韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)⑦
韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)⑥
★★★
「観光バスだわ」
セファはバスに向かって駆けだした。
観光バスは都心部にセファを乗せてきた。見慣れた場所でセファはバスからおりた。
周囲を埋め付くすビルを眺めながら思い切り深呼吸をする。
「この匂い…やっぱり人が多いわね。懐かしいわ…」
眺めを楽しみながらセファは歩き出す。
「あらっ、いつの間にあんなビルが? それだけの時間が流れたのね」
人並みに納得しながら辺りに目をこらす。先立つことをやらねばならない。
「宝石店はどこだったかしら…」
宝石店は見つかり用もすんだ。
「どうもお世話様」
店主に挨拶してセファは宝石店を後にする。
セファが店を出た後、店長は宝石の鑑定に大わらわだ。持ち込まれた大量の真珠がぜんぶ本物かは分からない。それを調べるのに必死となった。
★★★
若い女が魚屋の水槽を涎でも垂らしそうにして観察している。
セファは彼女に声をかけた。
「あなた、どこから来たの?」
女は悲鳴とともに立ち上がる。
目をギョロギョロさせ、恐る恐る訊ねる。
「どなたですか?」
「どこの海から来たのさ?」
女は警戒心を強めた。
「どうしてわかったの?」
「私の質問に答えなさいよ」
女はやむなく答える。
「いつもは済州島の海で過ごしているわ」
「なぜここに?」
「…」
「ひょっとしてお腹空かせてる?」
その時、店員が顔を出した。
「どうぞお入りになりませんか?」
金はたんまり持っている。セファは逃げようとする彼女(人魚)を引き留めて店に入った。
料理が運ばれてくると彼女は手づかみで食べようとする。
「待ちなさい」
セファは彼女の手をつかんだ。
「ほらほら早く!」
女は手を引っ込める。
「それじゃダメよ。変人扱いされるか怪しまれるわよ」
「…」
「見てなさい」
セファは箸を手にした。器用に食べ物を挟んで口に運ぶ。
「ああ、私も見たことあるわ…」
彼女は箸を手で握る。
「なぜ、ソウルへ?」
「会いたい人がいるんです」
「…」
「人間に混じって遊んでたら、ソウルの男と出会ったの」
―ソウルの男…
セファは腕を組みソッポを向いた。
―私と同じじゃない。
「半月、必死で泳いだわ」
―半月…私が上ね。
セファは言った。
「その男に呼ばれた?」
女は顔を上げた。
「告白された?」
「…:
「結婚しようって?」
「そうは言われてはないけど…」
「(やっぱりね…)相手の気持ちも分からないでやってきて、どうするつもり?」
「…」
「その状態じゃ…」
セファはテーブルの上に身を乗り出した。
「よく聞きなさい。陸に上がると人魚の心臓は固まり始めるの」
女は顔色を変えた。
「ほんとに?」
「そうよ」
セファは辺りを気にしながら答えた。
「水中とはまるで勝手が違うのよ。人魚が陸で生き続ける方法はひとつだけ」
「…」
「あなたが愛する人に愛されることよ。それしかない。その人に愛される自信ある?」
女はだいぶ気持ちを挫かれた様子で、自分の心臓を気にしだす。
しかし思い直して言う。
「会えば何とかなると思うけど…電話をかけても出ないの。会う方法はないわ」
「そう」
セファは頷く。
「いい勉強になったわね。これを食べたら帰りなさい」
そう言って箸を握る。
女は質問を返してきた。
「あなたは愛されてるの?」
セファは箸を置いた。
「もちろんよ。私しか愛せない。ステキな人にね。だから心臓も元気よ」
「ならどうして海に戻ったの?」
「…銃で心臓を撃たれたの」
女は口を押えた。
「銃で撃たれたの?」
「うん。一瞬でサメを殺すだけあって強烈よ。撃たれてみなきゃ分からないわ」
「…」
「だから海に戻って身体にいいもの食べて…そして、ようやく回復したの。もちろん、それだけでも足りなかったわ」
「どうして撃たれたの?」
「彼を守るためよ。ちゃんと守れたし後悔もしてないわ」
「その人はどこにいるの? 戻ってきたことはちゃんと伝えた?」
「…(これから会いにいくつもりよ)」
一目ぼれの男を捜し求めてソウルまでやってきた若い女(人魚)と別れた後、セファはジュンジェの屋敷に向かった歩いた。歩く道すがら、ジュンジェと過ごした色んな日々がセファの脳裏をよぎった。これらの記憶は自分の頭の中だけで息づいている。
やがてジュンジェの屋敷にたどり着いた。
ジュンジェたちは今、どんな日々を過ごしているのだろう。
セファは気持ちを躍らせながらインターホンを押した。
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