「チャン・チョルス! あんたがなぜここに?」
「通りすがりに偶然お前が目についた」
チョルスはぶっきらぼうな口調で答えた。
「目に付かないように遠くへ行くわ」
アンナは精一杯意地を張る。背を返し、行こうとする。
「行くな!」
チョルスは叫んだ。
アンナの足が止まる。振り返る。
「お前が行ってしまったら、捜しに行けなくなるからお前が行くな」
アンナはまっすぐ向き直った。
「私を引き止めてるの?」
「そうだ。図々しいけどこのままお前を行かせたくない」
「私はサンシルよりずっと意地悪な女よ。あんたをうまく愛せなかったらどうするの? 私は気まぐれで、冷たくて我がままで、それに」
「わかってる」
アンナは顔をあげた。チョルスを見た。
「それでもお前が好きだと言ったじゃないか」
「我慢できなかったら――どうするつもり?」
「我慢できるさ。それが愛だろ。お前が好きだ。愛してる!」
「…」
「チョ・アンナでもナ・サンシルでもいい。そこにいるお前を愛してる」
チョルスの告白にアンナの心はときめいた。ときめいて震えて感激が押し寄せた。
――チャン・チョルス、私もあんたを・・・
アンナの目から涙が溢れだした。
チョルスはアンナのもとに歩み寄った。プリンセスごとアンナを抱きしめた。
チョルスの腕の中でアンナは目をつぶった。少しずつ少しずつ幸せの実感をかみしめた。
目を開けた時、アンナに無垢で素直な少女の姿と笑顔が訪れていた。
やがて車が動き出す。止まっていた今までの時も動き出す。
二人の前に長閑な海の景色が広がった。
アンナが笑顔で砂浜を歩いてくる。
「コッスンはどこ? どこにいるの?」
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