雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第9話⑧






韓国ドラマ「青い海の伝説」第9話⑧
Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 9 ⑧


第9話⑦

 セファはイルジュンを見上げる
「この人もジュンジェの家族?」
「息子のお知り合いですか?」
 チヒョンが少し慌てたように説明しだす。
「実は…」
「何だ?」
 そこへ病室からジュンジェが出てきた。
 セファは立ち上がる。ジュンジェは父と目を見合す。
 イルジュンは驚きを隠さない。何年も顔を合わせなかった息子である。2人はしばらく言葉を見失っていた。
 2人はコーヒーラウンジで向き合った。

★★★


 互いの気まずい思いは2人を過去に向かわせた。妻を含め、家族3人で楽しかった日々がイルジュンの脳裏で蘇った。
「パパ。あとでバナナ牛乳を買ってね」
「ちゃんと背中を流してくれたらな」
「うん、流す。流してあげるから」
 イルジュンはジュンジェの頭をコツンとやって頷く。
「分かったよ」
 2人は銭湯の階段を駆け上がっていった。

 しかし、ジュンジェの脳裏には継母と義兄のチヒョンに優しくする父親の姿しか思い出せなかった。
「ジュンジェは行かないのか?」
「3人で行きましょ。お腹が痛いと言ってるから。後で何か食べさせるわ」
 継母に邪険に扱われたあの日も帰宅した父は自分に声をかけてくれず、継母とチヒョンの3人で食事に出かけてしまった。
 家に取り残された自分はずっと泣いていたものだった。





「顔の怪我はどうしたんだ?」
 ジュンジェは苦笑した。
「今更、心配ですか?」
「家を出て行くから苦労するんだ。自業自得だな」
「そうでもない。家を出て父さんから離れて清々してる。苦労は何もしてない。あの家にいた時よりもね。気楽に過ごしてる」
「…私が何をした? チヒョンのことか? 本当に分からないのか?」
「…」
「お前よりチヒョンを大事に思ってるとでも? そんなはずないだろ。お前は実の息子じゃないか」
「捨てたじゃないか」
「…」
「母さんと一緒に過ごす人生を…みんな捨てて新しい家族を選んだ」
「…」
「自分で決めたことだろ?」
「…」
「だから、未練も捨ててくれ」
 イルジュンは咳払いをして話し出す。
「人生というのは…思い通りにいかないんだ。私はもう年だ。お前と相続の話をしたい」
「…」
「だから家に戻って…」
「いや、戻らない。自分は何もいらない。それが金だったり、どんなにありがたい人生訓だったりしても…父さんからは何ひとつ受け継ぎたくない」
「…」
「もう、係わりたくないんだ。顔だって見たくない」
「お前というやつは…」
 イルジュンは悲痛な顔になった。
「だけど」
「…」
「元気でお過ごしください」
 ジュンジェは立ち上がった。深く頭をさげてイルジュンの前から立ち去った。
「ジュンジェ」
 イルジュンは息子の後を追おうとした。しかし立ち眩みを覚え、そこからしばらく動けなかった。




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