雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載207)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載207)


「30だけど17です」最終話(幸せの扉)⑤


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★

 いつもと違うウジンを見てソリは緊張した。気楽に声をかけられない。
 あいまいな笑顔を浮かべるしかない。
 ウジンはいつもどおりソリに話しかけた。
「今夜は外食して帰ろう」
「えっ? ええ…」
「先に出てるよ」
 ウジンが出ていった後、ヒョンは言った。
「珍しくスーツ姿だ。バレバレだよ」
「…」
「ジュエリーに外食」
 ヒョンはソリを見た。
「プロポーズの日だ」
「…!」
「予約票の受取日も今日でしたよ」
 緊張でソリは唾を呑み込んだ。

★★★


 ソリはウジンに連れられてレストランにやってきた。
 席に案内され、ヒョンと向き合った。
 ヒョンに乗せられたプロポーズの話で、頭の中はコチコチ状態だ。
 
― 困ったわ、どうしよう…好きなんだから、OKするべきよね? そうよ、すればいいのよ。


「渡したいものがある」
 ウジンは上着の懐に手を入れた。
 それを見てソリは目をつぶった。覚悟を決めた。
「わかったわ。しよう」
 大きな声にウジンはびっくりする。懐に伸ばした手を止め、思わず周囲を窺う。
 どんぐり眼で訊ねた。
「い、いきなり何?」
 ソリは膝を叩き、どんぐり眼を返す。
「決心したわ」
「…?」
「社会生活で私も成長したし」
 ソリの早口に合わせウジンの顎も細かく動く。
「もう25歳くらいにはなってるはずよ」
 ウジンは顎の動きでソリの速い口調に合わせる。
「そうよ」
 ウジンは、指揮者のように一度ぐっと顎を押し上げた。
「私も考えてたわ。そうよ、やりましょう」
 ソリの口調に顎の動きで合わせた。
「やろう!」
 大きな声に背筋まで伸びた。
「するって、何を?」
 ウジンはようやく口を挟んだ。 
「少し、分かるように話してもらえたらありがたいが…」
「勉強も、ボランティアも、オーケストラも結婚したってできるわ」
 ウジンは目をパチクリさせた。
 ソリは腕を伸ばした。
「指輪を」
「…」
「左手だっけ?」
 右手を引っ込め左手をウジンの前に差し出す。
「早くはめて」
「…」
「ここまで来たら怖くなんかないわ」
 ソリの芝居にウジンは困った。懐に入った手は動かせない。そんな立派な物じゃないからだった。
 身体の固まったウジンを見てソリは瞬きした。
 ウジンの様子が妙なのにようやく気付いた。
「もしかして…私の勘違いだった?」
 ボーっとした顔でウジンは首を横に振る。
 ソリはあわてて手を引っ込める。
「じゃあ、なぜスーツ姿なの?」
「ああ」
 ウジンは我に返った。
「今日、重要な会議があった。ヒスも正装して出席したんだ」
 勘違いを得心してソリは辺りをうかがう。
「どうしてレストランへ?」
「最近、忙しかっただろ。デートもできなかったし、ステーキは好きだろ?」
「そうだけど…」
 確認もせず、どうして勝手に舞い上がってしまったのかしら…。
 恥ずかしいやら、落胆やらでソリは気が抜けてしまった。
 ボソッとした声でウジンに訊ねた。
「渡す物って?」
 ウジンは額に手をやった。


「どうやって渡せばいいかわからない」
 懐から何やら取り出した。包装箱のフタを取った。
「これなんだ。
 中に納まっていたのは鈴のついた例のキーホルダーだった。
「キーホルダー…」
 虚ろなソリの表情にウジンは額に手をやった。
「指輪にすればよかったかな」
 問いかける。
「…」
「お母さんの贈り物だって言ってたから」
「…」
「君のは僕にくれたから、もう1つオーダーしたんだ。君も持ってた方がいいと思って」
 ソリはテーブル上のロウソクの火を消した。
「どうしてそれを?」
「恥ずかし過ぎて」
 ソリは下を見たまま答える。
「少しでも暗くしたかったの」
 周囲の目を気にした。
 両手でパタパタ身を仰いだ。穴があったらそこに身を隠したい。
「明りがみんな落ちてくれたらいいのに…」
 結局、両手で顔を隠し、テーブル上に伏せてしまう。


 食事をすませた後、2人は公園に立ち寄った。
 ブランコに腰をおろし、酔い覚ましの時間を持った。
 ソリは切り出した。
「家で2人きりになると思うと、どうすればいいのか分からないし、人にも聞けないし」
「ああ…、君がそこまで考えてるとは思わなかった」
「こんな私だから、いつもあなたは待ってくれてたでしょ。申し訳ないと思ってた」
「…」
「今度は私があなたを気遣いたいと思ったの」
 家で2人だけの生活になったことに動揺を覗かせるソリを見、ウジンは視線を遠くにやった。
「君がひとりであれこれ心配しないでいいよ。結婚なんてまだ早い、と自分もよく分かってる」
 ソリはウジンを見た。
「君のいう通り―ゆっくり、ゆっくりと前に進んでいけばいいんだ」
「…」
「また君に何かを失わせたくない。君に心の準備が出来るまで待つよ」
 ウジンはソリを見妻帰した。
「今は何も望まない。僕は君にとって―世界で一番安心できる人になりたい」
 そう言ってウジンはブランコから立ち上がった。ソリの前に立った。
「2人きりじゃ気まずくなりそう?」
「とんでもない」
 ソリはあわてて否定する。
「あなたといると一番安心できるわ」
「じゃあ、答えは出たね」
「…」
「今までどおり過ごそう。自分たちを取り巻く環境が変わっても、僕たちは愛し合っているし、2人の間は何も変わらない。だろ?」
 ソリは頷いた。
「気楽に今までどおりでね」
 うん、とウジン。
 ソリは小さく声をもらす。
「どうした?」
「あなたを惚れ直した」
 ウジンは苦笑する。
「僕のマネかい?」 
 ソリも苦笑を返す。
「それから」とウジン。「2人きりじゃないだろ」
 ソリははっと手をあげた。膝を叩いた。
「ペンがいたわね」

 ソリはブランコから立ち上がった。差し出されたウジンの手を握った。




script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「30だけど17です」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事