しかし、携帯は見つからない。アンナは舌打ちする。
「今まで出てこないのは…まさか、もう誰かが拾って自分のものにした?」
アンナは歩き出しながら携帯で電話しながらやってくる女に声をかける。
「ちょっと、その携帯見せて」
女は怪訝そうにする。
「早く!」
命令調にビクッとして携帯を渡す。
携帯の表裏を眺めまわした後、アンナは言う。
「同じ機種だけど古いわね。いいわ」
携帯を女に戻し、指示を出す。
「もし同じ携帯を拾ったら短縮一番”チャン・チョルス”に電話して」
自分のいうことだけ言って携帯探しを続ける。次にまた携帯で電話してる者を見つけると駆け寄っていく。声かけてその人間の携帯を調べだす。
「同じ機種だけど古いわね。いいわ、はい。もし拾ったら、短縮一番に電話して。チャン・チョルスという者が出るから」
アンナの後をつけながらチョルスは呆れた。
「世界はあいつを中心に回っているようだな…ああいうところはちっとも変わってないのに…どうして憎めないんだろう?」
アンナはあきらめずに携帯を探して歩き続ける。
ふと足を止めるとそこは中華料理店の前だ。
アンナはいったん店を通り過ぎてそこへ戻る。
「携帯を探さないといけないし…ジャージャー麺もやめると決めたんだけど…お腹が空いてるから」
自分に言い聞かせて店に入っていく。
店は家族連れで混んでいた。
一人でテーブルに座っているのはアンナだけだった。彼女の前にジャージャー麺が運ばれてくる。
家族連れを眺め回し、アンナはつぶやく。
「何だか、一人では食べづらい雰囲気ね」
舌打ちする。
「こうなるんだったらチョルスも一緒に連れてくるんだったわ」
割り箸を割って食べ始めようとしたらアンナの前に男が来て座った。チョルスだった。
チョルスは店員に声かけた。
「ここにジャージャー麺をもう一つ」
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