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アンナは続けた。
「そして、さよなら・・・」
アンナはコッスンの食事を用意して玄関を出てくる。
外で憩っていたコッスンは立ち上がって尻尾を振る。
食事を与え、アンナはしゃがみこんでそれを眺める。
「コッスンも元気でね。あなたともこれで最後よ」
犬小屋に結わえた紐を外す。
「好きな犬とたくさん会いなさい・・・」
それから出て行く支度を整えた。
しかし、出て行くとなるとやはりためらいもある。
アンナはカバンを握ったまま、しばし部屋に立ち尽くす。ここで過ごしたいろいろの思いや時間が頭の中をかすめていく。
それでも出て行くと決めた。ゆっくり部屋を見回したあと、玄関に向かう。
部屋を出てドアを閉める・・・。
チョルスはいっこうにかかってこない電話をいぶかった。携帯を見つめてつぶやく。
「珍しいな。今日は静かだ・・・携帯にもそろそろ飽きてきたのかな」
チョルスにお昼のご飯をよそってあげながらケジュが訊ねた。
「ナさんにお金を稼げと言ったのはほんとなの?」
「えっ?」
「彼女に聞かれたのよ。”どこか働き口知らない? 英語とピアノでお金を稼げるか?”ってさ・・・」
「サンシリッがそんなことを?」
「そうよ」
ケジュは隣に座っているドックにもご飯をよそってあげる。
この時、事務所の電話が鳴った。
チョルスは立ち上がって電話に出た。
「失踪者センターですが、資料は届きましたか?」
「資料って、何の資料ですか? 施設の資料について女性の方と話をしたのですが・・・」
アンナは街道に出てバスが来るのを待った。
時間どおりバスはやってくる。アンナはバスに乗り込む。バスは空いていた。
胸騒ぎを覚えたチョルスはアンナに電話を入れた。
しかし、アンナは電話に出ない。
アンナの寝床の上で携帯は空しく鳴り続ける。
「・・・!?」
携帯を見つめてチョルスはふとアンナの言っていた言葉を思い返す。
「チャン・チョルス。ありがとう・・・」
チョルスは立ち上がった。急いで外に飛び出して行った。
「食事中にどこ行くの?」
ケジュとドック親子はびっくりして出て行くチョルスを見送った。
チョルスは急いで車を走らせた。
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