韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第16話(最終回)(12)
Korean Drama "You're Handsome" Episode 16 (Final) (12)
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コンサートの準備は着々と進んでいる。
ステージの袖の下に立ってテギョンは考え込んでいる。
「おい、テギョン」
アン社長の声がした。
声のした方をうかがうと社長のそばに母親が立っている。テギョンの顔はいっそう曇った。反射的に目を背けていた。
自分とミニョの間がギクシャクした一番の要因は母親だとの気持ちがあるからだった。みんな母親のせいにしたいほどだった。
テギョンは母親と向き合った。長い沈黙があった。
先に口を開いたのはモ・ファランだった。
「あなたに”許してくれ”と謝っても、ムダだとは分かってる。だけど、言わせてもらうわ」
「・・・」
「ごめんなさい、テギョン」
目を背けていたテギョンは顔を上げた。まっすぐ母親を見た。傲慢で自分本位だった母親が初めて口にした謝罪の言葉だった。
「あなたは絶対私を見捨てないと高をくくってた。自分のことばかり考え、あなたを傷つけてきた。母さんと呼ばれる資格もない女よ」
テギョンは母親を見つめ返した。
「いきなり、どうしたんです?」
「怖くなったの。あなたは本気で私と縁を切ろうとしてる。私はあなたを失いたくないと必死なの」
「意外ですね」テギョンはクールな声で言った。「今まで、人にすがったりはしない人だと思っていました」
「あの子に・・・直接、謝りにいって許しを請えと言われたわ」
「彼女に会ったんですか?」
「会ったわ。彼女に許してもらえばあなたも会ってくれるかと思ったから」
「・・・」
「あの子が遠くにいくのは知ってるの?」
「・・・」
「私がこんなこという資格はないけど、自分のせいで大切な人を失って後悔はしてほしくないの」
「なぜ、そんなことを言うんです?」
「大切な人を行かせるのは・・・愛ではないからよ。この言葉が、母として見せられる精一杯の愛よ」
その言葉に反発の表情を見せて行きかけたテギョンは足を止めた。背を向けたまま言った。
「許すとは言えません。いつかまた・・・また謝ってください。お元気で・・・お母さん」
テギョンの最後の言葉にモ・ファランは嬉しさを噛みしめた。
テギョンは歩きながらジェルミやユ・ヘイ、シヌ、母親の言葉を思い返した。
――気持ちを伝えないのなら待たなかったのと同じだ。この大馬鹿野郎!
――あなた、終わったなんてウソね。
――ちゃんと引き止めたか?
――大切な人を失ってほしくないの。
テギョンの足取りは次第に速くなる。
舞台の袖にいるフニを見つけて駆け寄った。腕をつかんだ。
「な、何だよ?」
「あいつはどこにいる? おしえろ!」
(続く)
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