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韓国ドラマ「病院船」から(連載194)
「病院船」第18話➡医療空白⑦
★★★
ウンジェが身の回り品をかかえて玄関に出て来ると、救急車が到着したところだ。
事務長の姿を見てウンジェは身の回り品の箱を足元に置いた。搬送されて来た患者のもとへ駆け寄った。
「患者はどなたですか?」
事務長が答えた。
「元妻ですが何が何だか…」
「こちらへ」
「はい」事務長は応じる。
患者を乗せたストレッチャーは玄関へ向かう。
ウンジェは事務長たちを振り返った。
自分はこの病院を離れた身…―しかし、ウンジェは数秒の思案で病院内に駆け戻った。
受付に身の回り品とバックを預けるとスタッフの声も聞かずに患者の後を追った。
★★★
「まずは状態を確認します」
事務長の元細君、ソンヒの対応にあたるカン・ドンジュンのもとにウンジェは駆け付けた。ドンジュンの向かい側に立った。
「どうですか?」
ドンジュンは顔を上げた。
「黄疸がひどい」
目の色を確認し、ウンジェは事務長を見た。
「脂肪肝や肝硬変などの持病は?」
「いや、ないはずだが…」
カン・ドンジュンは患者に話しかける。
「聞こえますか? 返事してください」
患者は目を開ける。
「お名前は?」
患者はドンジュンとウンジェを見た。
「ここはどこですか?」
「…ソウルです」
「ソウルですか?」
患者は頷く。ウンジェは怪訝そうにする。
「今、西暦何年ですか?」
「…西暦1988年です」
ウンジェは患者から目を離した。何か思い出す表情になった。
1988年―ソウルオリンピックのあった年…
「1988年ですか?」
「そうです」
ウンジェとドンジュンは目を合わせた。
「何を言ってるんだ…ソンヒ」
と事務長。
「前に手を伸ばしてください」
ウンジェは促し、患者の両腕を握る。
片方の腕をドンジュンが握り、持ち上げる。
腕を放してウンジェが指示を出す。
「手を開いて」
「そのままで」とドンジュン。
両腕は細かに揺れた。
ウンジェはドンジュンを見た。
「羽ばたき振戦(固定姿勢保持困難(asterixis)な不随意運動)です」
「そうだな」
「肝性脳症のようです」
「…」
「急性肝不全の可能性が高いかと」
ドンジュンは頷く。
「消化管出血があるから、まずは止血してから…」
「病院船」第18話➡医療空白⑦
★★★
ウンジェが身の回り品をかかえて玄関に出て来ると、救急車が到着したところだ。
事務長の姿を見てウンジェは身の回り品の箱を足元に置いた。搬送されて来た患者のもとへ駆け寄った。
「患者はどなたですか?」
事務長が答えた。
「元妻ですが何が何だか…」
「こちらへ」
「はい」事務長は応じる。
患者を乗せたストレッチャーは玄関へ向かう。
ウンジェは事務長たちを振り返った。
自分はこの病院を離れた身…―しかし、ウンジェは数秒の思案で病院内に駆け戻った。
受付に身の回り品とバックを預けるとスタッフの声も聞かずに患者の後を追った。
★★★
「まずは状態を確認します」
事務長の元細君、ソンヒの対応にあたるカン・ドンジュンのもとにウンジェは駆け付けた。ドンジュンの向かい側に立った。
「どうですか?」
ドンジュンは顔を上げた。
「黄疸がひどい」
目の色を確認し、ウンジェは事務長を見た。
「脂肪肝や肝硬変などの持病は?」
「いや、ないはずだが…」
カン・ドンジュンは患者に話しかける。
「聞こえますか? 返事してください」
患者は目を開ける。
「お名前は?」
患者はドンジュンとウンジェを見た。
「ここはどこですか?」
「…ソウルです」
「ソウルですか?」
患者は頷く。ウンジェは怪訝そうにする。
「今、西暦何年ですか?」
「…西暦1988年です」
ウンジェは患者から目を離した。何か思い出す表情になった。
1988年―ソウルオリンピックのあった年…
「1988年ですか?」
「そうです」
ウンジェとドンジュンは目を合わせた。
「何を言ってるんだ…ソンヒ」
と事務長。
「前に手を伸ばしてください」
ウンジェは促し、患者の両腕を握る。
片方の腕をドンジュンが握り、持ち上げる。
腕を放してウンジェが指示を出す。
「手を開いて」
「そのままで」とドンジュン。
両腕は細かに揺れた。
ウンジェはドンジュンを見た。
「羽ばたき振戦(固定姿勢保持困難(asterixis)な不随意運動)です」
「そうだな」
「肝性脳症のようです」
「…」
「急性肝不全の可能性が高いかと」
ドンジュンは頷く。
「消化管出血があるから、まずは止血してから…」
その時、近くから声がかかった。
「ソン先生」
顔を上げるとキム院長とミョン・セジュンが並んで立っている。
ウンジェは目を落とした。
「そこで何を?」
「…」
「ソン先生は出て、ミョン先生が診ろ」
「院長…」
「カン先生―」
「はい、院長」
ドンジュンは委縮した。
「ソン先生は辞めた人だ。それでいいのか?」
ドンジュンはうろたえる。
「わ、分かってます」
「なのに、なぜ診療させる。それでも科長か? わきまえろ」
「も、申し訳ありません」
ドンジュンはウンジェに声をかける。
ウンジェはやむなく頷く。
「君が診ろ」
キム院長はミョン・セジュンを促した。
ウンジェはミョン・セジュンに場所をゆずり、後ろに引き下がった。
患者を診てミョン・セジュンは看護師に指示を出す。
「消化器内科で止血を行った後に血液と肝機能を検査する」
「はい」
それを見てキム院長は黙って背を返した。
緊急の患者を目の前に何も出来ない自分にウンジェは頭を手でかきむしった。口惜しさをにじませた。
院長室に戻ったキム・スグォンも本意でない自分の行動に苛立ちを覚えていた。本意を縛り組織の駒としてしか動きようのない自分が情けなかった。
テーブルに置かれた書面を手にする。
”新館増築 完成図”のイラストがあがり、ドゥソングループから届いていた。
スグォンはこれらをしばし眺め、手で押し飛ばした。