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ナレーションとともに戦争の場面からドラマは始まる。
紀元前108年。強力な鉄製武器を持つハンナラ(漢)軍の侵略を受けた古朝鮮は、漢の暴政によって土地を引き裂かれ、滅亡した。奪われた土地は楽浪郡、真屯群、臨屯群、玄菟群の四つにわけて設置され、統治された。朝鮮流民はちりぢりになり、その一部は他国へ逃れ、長い放浪が始まり、疲れ果てていった。
そして、漢軍の暴政が極限に達した頃、荒れた平原のあっちこっちから抵抗ののろしがあがりだす。
その中心にヘモスがいた。
玄菟群の玄菟城では、ハンナラ(漢)の権勢を誇るかのように武術大会が行われていた。その中には右目に眼帯で変装した金蛙(後の夫余王)の姿があった。金蛙は腕自慢たちを次々と退けて優勝する。
王が金蛙にほうびを取らそうとする時、口にマスクをし、竹の編み笠をかぶった一人の男が武闘場に入ってくる。ヘモスだった。
ヘモスは金蛙に戦いを挑む。武術大会の時間は過ぎたから下がれと制止されるが、金蛙は受けて立つ。これは牢に捕らえられている朝鮮流民を救い出すための計略だった。真剣に戦うと見せながら、頃合を見て、ヘモスは金蛙の槍を真っ二つに切り、空中でそれを蹴りつける。蹴りつけられた槍の矛先は貴賓席に座る者に向かって飛んでいった。
敵味方入り乱れての戦いとなるが、金蛙は敵の剣に負傷する。金蛙の傷が深いと見たヘモスは、仲間に引き揚げの笛を吹く。
金蛙は毒で腕を失う怖れもあったがヘモスによって腕を失わずにすんだ。
玄菟城から多くの流民がヘモスの手で救い出されたと聞いた夫余王は大喜びだった。我が夫余は入ってくる朝鮮流民らの定着によってますます栄えることになろう、彼らに支援を惜しむな、と将軍らとともに上機嫌だった。
しかし、そこへ大使者のプドウクブルが長安から戻ってきて顔を出す。
「それが陛下にとって得になるか毒になるか、判断するのはまだ早いです」
大使者は続けた。
「大将軍」
「はい」
「フィバル川<満州、吉林省の南側>に定着した流民を絶対支援してはなりません」
「大使者。命令に逆らえというのですか」
「その通りです。すでにハンナラの先鋒部隊がヒョント城に移動しています。それはヒョント群を逃れた流民たちを野放しにしないということです。フィバル川に定着した流民を支援しようとすれば、ハンナラと一戦まじえねばならないことになってしまいます」
「じゃあ、戦ったらいいではないか」
夫余王が口をはさんだ。
「無理です。わが夫余はまだやっと青銅を脱したばかりです」
タムル軍から手痛い打撃をこうむったハンナラは、政略的な動きを見せる。各部族の首長や族長をヒョント城に招き、タムル軍への支援の根を断ち切ろうとするのだった。
夫余からは王の代理として金蛙が出向くことになった。
各部族の首長や代理の者たちがヒョント城に集まってくる。金蛙はこの場所で柳花(オ・ヨンス)に出会う。
各首長を集めた席で、王は宣言した。
「タムル軍を支援したり、流民を受け入れる者は絶対許さない。みんなそのことを肝に銘じておけ」
さらに残酷な儀式も用意されていた。
鉄の鎧で武装したハンナラ鉄器軍の前に朝鮮流民が引っ張り出されてくる。
王は喜悦の表情で言った。
「お前たちが一人でも鉄器軍を倒せたら自由の身にしてやろう」
何の武装もしていない彼らに剣ひとつ持たせ、弓も剣も通さない鉄器軍と戦わせようというわけだった。彼らが首長らに恐怖を植え付ける生贄であるのはあきらかだった。見物席に座らされた首長らの多くは結果の見える儀式に顔をしかめ、目を背けた。
はたして、その後、いたましい姿が続出した。
「おやめください!」
いきなり、そう叫んだ者がいた。女だった。代理でやってきたハベク族の柳花だった。彼女は決然とした態度でヒョント城を預かる王の前に進み出た。
「いったい、何の真似ですか。残酷すぎます。即刻、とりやめてください」
「何をいう。これは皇帝の命令だ。この女を連れていけ」
柳花は王の逆鱗に触れ、牢にぶち込まれた。
金蛙はハンナラの護衛武官としてやってきていたヤンジョン(後のヒョント城の王)に柳花を助け出してくれるよう頼み込む。
柳花は淡々と金蛙に礼を言って去っていった。
ヒョント城で残酷な儀式があったことを知らされたヘモスは、復讐の牙を研いだ。金蛙に早く剣をつくってよこせと配下に伝えさせる。金蛙は剣を作るのに精をだした。急いで注文の剣を届けた。
プドウクブルは金蛙の動きを怪しんでいた。ある日、ヘモスと連絡をとりあう現場を押さえ、使者を殺し、王の知るところとなる。
王は金蛙を激しく叱責した。
ヘモスはハンナラ軍の輸送部隊を襲撃するが、鉄器軍は予想外に早く駆けつけてくる。ワナにかかったと知ったヘモスは全員に退却の指令を出すが時すでに遅かった。ヘモス自身も敵の投げた槍を身体に受けて川に落ちた。
攻撃隊が鉄器軍の反撃で全滅したと知った金蛙は仲間を手分けしてヘモスを探すが、川を流されてきた彼を見つけたのは柳花たちだった。柳花はヘモスを助けた後、それをハベク族の首長である父にも話さず、ヘモスの看病に一生懸命になった(父親から婿取りを押し付けられているので、ヘモスを将来を約束した相手にでもデッチあげる心積もりが少しはあったような?)。
痛む腕をおさえながらヘモスは言った。
「馬を一頭お貸し願えないでしょうか」
「その身体ではまだ無理です」
「はやく行かねばならないです。この恩は後で返しにきます」
「命の恩人に名も名乗らない方が返しにやってくるとは思えません」
二人がこんなやりとりを交わしている頃、ハンナラ軍の捜索の手は村へ伸びてきていた。ヘモスが肩にケガをしていると聞いて、柳花は急いでヘモスのもとへ引き返した。彼女はヘモスを問い詰めるが、ヘモスは「イ・ギョンセン」と名乗ってゆずらない。
その晩、柳花はそば付きの女に、あの人のところへ駆け戻っていく途中、胸がドキドキしてならなかった、と打ち明ける。
夜遅く、ハンナラ軍は柳花の部屋に押し入ってくる。柳花の助けた男がヘモスと知ったハンナラ軍はハベク族を片っ端に殺戮して村を立ち去った。
その頃、ヘモスはひそかに村を逃れ出ていた。
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