雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載72)






韓国ドラマ「30だけど17です」(連載72)




「30だけど17です」第8話(13年前の少女)⑥


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★ 

 ソリは用意された手帳にマジックで大きく自分の名を書き入れた。
「大きな字で名前を書かなくてもいいのに…」
 チン・ヒョンが言った。
「手帳をありがとう」
ご機嫌のソリ。
「先輩、私は何をすれば」
「僕は年下だよ。先輩だなんてとんでもない」
 チン・ヒョンはソリを見た。
「でも嬉しい。今後も”先輩”と呼んでほしいな」
「はい、分かりました。先輩」
 ソリはさっそく手帳に手にする。開いて何やら書き込む。
「今後も”先輩”呼ぶこと」 
 屋上からおりてきたウジンはソリをちらと見て給湯室に向かう。ソリはウジンの後ろに立った。
 顔を近づけて訊ねた。
「おじさんが推薦してくれたんでしょ」
「…」
「思った通り、いい人だわ。ありがとう、おじさん」
 ソリはペコっと頭を下げた。
「あ、違う。コンさん」
 言ってしまって口を押える。
「何だか照れちゃう。今まで、おじさん、と呼んでたから」
 ウジンは黙って水を飲もうとする。
「あっ、それ」ソリは指さして言う。「噴水の水ですよ」
「構いません」
 ウジンは難しい表情で答えて行ってしまう。
 ソリはウジンの不機嫌に気づかず、自分に言い聞かせた。
「職場でふざけちゃダメよね」
 急いで手帳に書き込んだ。
「”職場ではおふざけ禁止”

★★★ 


 厳しい練習が終わった。部員を集めてコーチは言った。
「今日はお疲れさん。私から知らせたいことがある」
 部員らは顔を見合わす。
「ええ、実は…」コーチは咳払いした。「来月、結婚することになった」
 歓声があがった。部員らはコーチに走り寄った。
「胴上げだ!」


 西日が空に滲みだしている。
 部員らは挨拶を交わし合って解散した。
 チャンらも談笑しながら帰路につく。
「結婚なんて奇跡だよ」
「神様が哀れんだんだ」
「コーチは何歳?」
 ドクスが答える。
「俺より童顔だけど
でmの30歳」
「俺たちと何歳違いだ?」とヘボム。「19歳だから30から19を引くと…」
 チャンは2人の後ろを歩きながら考え込んでいる。
 ソリに惹かれている自分に気づいたせいだった。
 前を歩きながらヘボムはぼやく。
「数えきれないや」
「そういう年なのかも」
 チャンは小さく呟く。
「俺たちとは離れ過ぎているよな?」
「11だろ、バカタレ」
「いきなり何だよ。オヤジ面して」とヘボム。
「バカタレは黙ってろ」
 2人は口喧嘩を始めた。
「俺はバカじゃない」
「だから黙ってろ」
 2人に構わず、チャンはため息をつく。
「そうだな。心は17歳でも実際には30歳だしな」
 チャンは顔を上げた。
「おい、オヤジ顔とバカタレ」
「何だ」
 2人は振り返る。
 チャンは笑顔で言った。
「食事しよう。今日は俺がおごるよ」
 行きかける振りして二人はチャンに走り寄る。
「今日はどこにする?」


 カン・ヒスは資料をソリに渡した。
「音楽祭の企画案よ。熟読しておいて」
「はい、わかりました」
 ソリは張り切って応えた。
 チン・ヒョンは先輩風を吹かす。
「ドアを直すまでストッパーは外さないで」
「はい」
 ソリは急いで手帳に書き込んだ。
 パソコン画面を睨みながらカン・ヒスは言う。
「コン、図面作成は…」
 振り返るとウジンの姿はない。
「あれ? どこへ?」
 ソリが答えた。
「”4時18分に外出”と書かれています」
「何よ、もう〜、7時までに作成しろと言ったのに。ヒョン、こっちに持ってきて」
 チン・ヒョンはウジンの机に走る。
「まったく、いっそクビに…」
 チン・ヒョンが言った。
「仕上がってます」
「ほんとに?」
 ヒスはウジンのデスクに駆け寄った。
「まさか、そんなはずは…」
 マウスを握って動かした。
「ほんとだ。しかも完璧に仕上がってる」
 しかし、勝手な行動は許せない。
「だからって、断りもなく外出するなんて…」
 そこに電話が入った。ヒスは声色を変えた。
「はい、チェワムです…はい、監督。分かりました、少しお待ちを」
 ヒスはソリを呼んだ。
「リン・キム監督よ」


 ソリは急いで受話器を握った。
 ソリに対し、リン・キムは要望を伝えた。
「ルツェルン音楽祭の2003年以降の動画がいいわ」
「クラウディオ・アバドが芸術監督に就任したあとですね」
「やっぱり話が通じる」
 ソリの顏はほころぶ。
「あの…あさっての演奏会にお招きします。早くあなたに会いたいわ。では当日に」
 ソリは嬉しくて二つ返事する。
 ソリを誘ったリン・キムも気分がよかった。一曲弾こうとして軽く舌打ちする。
「また名前を聞きそびれたわ…」


「楽しくやりたいそうです」
 ソリはリン・キムの構想をヒスにまくしたてた。
「例えば87年にウィーンでカラヤンが指揮した…」
「ソリさんにお任せするわ」
「えっ?」
「クラシックに関して私たちは詳しくないから、話し合いの報告を受ける方が効率的だわ。そうしていただける?」
「では効率的に内容を整理して報告します」
 ソリは手帳を開いた。
「”リン・キム監督の話を聞いて…”」と書き込んだ。


― もし歩道橋に別の女性を見かけたとしても…過去の記憶と重なり、同じ状況を招いたかもしれない…それを避けるのではなく、別人だと認識する努力がh岐津ようだ。


 ウジンは例の歩道橋の前に立ち、診療を受けた神経科医の言葉を反芻していた。
 歩き出したウジンの耳元にどこからともなく鈴の音が流れてくる。ウジンは振り返り、周囲を見やった。鈴の音色を従えて遠い日の自分が自転車で横切った。
 歩道橋の前で自転車を止めた。ハンドルを握ったまま上方を見上げている。
 彼の見つめる先にノ・スミの姿が戻ってきた。そしてそこにウ・ソリの姿が重なりだす。
 
 ウジンは出来なかった。2人を別人とクールに認識することはできなかった。
 ウジンは自分を見失いヨロヨロと歩き出す。
 その時、携帯が鳴った。電話をかけてよこしたのはウ・ソリだった。
「もしもし、おじさん…もしもし」
 ウジンは握っていた携帯を下に落とした。ウ・ソリの声は続く。
「もしもし、おじさん、聞こえますか? 私です」
 混乱の中でウジンは何とか携帯を拾い上げる。
「何ですか?」
「ソリです。聞こえてないのかと思いました。カン代表が明日11時から会議だとおっしゃってます。遅刻したらぶっ飛ばすそうです」
 ソリは明るい声で言った。
「それと車がありましたけど、こちらに戻るなら一緒に帰りませんか?」
 言葉が喉の奥につまったまま出てこない。
「もしもし、おじさん」
「先に帰って」
 拒絶と愛おしさの混じった複雑な感情でウジンは答えた。


 
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