藤井聡太銀河 VS 斎藤明日斗四段
第29期銀河戦決勝トーナメントより
この将棋は”超のつくチャンバラ将棋”だった。
動画棋譜でこの対局を楽しんだ。3三金型角換わり戦となった。
竜王戦や順位戦と大事な対局の続く中の銀河戦、決勝トーナメントとはいえ事前録画の対局である。
藤井三冠が負けてもショックはそれほど受けないだろう、の気分で棋譜を追ったのである。
しかしこれがハラハラドキドキのすごい将棋だった。
縁台将棋は悪手の応酬で形勢が入れ替わり、それが見る者の笑いを誘って面白さを生み出す。
この日の藤井聡太銀河と斎藤明日斗四段の将棋は、面白さの点で縁台将棋に似ていながら、一手の悪手が即命取りになる難しい局面がずっと続いて引き込まれてしまった。
藤井三冠は我々将棋ファンに対して安定した勝率を見せてくれるが、いつも安定した指し手を見せてくれる棋士ではないように思う。将棋を知らない人は勝率が8割5分もあるから、指し手もそれくらいいつも安定しているのだろう、と思っているかもしれない。
安定した指し手というのは客観性を持たせて説明するなら、将棋の分かる多くの人が”当然”と思える指し手につながるだろう。しかし、そういう安定の手を指して8割5分の勝率を叩き出すのはどこかおかしい。
相手を混乱に陥れるのは誰もがそう思う安定の手ではなく、むしろ相手を惑わせる一手であろう。
この日の対局を見ていて自分は藤井銀河の側を持って将棋を指す気にはなれなかった。同レベルの者を相手にこんな局面つくったらたぶん負けていただろう。竜に侵入されて守りが薄いのに、危なっかしいまま強気で攻め合うこんな将棋は絶対やらなかったはずだ。
しかし、藤井銀河は深い読みで自玉は大丈夫と見て踏み込んで攻めて、超のつくチャンバラ将棋で斎藤明日斗四段を破った。
藤井銀河の反撃の一手を見て、斎藤明日斗四段は潔く投了したのだった。
この動画棋譜を翌日にもう一度見直した後、藤井銀河は不利に見えるこの局面に斎藤明日斗四段を誘導したのでは(?)、と思った次第だった。
解説で棋士の方たちは”毒饅頭”と呼んでおられるが…。
そう言えば、竜王戦の第四局でも、藤井三冠は2四歩と敵が仕掛けて来そうなところから逆に仕掛けていた。
こんな手はどうかな? 無理なんだろうな、と自分は思っていたので、ちょっとびっくりしたのだったが…。
”終盤の魔術師”と言われる棋士がかつていたけど、藤井竜王はそれを超える”中・終盤の魔術師”と自分は呼びたい。
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