雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第16話(14)





「チャン・チョルス! あんたがなぜここに?」
「通りすがりに偶然お前が目についた」
 チョルスはぶっきらぼうな口調で答えた。
「目に付かないように遠くへ行くわ」
 アンナは精一杯意地を張る。背を返し、行こうとする。
「行くな!」
 チョルスは叫んだ。
 アンナの足が止まる。振り返る。
「お前が行ってしまったら、捜しに行けなくなるからお前が行くな」
 アンナはまっすぐ向き直った。
「私を引き止めてるの?」
「そうだ。図々しいけどこのままお前を行かせたくない」
「私はサンシルよりずっと意地悪な女よ。あんたをうまく愛せなかったらどうするの? 私は気まぐれで、冷たくて我がままで、それに」
「わかってる」
 アンナは顔をあげた。チョルスを見た。
「それでもお前が好きだと言ったじゃないか」
「我慢できなかったら――どうするつもり?」
「我慢できるさ。それが愛だろ。お前が好きだ。愛してる!」
「…」
「チョ・アンナでもナ・サンシルでもいい。そこにいるお前を愛してる」
 チョルスの告白にアンナの心はときめいた。ときめいて震えて感激が押し寄せた。


――チャン・チョルス、私もあんたを・・・

 アンナの目から涙が溢れだした。
 チョルスはアンナのもとに歩み寄った。プリンセスごとアンナを抱きしめた。
 チョルスの腕の中でアンナは目をつぶった。少しずつ少しずつ幸せの実感をかみしめた。
 目を開けた時、アンナに無垢で素直な少女の姿と笑顔が訪れていた。

 やがて車が動き出す。止まっていた今までの時も動き出す。

 二人の前に長閑な海の景色が広がった。
 アンナが笑顔で砂浜を歩いてくる。
「コッスンはどこ? どこにいるの?」



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