雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第9話(13)



「アンナは僕に一度も会ってくれなかった。100日が過ぎて・・・僕はあきらめようとしていた。アンナは自分にとって高嶺の花だったんだ。ところが・・・アンナの方が自分を訪ねてきた・・・」
「シビレルーッ!」
 コン室長はガッツポーズをした。
「奥様を感動させたわけですね?」
「いや」ビリーは首を振った。「日にちを間違えたんだ。一日勘違いして最後の日に訪ねなかったんだ。まるで奇跡だった・・・」
 ビリーはうっとりした目を天に向けた。
「その度胸が気に入ったわ。あなたと結婚してあげる」
 アンナはそう言って左手を差し出した。
 ビリーは彼女のその手を取って指輪をはめてあげた。
「そうして僕はアンナの心をつかんだのだ」
 握りこぶしをつくり、ビリーは自分の手にはめられた指輪を見た。
 そこでふと、新たな作戦が思い浮かんだ。
「そうだ、これがあった」ビリーの楽天性は再び花を開かせた。「アンナの心をつかめばいいんだ」
「ええっ?」
 ビリーはベッドから脱け出た。
「アンナをもう一度振り向かせればいいんだ。これだこれ」
「そんな手でいけるでしょうか?」
 コン室長は点滴の容器を握ってビリーについて歩きながら訊ねた。
「何をいう?」
 ビリーはコン室長を振り返った。
「僕は彼女を知り尽くしてるんだ。嫌いな物も好きな物も全部知り尽くしてる。アンナが忘れた過去まで知ってるんだ」
 点滴の管がもつれないように握ったままコン室長は頷く。
「それは確かにそうですね」
 さっきまでの悲観はどこへやら、ビリーは悦に入りだす。
「彼女の心を開かせれば・・・記憶が戻った時も許してくれるさ」
「・・・」
 ビリーの描いたストーリーはどんどん進む。
「チャンと暮らす姿に胸を痛めながら・・・それを静かに見守っていたと言えばいいんだ」
 コン室長はこっくり人形のように頷いた。
「ずるい考えですが、悪くない方法ですね」
 コン室長は指を鳴らそうとしたが鳴らなかった。
「純情精神ですね」
「そうだ、純情精神だ。僕は今から純情まっしぐらで進む」

 チョルスはアンナを探し回った。
「家にも帰らず、電話にも出ないで・・・あいつ、どこで何やってるんだ・・・これじゃあ、携帯を買ってやった意味がないよ」
 あっちこっち探し回り、チョルスはようやくアンナを見つけた。バスの待合ボックスの中に彼女はいた。
「やれやれ・・・あそこにいたか」
 チョルスは安心して、ゆっくり歩き出した。
 物思いに耽っているらしいアンナはチョルスに気付かない。チョルスはアンナの後ろ側に立った。そこからアンナに電話をかけた。
 アンナは携帯を耳に当てた。
「何?」
「家に帰らないのか?」
「心配する振りはやめて。一人でちゃんと帰れるから」
「非行少女か? 早く帰ってこい」
「いやよ。気分が悪いの。一時間たったら帰るわ」
 アンナは携帯を切った。
 意地っ張りな表情で物思いに耽りだす。
「困った。どうしたもんかな・・・」
 チョルスは持て余した目をアンナに送る。
「本当のことは言えないし、このまま待つしかないかな・・・」
 チョルスはアンナと背中を向け合ってその場に座り込んだ。



script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「ファンタスティックカップル」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事