韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)⑥
韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)⑤
★★★
ナムドゥは女への電話を梯子で続けている。
「結婚したの? ああ、悪かったね。旦那さんと幸せにな…」
気分よく女たちに電話しだしたはいいが、思わしい結果は得られないらしい。
ジュンジェもため息をつくようになった。ホン刑事もジュンジェの異変に気付いた。横で問いかける。
「おい、どうしたっていうんだ…?」
「また始まったのか?」
離れた席からナムドゥが問いかける。
ジュンジェはため息のような声を絞り出す。
「会いたい…」
ホン刑事は辺りを窺って訊ねる。
「誰に?」
もう一度ため息をつき泣きそうな声になった。
「会いたい…」
「何だよ、もう…! シラケるじゅないか」とナムドゥ。「最近、いい酒やっても最後にはこうなっちまうんです。酔っぱらうと急に泣き出しちまうんですよ。それで寝て起きたら忘れてたりするし…」
ナムドゥが説明するそばからジュンジェはメソメソと泣き出した。
「会いたい…」
ナムドゥは叫んだ。
「だから誰に会いたいんだ? それを言えと言ってるんだ」
しかし、ジュンジェはそれを誰にも答えられなかった。答えた瞬間、彼女は自分の頭から消えていってしまう気がしたから。
彼女の心をつなぎとめるためには、ただ偲ぶことしかできないような気がしてたから。
セファは目を開けた。セファの目からも涙がこぼれ続け、真珠が生まれ続けていた…。
ジュンジェに会いたい…!
★★★
ジュンジェは金庫のところへやってきた。パスワードを入れてドアを開いた。中からノートを取り出して開いた。そこにはびっしりと文字が書き込まれている。
ナムドゥはホン刑事らに近頃のジュンジェについて話した。
「あの事件以降、あいつは変わりました。部屋に閉じこもり勝ちで…何度も海に行ってます。じっと海の遠くを眺めたり、1日に二度行くこともあります。自分でも、何のためにそうしてるのか分からない、と言うんです」
ナムドゥの話を聞き、ホン刑事とテオは考え込んだ。話したナムドゥも加わって考え込んだ。
そして一緒にビールを飲んだ。
雪の降り積もった寒い朝、海から砂浜に向けて人の足跡が出来ている。
その海岸へバイク便が走ってきて止まった。配達員はバイクにまたがったままヘルメットを外した。
辺りを見回し、集配箱を開けた。紙バッグを二つ取り出し、指定された長椅子を見つけて置いた。人影は見当たらないが、置いてくれ、とだけ指示はあった。
しかし、ここでいいのか、配達員にとっては心配である。若い配達員はバッグをおくと大きな声で叫んだ。
「言われた通りここに置いていきます。配達しましたからね」
繰り返し叫んでおいてそそくさ引き上げていった。
バイクの姿が消えてからバッグを急いで手にした者がいる。
セファはトイレでバッグ在中の衣服を素早く着込んだ。海水のしみ込んだ髪を丹念に洗った。
そこへ女が用足しでやってきた。
人の気配を感じてセファは手を止めた。怪訝そうにする女を上手に言いくるめる。
「どうぞお構いなく…」
そうして髪を洗い終わるとドレスアップは完了だ。サングラスをすると鏡の中にはソウルにしかいない女の姿が現れた。
「この姿…ヤバいわね」
セファはトイレを出て降り積もる雪の中を歩き出す。
程なく前方にバスが止まっている。市街区に向かうバスのようで客が乗り込みだしている。
「観光バスだわ」
セファはバスに向かって駆けだした。
観光バスは都心部にセファを乗せてきた。見慣れた場所でセファはバスからおりた。
周囲を埋め付くすビルを眺めながら思い切り深呼吸をする。
「この匂い…やっぱり人が多いわね。懐かしいわ…」
眺めを楽しみながらセファは歩き出す。
「あらっ、いつの間にあんなビルが? それだけの時間が流れたのね」
人並みに納得しながら辺りに目をこらす。先立つことをやらねばならない。
「宝石店はどこだったかしら…」
宝石店は見つかり用もすんだ。
「どうもお世話様」
「どうもお世話様」
店主に挨拶してセファは宝石店を後にする。
セファが店を出た後、店長は宝石の鑑定に大わらわだ。持ち込まれた大量の真珠がぜんぶ本物かは分からない。それを調べるのに必死となった。
<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb2db9