なつかしいものが今わたしの手元にあります。
こちら、1994年の雑誌「中学一年コース」です
わかい。わかすぎる
なんでこんなに古い本があるのかというと…
この中学一年コースを買ってもらっていたころ、原稿用紙5枚位の話を
書いて送ったらその物語が選ばれて載せてもらって、それで
ずっと母がとっておいてくれたのでした。
なつかしすぎる青春の一ページ
ちょっと長くなりますが、時間があれば読んでみてください*^^*
『あの夏の日の、麦わら帽子』
わかめ
ぼくは、今、小学6年生。
夏休みももうすぐ終わり。残り少ない夏休みを、おもいっきり過ごそうと、
友だちと、盛大な野球大会をするという約束をしていた。
ちらっと時計を見ると、まだ1時。約束の時間の1時30分まで、まだ時間が
あるようなので、かぶっていく帽子を探した。
でも、なかなか見つからない。
ふう、とため息をつきながら、ふと隣を見ると、去年亡くなったおじいちゃん
からもらった麦わら帽子に目がついた。
ぼくは麦わら帽子を手にとった。
これをかぶっていこうかと思ったけど、男が麦わら帽子を……なんて、
ちょっとはずかしい。どうしようかと思いながら、麦わら帽子を見ていたら、
ふと、思い出した。
おじいちゃんが、この帽子をくれたときにしてくれた話を-。
「あのときは、おじいちゃんがそう、おまえくらいのときだったかの。
あのころは、麦わら帽子はちぃと高くてな、子どもみんながみんな
買えんかったんじゃ。
そんなころ、おじいちゃんは、村の片すみにある小さな店で、この麦わら帽子
を見つけたんじゃ。そして、おじいちゃんは、この麦わら帽子をひと目
見たときから、この麦わら帽子に、ひと目ぼれをしてしまったんじゃ。」
「え!? 帽子に?」
「そうじゃよ。それで、おじいちゃんは、どうしてもこの麦わら帽子が
ほしくてな。もし友だちに教えて、友だちもこの、麦わら帽子を買いたくなって
しまったら-そう思ったらこわくて、だれにも教えずに、ただひとりで、
せっせと家の手伝いをして、やっと、3週間後、麦わら帽子を買えるくらいの
お金がたまったんじゃよ。」
「そしておじいちゃんは、うれしさをこらえながら、お店にいったんだ。
すると、ちょうどそのとき、ある女の人が、麦わら帽子を買ってしまって
いたんじゃ。おじいちゃんはあまりのショックで、声も出なかった。
ただぼーっとつったって、声を出さずに泣いているだけじゃったよ。
そして、手の力までぬけてきて、ぎゅっと力いっぱいにぎりしてめいたお金が
地面に落ちて、あちこちにちらかってしまった。そのとき、落ちたお金の音に
気がついて、女の人はおじいちゃんのところに、かけよってきて、
こういったんじゃ。
『ぼく、どうしたの?』
そして、あちこちにちらばったお金を、ていねいに一枚ずつ拾ってくれたんじゃ。
おじいちゃんも、赤くなりながら拾っていたら、急に女の人が、ハッと気がついた
ような顔をして、『ぼく、この麦わら帽子買いたかったの?』そういった。
おじいちゃんも、真っ赤な顔を下に向けながら、『うん……。』といったら、
女の人は少し困ったような顔をして、
『一生懸命ためたんでしょう?ごめんね……。』と……。
そして、もう1度、ごめんねといって、女の人は帰っていったんじゃ。
おじいちゃんは、あきらめようと思ったけど、だめだった……。
気がつくと、いつも足はあの店に向かっていた。毎日、毎日、おじいちゃんは
お店の前で、つったっていた。
そして、いく日か過ぎたある日、あの女の人が、また来たんじゃ、
麦わら帽子を持って。そしておじいちゃんに
『やっぱりここにいた。』と息せきしながら近よってきて、そっと、
おじいちゃんの頭に、麦わら帽子をかぶせてくれたんだ。」
「え!? なんでなんで?」
「うん、その女の人はな、『そのお帽子、ぼくにあげる。』っていった後、
