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雨の記号(rain symbol)

「朱蒙」から③朱蒙と召西奴

  このドラマは三角関係がいっぱい出てくる。ともかく出てくる。三角形がいっぱい押し込まれているわけだから、ドラマも面白いはずである。三角の土台の集まりだから、当然ながら話全体の骨格も強い。

 せっかくだから、ここに挙げてみよう。

1、 朱蒙→召西奴→帯素
2、ヘモス→柳花→金蛙
3、 ヨミウル→金蛙→王妃
4、召西奴→朱蒙→イエソヤ
5、オイ→プヨン→朱蒙
6、ウテ→召西奴→朱蒙

 列挙し続けるならまだまだ出てこようが、このドラマ自体も高句麗→漢→夫余の三角関係の彩りを呈していくから中国の「三国志」を土台として編まれたドラマであるのは確かであろう。しかし、中国制作の「三国志」よりこっちの方がはるかに面白いのは不思議なことである。こっちは色恋がまじり、艶っぽいというのもあるが、何せみんな演技力がすごい。俳優たちがどうしてああもわかりやすいキャラに収まってくれているかが、不思議でならないほどだ。
 だから登場人物が多くても気にならないのであろう。これほどの大団円のドラマは無個性の人間にいっぱい出てこられたら整理に困るところであるから。
 プヨン役のイム・ソヨンも決して下手な演技ではなかったと思うが、そのせいで途中降板だったと聞く。しかし、ドラマが完結してみると、プヨンのあの去り方は余韻を残してよかったとは思う。どこぞの国の貴族の娘だったようだが、囚われの身で夫余にきた。朱蒙への思いを断ち切り、弟や妹を引き連れて夫余を去ったが、その後どうなったのであろう。そういえば、朱蒙が夫余の外に出て、いろんな世界を見てみたいと思い立ったのは、プヨンが弟妹を連れて夫余を去ったからだった。そこからプヨンの成長は急となっていった。プヨンの去り方にもスタッフはちゃんと花を添えた。ドラマづくりの上手な人たちではある。
 しかし、プヨンが去ってさびしいには違いなかった。朱蒙が活躍しだした後半を見ている時も、僕はプヨンはどうなったかな、どこかで出てくるかなと期待したものだ。だが、彼女はとうとう出てこなかった。視聴者サービスで出してくれればいいと思ったが、ストーリー上むりであったのだろうか。
 
 朱蒙→召西奴→帯素

 この三角関係は「朱蒙」の前半を華やかに彩っている。朱蒙と召西奴、帯素と召西奴はそれぞれ異なった出会い方をする。今風に言えば、朱蒙らは街中の自由恋愛の趣があるし、帯素らは宮中内での見合い型の趣である。朱蒙らは従って命を賭すような場面に何度も遭遇するが、帯素らは必ず形式的な場所でしか話を取り交わさない。冒険に向かうこともない。
 主役と敵役の差と言ってしまえばそれまでだが、物語の主役は自由奔放な方が視聴者を爽快感で包んでくれるということであろう。
 奔放さを失った主役は小さなホームドラマの世界でしか生きられないということかもしれない。
 今、「朱蒙」は十五話あたりを楽しんでいるが、二人はこれからも時に一人、時に手を携えあって、険しい道のりを歩んでいくことになる。二人はなかなか結ばれないが、いちいちの事情が説得力を持っているドラマなのである。
 前半の苦しみが後半の痛快さを生んでくるのも見どころでもある。前半は抑えて我慢して見るべし。
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