午後七時から、TBSテレビのスポーツ番組「kunoichi」を見る。これは女性版「sasuke」と思ってもらえばいい。
近頃、いろんなスポーツが溢れ、何がなんだか分からないようなスポーツも多々あるが、このスポーツ番組は僕がもっとも推奨する番組のひとつである。何が凄いかその説明をする。
オリンピックなどに代表されるスポーツは、人間の肉体の極限を追求するようなところがある。それはそれで立派なものであるが、難点をいえば競技者と観衆の距離が離れてしまうところだ。競技者のやっている領域に、スタンドの観衆はまずほとんど近づくことが出来ない、と言っていいだろう。それもそのはず、ここに登場する者は何年も何十年も前から下準備に入り、過酷な練習を積み重ねてやってきた者たちだからである。つまりこれは偉大なる記録に向かうごく一握りの者たちのスポーツだといえる。
しかし、このスポーツはそれとは少し趣を異にする。オリンピック競技に入ってしまえば話は別だが、今の段階で言えることは、ごく身近にいる誰かがチャンピオンになる可能性を秘めている。それほど甘いスポーツかというとそうではない。きっと血のにじむような努力をしなければ頂点の制覇は難しいのかもしれない。だが、そう感じさせないところがこのスポーツのよさである。
今夜の番組では、三宅綾子さんが三連覇を成し遂げた。ファイナルステージにおいて、まさか、首の後ろに吊るしたロープを引き上げるようなことはしてないと思うが、もしもそうでないなら、この女性の持っているポテンシャルはすばらしいものがある。敏捷性、筋力、平衡感覚、対応能力、そのいずれもがこの女性は抜群に優れているのである。僕に言わせるなら、女子百メートルのオリンピック記録を持っている女性よりも、この女性の方に価値をおきたい。これほどしなやかに強く美しい身体こそ、人間の追い求める理想の姿ではないかと思えるからだ。