くれた理由を、教えてくれたんじゃ。涙を流しながら……。
『このお帽子はね、お姉さんが使っていたものじゃなく、お姉さんの
おじいさんが使っていたものなの。でもね、そのおじいさんが昨日、
急に亡くなったの。だから、ぼくに、おじいちゃんの代わりに、
大切にしてほしいと思ってここに来たの。受け取ってもらえる?』
『うん!』
でも、今はもうおじいちゃんは、あんまり外に出ることがないから、
おまえさんにあげようと思ってな。」
「ありがとうおじいちゃん!大切にするよ!」
-----------------------------------
ぼくはまた、麦わら帽子を見つめ直した。
そして1時20分、ぼくは、元気よく外にとび出した。麦わら帽子をかぶって-。
(おわり)
おつかれさまでした
この物語は、少し前に亡くなったおじいちゃんを想って描いたもの。
最近になって、これが無性に読み返したくなって。
久しぶりにみてみたら、めちゃめちゃ懐かしくって
しかもつっこみどころ満載な感じの話で恥ずかしかったけど、
たまに読みたくなった時のために、ブログに載せました。
面白かったのが、いただいた評と、コメント。
<評>
翻訳文学を思わせる、ムダのないきれいな文章を書ける人です。
でもあえて愛のムチ。わからない漢字や、使い方に自信のない表現は、
ちゃんと辞書をひいて調べること。才能はあるんだから。
…
特選作、わかめさんの作品のどこがいいって、とにかく文章が清清しい。
ことばづかいの間違いや、舌っ足らずな表現も多いんだけど、
それを補ってあまりある、とてもすてきな文章を書く人です。
…
私、昔から日本語できてなかったみたいです
しかも成長できてないようです
久しぶりに読んでも間違ってる箇所に気づかず、今キーボード打ちながら
やっと気づきました。(多分、あそことあのあたり…)
ともあれ、物語の背景設定にも若干無理があるなかで選んでもらって、
ゲットした図書券で私はマンガを買ったのでした
こちら、1994年の雑誌「中学一年コース」です
わかい。わかすぎる
なんでこんなに古い本があるのかというと…
この中学一年コースを買ってもらっていたころ、原稿用紙5枚位の話を
書いて送ったらその物語が選ばれて載せてもらって、それで
ずっと母がとっておいてくれたのでした。
なつかしすぎる青春の一ページ
ちょっと長くなりますが、時間があれば読んでみてください*^^*
『あの夏の日の、麦わら帽子』
わかめ
ぼくは、今、小学6年生。
夏休みももうすぐ終わり。残り少ない夏休みを、おもいっきり過ごそうと、
友だちと、盛大な野球大会をするという約束をしていた。
ちらっと時計を見ると、まだ1時。約束の時間の1時30分まで、まだ時間が
あるようなので、かぶっていく帽子を探した。
でも、なかなか見つからない。
ふう、とため息をつきながら、ふと隣を見ると、去年亡くなったおじいちゃん
からもらった麦わら帽子に目がついた。
ぼくは麦わら帽子を手にとった。
これをかぶっていこうかと思ったけど、男が麦わら帽子を……なんて、
ちょっとはずかしい。どうしようかと思いながら、麦わら帽子を見ていたら、
ふと、思い出した。
おじいちゃんが、この帽子をくれたときにしてくれた話を-。
「あのときは、おじいちゃんがそう、おまえくらいのときだったかの。
あのころは、麦わら帽子はちぃと高くてな、子どもみんながみんな
買えんかったんじゃ。
そんなころ、おじいちゃんは、村の片すみにある小さな店で、この麦わら帽子
を見つけたんじゃ。そして、おじいちゃんは、この麦わら帽子をひと目
見たときから、この麦わら帽子に、ひと目ぼれをしてしまったんじゃ。」
「え!? 帽子に?」
「そうじゃよ。それで、おじいちゃんは、どうしてもこの麦わら帽子が
ほしくてな。もし友だちに教えて、友だちもこの、麦わら帽子を買いたくなって
