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フィギュア:キム・ヨナ、「人生第2幕」の損得勘定
キム・ヨナ現役続行なら最高栄誉「青竜章」も
引退ならアイスショーで安定した生活
キム・ヨナが深い悩みに陥っている。
キム・ヨナは16日から18日まで、ソウル・オリンピック公園体操競技場で行われたアイスショー「2010フェスタ・オン・アイス」を最後に、今シーズンを終えた。これで、あらゆる関心はキム・ヨナが引退するかどうかに注がれることになった。
ひとまず、キム・ヨナの心中は五里霧中だ。キム・ヨナはアイスショー終了後、「今すぐ決めなければならない問題ではない。気持ちに余裕を持ち、じっくり考えてみる。5月末にカナダのトロントに戻ったら、引退をするにしても、しないにしても、選手として新プログラムを作り、練習を続けていきたい」と語った。決定を5月末まで引き延ばしたということだ。
なぜ、キム・ヨナは引退するかどうかで悩んでいるのだろうか。引退した場合としない場合の損得勘定をしてみた。
■五輪2連覇に挑戦
キム・ヨナが現役を続けた場合、まず五輪2連覇に挑戦するものと思われる。フィギュア女子シングルで五輪2連覇を果たした選手は、102年間にわたる冬季五輪史上でソニア・ヘニー(ノルウェー、1924年・28年・32年の3連覇)と、カタリナ・ビット(旧東ドイツ、84年・88年の2連覇)の二人しかいない。もし、キム・ヨナが今の実力を維持し続けられたとしたら、史上3人目の五輪2連覇を果たす可能性が高い。
金銭面でもメリットがある。キム・ヨナが五輪2連覇を目指し、グランプリシリーズなど各大会を制覇すれば、さらに多くのスポンサー契約を得て大金を稼ぐことができる。
さらに、キム・ヨナが来シーズン、世界選手権や冬季アジア大会で金メダルを取れば、体育勲章の中でも最高栄誉の「青竜章」を手にすることができる。キム・ヨナは現在、年金累積ポイントが900点で、獲得資格の1000点まであと100点を残すだけだ。
しかし、それに至るまでの過程は容易ではない。キム・ヨナは五輪金メダルやグランプリファイナル優勝、世界選手権優勝など、自分が成し遂げられることはすべて成し遂げており、目標意識を保つのは大変なことだ。その上、激しい競争を繰り返す生活に疲れてしまう可能性もある。
■アイスショーなどで安定した生活が可能
キム・ヨナが引退を宣言し、プロに転向した場合は、まず成績の良しあしに一喜一憂するプレッシャーや激しい競争から解放され、安定した生活を送ることができる。また、「フェスタ・オン・アイス」をはじめ、「スターズ・オン・アイス」や、「ホリデー・オン・アイス」といったツアー形式のアイスショーに出演して新たな収益を得て、全世界のファンとも会うことができる。
だが、プロになれば、特定の大会の成績に一喜一憂する韓国の一般のファンたちの関心が離れることになる。こうした場合、韓国のスポンサーとの契約が継続できるかどうかは未知数だ。
(朝鮮日報ニュースより)
「・・・引退をするにしても、しないにしても、選手として新プログラムを作り、練習を続けていきたい」
キムヨナは選手としての生活を続ける意向を示した。
上記で触れているように、引退するかしないか、で彼女は悩んでいるようである。
ひとまず引退してアイスショーなどの生活を続け、次のオリンピックが近づいた頃に現役復帰する両方足したような選択肢もあるが、これは考慮に入っていないのだろうか。
いちばん現実的に思える選択肢だが、これはやらない方がいい。やるならやると四年後を見据えた準備から入らねば、次のオリンピックで勝つのは彼女でもおそらく難しいと僕は思う。
バンクーバーで注目株となった選手以外でも、日本やロシアではすでにジュニアから有望選手が続々登場しているし、ノービスクラスからもオリンピックに間に合って出てくる選手もいるとなってくれば、相当の激戦が予想される。下手すれば次の四年の間に現在の有力選手がどんどん消えていってしまう可能性だってある。キムヨナや浅田真央の金銀コンビと言えど、これからは実績だけで戦っていけないと思える。実績の貯金でやっていけるのはせいぜい2年、後の2年は1から横一線の戦いとなっていくだろう。
戦いが熾烈になったきた頃に現役復帰して合流するには、実戦のタフさやモチベーションですでに差がついている可能性がある。プルシェンコ選手がそうだった。彼はトリノで異次元の演技を見せた選手だった。一度は引退しておきながら、直前で復帰してきてバンクーバーで銀を取ったのはさすがだったが、現役を続行していたら問題なくダントツの金メダルだったのが予想される。
キムヨナ選手がプルシェンコと同じ道をたどってソチに乗り込んだらどうなるか。おそらくメダルには届かないだろう。
もし現役続行なら、彼女にはこれまで以上の厳しい戦いが強いられる。失うものがなく無心に目標に向かって突き進み、一段一段階段を駆け上がっていった感覚がこれからの彼女には得られないと思える。頂上に上り詰めた彼女にはディフェンディングの戦いだけが残されている。
追うものはただ追う相手の背中だけ見ていればいいが、追われる者はそうはいかない。振り返ればたくさんの選手らが自分を目標として駆け上ってくる。そこにはかつての自分のような才能をきらめかす選手も混じっているに違いない(一流選手は一流の逸材を見分けるという)。
苦しく長い、もぐらたたきのような道に、彼女は踏み出すのであろうか。
やるなら少しでも早いほうがいい。しかし、答えはじっくり出した方がいい。
取材を受ける彼女の表情はどれも明るいが、引くか続けるか、彼女の悩みは深いことだろう。
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