韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第9話(12)
Korean drama "You're Handsome" Episode 9 (12)
「おっ、ミナム歌うのか?」
フニはマイクを手にしたまま、ミニョをステージに誘導した。
「ミナムが歌うのか?」
みなはミニョに注目した。
「コ・ミナム! コ・ミナム・・・!」
いっせいに歓呼が起きた。
「コ・ミナム! コ・ミナム・・・! ヤホッー!」
みなの期待にミニョはマイクを手にしたまま頭を下げた。
「歌うってよ」
「ミナムが?」
中だるみだったステージはミニョが登場して一変した。アン社長を先頭にやんやの喝采と拍手が起きた。
そんな中、ミニョは愛らしい声で歌いだす。
「ミナム、頑張れ!」
「ファイト!」
ジェルミやシヌも手を叩いてミニョを応援する。
みんなミニョの歌を喜んでいるが、テギョンは違う。口を曲げてミニョの歌を聴いている。
このまま歌い続けると女だとバレてしまいそうな歌声だ。
ところがどっこい、ユ・ヘイは悪巧みの実現に向かって行動を起こしている。
彼女はさっきワンが仲間に指示を出していた場所に戻ってきた。準備が整い、ステージの上からいつでも水がぶちまけられるのを知っている。
彼女はミニョを見て一瞬ニヤリとした。ボタンを押した。
ミニョに向かって滝のように水が注がれた。ミニョは悲鳴をあげた。
「何だあれは?」
「どうしたんだ?」
突然のハプニングに場内は騒然となった。
「いったい、どうなってる?」
ミニョはずぶぬれのままステージに立ち尽くした。
それを見て、してやったり、とばかり、ユ・ヘイは実行場所を離れた。
ミニョは困惑と惨めな思いにさらされた。どんな対応を取ればいいかも分からず、ただ惨めな思いを引きずって彼女はその場に立ち尽くした。
ミニョを見つめるテギョンの表情は変わった。
これは彼女の起こした頓馬な事態ではない。
さっと席を立つ。テーブルクロスを引きはがし、それを手にステージに上がった。その後にシヌとジェルミが続いた。
テギョンはテーブルクロスでミニョの濡れた身体を包み込んだ。A.N.JELL4人でステージに勢ぞろいした。
ジェルミがマイクを握って宣言した。
「それではA.N.JELLからのメリークリスマス!」
「おお、いいね」アン社長は手を叩いて立ち上がった。「みんなも立て」
場内はいっせいに拍手と歓声で包まれた。
A.N.JELLのメンバーらはそれぞれで歌いだし、ステージは会場全体を包み込んで進行した。
マイクを向けられ、ミニョも再び歌いだした。肩を組み合ってテギョンも歌い、ジェルミも歌った。
花吹雪が舞い、4人のチームワークはますますきらめきを増したのだった。
「A.N.JELL最高!」
場内はいっそうの盛り上がりを見せた。
狙いが裏目に出てユ・ヘイは悔しさに打ちのめされた。
帰りの車の中でジェルミは声を弾ませた。
「今日は楽しかった。一生、忘れない」
「シーッ! ミナムが寝てるぞ」
「本当だ」
ミニョは座席で泥のように眠っている。
「そういえば、必死で何か探してたよな・・・?」
「うん。だけどやめるって・・・自分には資格がないってさ・・・」
「何のこと?」
「分からない。だけど、失くしたと慌ててる時より、あきらめた時の方が辛そうだった・・・」
「見つかりそうもなくて、わざと言ったのかも・・・?」
(続く)
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