しまったら-そう思ったらこわくて、だれにも教えずに、ただひとりで、
せっせと家の手伝いをして、やっと、3週間後、麦わら帽子を買えるくらいの
お金がたまったんじゃよ。」
「そしておじいちゃんは、うれしさをこらえながら、お店にいったんだ。
すると、ちょうどそのとき、ある女の人が、麦わら帽子を買ってしまって
いたんじゃ。おじいちゃんはあまりのショックで、声も出なかった。
ただぼーっとつったって、声を出さずに泣いているだけじゃったよ。
そして、手の力までぬけてきて、ぎゅっと力いっぱいにぎりしてめいたお金が
地面に落ちて、あちこちにちらかってしまった。そのとき、落ちたお金の音に
気がついて、女の人はおじいちゃんのところに、かけよってきて、
こういったんじゃ。
『ぼく、どうしたの?』
そして、あちこちにちらばったお金を、ていねいに一枚ずつ拾ってくれたんじゃ。
おじいちゃんも、赤くなりながら拾っていたら、急に女の人が、ハッと気がついた
ような顔をして、『ぼく、この麦わら帽子買いたかったの?』そういった。
おじいちゃんも、真っ赤な顔を下に向けながら、『うん……。』といったら、
女の人は少し困ったような顔をして、
『一生懸命ためたんでしょう?ごめんね……。』と……。
そして、もう1度、ごめんねといって、女の人は帰っていったんじゃ。
おじいちゃんは、あきらめようと思ったけど、だめだった……。
気がつくと、いつも足はあの店に向かっていた。毎日、毎日、おじいちゃんは
お店の前で、つったっていた。
そして、いく日か過ぎたある日、あの女の人が、また来たんじゃ、
麦わら帽子を持って。そしておじいちゃんに
『やっぱりここにいた。』と息せきしながら近よってきて、そっと、
おじいちゃんの頭に、麦わら帽子をかぶせてくれたんだ。」
「え!? なんでなんで?」
「うん、その女の人はな、『そのお帽子、ぼくにあげる。』っていった後、
くれた理由を、教えてくれたんじゃ。涙を流しながら……。
『このお帽子はね、お姉さんが使っていたものじゃなく、お姉さんの
おじいさんが使っていたものなの。でもね、そのおじいさんが昨日、
急に亡くなったの。だから、ぼくに、おじいちゃんの代わりに、
大切にしてほしいと思ってここに来たの。受け取ってもらえる?』
『うん!』
でも、今はもうおじいちゃんは、あんまり外に出ることがないから、
おまえさんにあげようと思ってな。」
「ありがとうおじいちゃん!大切にするよ!」
-----------------------------------
ぼくはまた、麦わら帽子を見つめ直した。
そして1時20分、ぼくは、元気よく外にとび出した。麦わら帽子をかぶって-。
(おわり)
おつかれさまでした
この物語は、少し前に亡くなったおじいちゃんを想って描いたもの。
最近になって、これが無性に読み返したくなって。
久しぶりにみてみたら、めちゃめちゃ懐かしくって
しかもつっこみどころ満載な感じの話で恥ずかしかったけど、
たまに読みたくなった時のために、ブログに載せました。
面白かったのが、いただいた評と、コメント。
<評>
翻訳文学を思わせる、ムダのないきれいな文章を書ける人です。
でもあえて愛のムチ。わからない漢字や、使い方に自信のない表現は、
ちゃんと辞書をひいて調べること。才能はあるんだから。
…
特選作、わかめさんの作品のどこがいいって、とにかく文章が清清しい。
ことばづかいの間違いや、舌っ足らずな表現も多いんだけど、
それを補ってあまりある、とてもすてきな文章を書く人です。
…
私、昔から日本語できてなかったみたいです
しかも成長できてないようです
久しぶりに読んでも間違ってる箇所に気づかず、今キーボード打ちながら
やっと気づきました。(多分、あそことあのあたり…)
ともあれ、物語の背景設定にも若干無理があるなかで選んでもらって、
ゲットした図書券で私はマンガを買ったのでした