寺としのぶが並んで歩いていた。
聞こえてくる二人の会話から、はるはしのぶと大光寺がかつて恋人同士だったことを知る。
それだけでなく、同性の勘からしのぶがまだ、大光寺を想っていることにも気が付いてしまう。
はるは貴彦に何とか立ち直って欲しいが、どうすることも出来ない。
周作も心配するが、明日から一ヵ月、仕事で釧路に行かなければいけないと言う。
従業員たちも気持ちは同じだが、まずは目前に迫った湯祭りをどうするか
決めなければいけなかった。それには貴彦がどのように行動するかで予定が変ってくるため、
皆困惑。しのぶも息子がどうするのかを思うと胸が痛い。
遥子ははると周作に心配のしすぎはかえって良くないと諭す。
ところが当の貴彦が自暴自棄になり、泥酔して皆の前に現れる。
遥子は貴彦には幼い頃から人の面倒を進んで見るような優しさがあったと語る。
しかし、何を言われても貴彦は自分の気持ちに整理がつけられなかった。それどころかはるに、
「お前が登別に来てから何もかもがおかしくなった、出て行け」と暴言を吐く。
それでも一応、支配人の仕事を続ける貴彦と、仲居たちは腫れ物に触る思いで付き合う。
が、それがかえって貴彦の神経を逆撫で。
はるは貴彦にやる気が芽生えたのではないかと期待するが、
貴彦から、「君ほど単純じゃない」と言われ、がっかりする。
しのぶはやりきれない思いを胸に秘めながら、貴彦を黙って見守っていた。
【第26話】
はるは極楽屋で貴彦のことを遥子に相談。何もしないのが一番と言われても、
なんとかしたいはるだった。その帰り道、そそっかしいはるは転んでしまい、
これまで見かけたことのない渋い中年男性に助けられる。
その頃、湯之国屋に青山夫婦と小学六年生の息子、隼人という家族客が泊まる。
着いたときから暗い表情の隼人を、はるは気にする。実は隼人は三ヵ月前に病気が発覚、
激しい運動を禁じられ、サッカー選手になる夢を断たれていたのだ。
旅館を予約する際、ある程度事情を話していたはずだと言われ、貴彦に確認すると、
やはり聞いていた。
「隼人の気持ちが分かる自分なら何とか出来ると思ったんですか?」
しのぶに反抗的に言う貴彦にはるは皆が支配人を心配していると訴える。
しのぶとはるには無関心を装った貴彦だが、陰では隼人に同情、
彼が天文に興味を持っているのを知ると、仕事が終ってから一緒に星を見る約束をする。
はるはしのぶに頼まれたお使い先でケガの手当てをしてくれた先ほどの男性を見かける。
お礼を言い、自分が湯之国屋の仲居だと告げると驚かれてしまう。
その夜、貴彦のミスで、二組の団体客、「いたいけな動物愛護団体」と
「登別牛をおいしく食べる会」がダブルブッキングに。
あいにくしのぶは不在で、困り果てる貴彦を押しのけて、典子がその場を取り仕切る。
部屋の問題が片付いたのも束の間、
今度は百合が「いたいけな動物愛護団体」にステーキやしゃぶしゃぶなど、
「登別牛をおいしく食べる会」に出さなくてはいけない料理を運んでしまい、
再びトラブルになる。両方の客たちは怒り出し、旅館は大混乱。
その頃、いつまでも来ない貴彦を隼人は待ち続けていた。
【第27話】
宿泊客の料理トラブルの対処に追われているうちに、
貴彦は隼人との約束をすっかり忘れてしまう。自分の不甲斐なさを責める彼を励まそうと、
はるは隼人が元気になったと告げる。
その言葉で隼人との約束の場所に貴彦があわてて駆けつけると、
隼人が崩れたビールケースに足をはさまれて倒れていた。
貴彦は隼人を病院へ運ぶ。はるが医師の顔を見て驚く。
自分のケガの手当てをしてくれた例の男性だったのだ。
その医師・大光寺は隼人のケガはたいしたことがないという。
しかし、駆けつけた隼人の両親は一方的に貴彦を責める。
立ち会った大光寺は両親の過保護を指摘。
貴彦は大光寺に礼を言うが、自分は旅館の仕事に向いていないとついグチをこぼしてしまう。
「その年でそんなことを言っていると親が心配する。それはただの親不孝だ」大光寺にそう言われ、
何も言い返すことの出来ない貴彦だったが、胸に染みるものを感じる。
翌朝、貴彦は隼人の両親に改めて謝罪した後、隼人に、
今までわがままばかり言って母親を苦しめてきた自分のようにならないでほしい、
と言い聞かせる。
隼人は旅館を飛び出し、貴彦とはるが追いかける。
