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韓国ドラマ「青い海の伝説」第6話⑦
Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 6 ⑦
第6話⑥
「ですから万一に備えてですね…あなたは医者ですか?」
「今はそんなこと関係ないでしょう。私が言いたいのは、絶食させるにしても事前に伝えるべきだったということですよ。…ですからそれはそれとして、食べることが生き甲斐のような患者ですよ!…」
ジュンジェはセファのために声を荒げて主治医に食ってかかった。
互いに興奮してああいえばこういう口論となった。ジュンジェは怒鳴った。
「空腹で容態が悪化したらあなたは責任を取れるのか?」
主治医とのやりとりを終えた後、ジュンジェはセファの入院してる病院に出向いた。
★★★
ジュンジェは病室の外からそっと中を窺った。
「シムチョンさん」
厨房のスタッフがやってきて食事を届けている。
「はい、特別食のチャンポンです」
セファが届いたチャンポンをがっついて食べる様子を見てジュンジェは嬉しくなった。そして可笑しさも覚えた。
そして、そんな自分にいきなり疑念を覚える。
「あれっ? 俺は何やってる? あいつが食事するのを喜んでるのか?」
ジュンジェは自分の頭を叩く。
「しっかりしろ。ダメじゃないか。俺が喜ぶ理由なんかどこにもない」
その時、携帯が鳴る。セファからだ。
「どうした?」
「特別食をもらったわ」
「だから、何だ? 俺は今、忙しいんだ」
ジュンジェは携帯を切る。晴れやかな気分で帰路に着く。
階段をおりてくると年配の男が立っている。
「ジュンジェ、一段と男前になったな」
ナム部長だった。
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二人は近くの公園に落ち着いた。
「急に引っ越したきり、連絡もしないなんてダメじゃないか」
ジュンジェは苦笑する。
ナム部長は包みを手渡す。
「これは?」
「柚子茶だ。お前の好きな家内の手作りだ。飲んで風邪でも予防しろ。もっと温かく着こんでな」
ナム部長はコートの襟に手を伸ばしてくる。
ジュンジェの脳裏によぎるものがある。子供の頃だ。義母やチヒョンに愛情が行った父と違い、ナム部長はいつも優しかった。
ジュンジェが我がままを言ったり甘えたりしたのは父に仕えていたこの人だった。
義母がチヒョンを連れ家に入ってきて、母は行く先も告げずに家を出た。その日から父は自分に冷たくなった。
「おじさん、ママを家に連れて来てよ」
彼によく泣き言を言ったものだった。
「ママを連れて来ることは出来ないけど、そのかわりおじさんがお前を守ってやる」
「どうしておじさんが?」
彼はジュンジェの手を握って言った。
「おじさんはお前の友達だからだ」
「友達なんかいらない。だからママを連れてきて。ママに会いたいよ」
その後も彼はジュンジェを何かと気遣ってくれたのだった。
父に何かと邪険にされ、家を出る決意を伝えた相手もこの人だった。
「父親はお前のことを大事に思ってる。家を出て行ったら悲しむぞ」
「父さんにはおじさんがいる。家を出て母さんを見つけたら、家を買って二人で暮らします」
「…」
「ですから、おじさんが父さんを守ってください」
それからまもなくしてジュンジェは家を出た。
「母はまだ見つかりません。おじさんとの約束はいつ果たせるか…」
彼は言った。
「お父さんは、今もお前を捜してる」
「…」
「いろいろ整理したいこともあるようだ」
ジュンジェは心を乱された。あの母子が嫌いでならなかった。しかし、今更あの中に戻って行きたくはなかった。
「父には僕のことを忘れてほしいんです。これで失礼します」
それだけ言ってジュンジェは立ち上がった。
ナム部長もすぐ立ち上がる。
「少しは父親の気持ちも分かってやれ」
「…」
「会いたいのに会いたいと口にできない。家族だからこそ素直になれないこともある。お前のお父さんもそうだ」
ジュンジェは何も言えない。
「それに…だいぶ、年を取られたぞ」
気持ちを振り切り笑顔になる。
「柚子茶、おいしくいただきます」
頭を下げて背を返す。
そこから離れたベンチで二人の様子を窺っていた男がいる。ジュンジェに付きまとっているマ・デヨンだった。
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