港の海沿いを歩いていた隼人はついバランスを崩し、海に落ちてしまう。
はるは急いで駆けつけるが…。
【第28話】
旅館を飛び出した隼人が誤って水族館のプールに落ち、溺れかける。
貴彦はかなづちにもかかわらずプールに飛び込む。はるははらはらするが、
二人は係員に助けられる。
旅館に戻った隼人は別人のようにたくましくなり、今までのわがままを両親に謝る。
貴彦と隼人は一緒に温泉に入り大きなはしゃぎ声を上げる。それをのぞいていたはるは、
貴彦が自分に負けないよう旅館の仕事を頑張るつもだりというのを聞き、照れながらも喜ぶ。
そんな彼らの姿を離れて見ていたしのぶは、
息子が長い迷路から抜け出してくれたことがただただ嬉しい。
心を入れかえ、仕事に打ち込む決意の出来た貴彦は、
しのぶに湯祭りを仕切らせてほしいと申し出る。今まで心配をかけてきたことを謝られ、
しのぶはまたしても嬉し涙が……。
その夜、しのぶははるに、貴彦を立ち直らせてくれてありがとうとお礼を言う。
しかし、それは自分でなく、医者の先生の言葉だったとはるは告げる。隼人のことも含め、
明日お礼に行こうと言うしのぶにはるは同行するとはしゃいで答える。
「なんか癒されるんですよね大光寺先生って」そんなはるの何気ない一言に
しのぶは急に言葉を失うのだった。
翌日、大光寺のところへ、しのぶははると出掛ける。
一週間前に赴任してきたという大光寺と対面したしのぶはいつもとちがってどこかぎこちない。
貴彦のことが落ち着き、全てが順調にいき始めた湯之国屋だったが、
しのぶに一大事が起こり始めていたことを、まだ誰も知らなかった。
【第29話】
大光寺と会ってから、しのぶの様子がおかしい。いつもぼんやりとして、仕事にもミスが出る。
極楽屋で飲んでいたはるたちは心配するが、貴彦がしっかりしてくれたので、
緊張の糸が切れたのかもしれない、と噂しあう。
その時、同席していた夏目の携帯に頻繁に着信が入る。
不審に思うはるに治と敦は夏目がまだし結婚したばかりだと教える。
翌日、湯之国屋に派手な身なりの若い女性がやって来る。
なんとそれが夏目の妻、美雪で、はるはいつも頼りになる夏目の妻があまりに若いことに驚く。
美雪は夏目をマーくんと呼び、寝言でしのぶの名前を呼んだことが許せず、
夏目との関係を問いただしに来たのだった。
かつて夏目はしのぶに思いを寄せていたが、
今は美雪一筋だと言い、証拠の「プリクラ」を見せて、美雪の誤解を解く。
この出来事を楽しげに話していたはると貴彦の間に百合が割り込んでくる。
「私は支配人のことを尊敬したとしても、それが男女の好きにはならない」はるが
百合にそう言うと、なぜか貴彦が不機嫌になるのだった。
その頃、しのぶは大光寺を極楽屋に呼び出す。見つめ合う二人のはさまざまな思いが行き交う。「ここにいるのは偶然なのか」としのぶが聞き、「偶然だ」と答える大光寺。
これからは会うつもりがないと言って店を出るしのぶだが、その瞳には光るものが……。
【第30話】
葵は仲居の皆に声を掛け、具合の悪そうな人を探す。
どうにか大光寺のところに連れていこうとするが、はるがそんな行動をいさめる。
貴彦はやりあっている二人を注意するが、葵が苦し紛れで、
はるが大光寺のところに行こうとしていたと嘘を。貴彦はとたんに機嫌が悪くなる。
貴彦ははるのささいな行動も気になり、彼女に惹かれていく自分に戸惑う。
葵が今度は支配人がやる気を出したことをお祝いしようと親睦会を企画。
皆もつきあうが、ゲストとして大光寺も呼ぶ。葵は、大光寺が東京で開業していることを調べあげ、
登別に来た理由を聞く。温泉療法の研究に来た、と答える大光寺。
さらに、葵は大光寺が家庭を持っていて、もうすぐ結婚する娘がいることも聞き出す。
玉の輿を狙っていた葵は大ショック。喜怒哀楽の激しい葵にはるたちもあきれる。
親睦会が終わり、はるは大光寺がハンカチを忘れていったことに気づく。
あわてて彼の後を追うと、大光寺としのぶが並んで歩いていた。
聞こえてくる二人の会話から、はるはしのぶと大光寺がかつて恋人同士だったことを知る。
それだけでなく、同性の勘からしのぶがまだ、大光寺を想っていることにも気が付いてしまう。
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