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韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑩
韓国ドラマ「青い海の伝説」第18話⑨
★★★
カン・ソヒは弁護士を呼んで話を聞いた。
「現在の証拠のみでは、奥様が―会長に毒を飲ませたことは証明できません」
「…」
「ですから誘導尋問につられ、応じてはいけません。不利な質問はよけいなことは言わず、のらりくらりと話をかわしてください。頭が痛い、お腹の調子が悪い、といった調子で逃げてください。黙秘に徹してもかまいません」
「…」
「令状なしの緊急逮捕なので48時間の拘束しかできませんから」
カン・シネは弁護士の指示通り、ホン刑事らの追及をのらりくらりとかわした。
何を訊かれても、知らぬ存ぜぬで通した。
「昨日使ったコップは…」
「知りません」
「なぜ、抗コリン薬を?」
カン・ソヒはご飯をひと口食べては頭を手で押さえた。
「ああ、頭が痛いわ」
お腹をさすって身体の変調を訴えたりもした。
「トリカブトを少しずつ入れて…」
「知らないと言ってるでしょう」
「ぜんぜん、記憶にありません…」
時には質問を無視してご飯をおいしそうに食べたりもした。
追及者が代わっても、同じ調子で質問をかわし続けた。
拘束時間はどんどん消費されていく。
ホン刑事たちもさすがに焦りの色を深めた。
ジュンジェにもそのことを伝えた。
「シラを切り続けてる。本当にしぶとい女だ」
あらぬ方を見てジュンジェはため息をつく。
「遺産を相続するために奴も必死なんだろう」
「…このままだと釈放に?」
ホン刑事も頷くほかない。
★★★
警察署から出て来たジュンジェを監視している車がある。中にいたのはナムドゥだった。
ナムドゥは誰かに連絡を入れた。
「今、出てきました。お母さんは今夕六時に釈放ですよね? では…今夜実行を? 刑事より先に動かないと…私も急いでるんで…」
取調室の壁に貼りついった時計は夕方の6時を指した。カン・ソヒの顔から不敵な笑みがもれた。
ホン刑事は渋い表情でカン・ソヒを釈放した。
警察署から出てきた母親をチヒョンが出迎える。
ホン刑事らが渋い顔して見送りに出てくる。カン・ソヒを乗せたチヒョンはふてぶてしい視線を残して車で走り去る。
ふと見るとチヒョンらを追って走り出した車がある。ナムドゥの車だった。
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携帯をチェックしながらジュンジェは地下の駐車場へやってきた。そのまま自分の車に乗り込もうとする。
彼の背後から青いコートの人影が現れた。手にしたこん棒でジュンジェの頭を殴りつけた。
ジュンジェは腰から沈んで崩れ落ちた。こん棒で背後から襲ったのはナムドゥだった。
ジュンジェを気絶させた後、ナムドゥは周囲に目をやった。
駐車場をセキュリティチェックしていたテオは突然大声を上げた。たまたまそこへセファが姿を見せた。
「どうしたの?」
「ジュンジェ兄貴が…」
「ジュンジェがどうしたって?」
テオたちは急いで連れ去られたジュンジェの後を追った。
ハンドルを握るテオの横でセファは言った。
「ナムドゥはどうかしたんじゃないの?」
それに答えず、テオは言った。
「一緒に来ると危険だよ」
セファはテオを見る。
「テオ。私にケンカで勝てる人間はいないの。理由は聞かずに急ぎなさい」
テオはセファの貫禄に大船に乗ったつもりでアクセルを踏み込む。
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ジュンジェはナムドゥによって人気のない倉庫へ連れて来られた。ロープで縛り付けて引っ立てていくと、奥で焚火をして待ってる者たちがいる。
カン・ソヒとチヒョンだった。ナムドゥはジュンジェをパイプ椅子に座らせた。
「もう一本ロープをかけろ」とチヒョン。
ナムドゥは指示された通りパイプ椅子ごとロープをかけた。
「ふざけやがって。俺を裏切るつもりか!」
ジュンジェは暴れようとするが自由は利かない。
ナムドゥはジュンジェの胸倉をつかんだ。
「女にうつつを抜かしてるからだ。裏切ったのはお前だろ。金を稼がない相棒なんて御免だよ」
さらにロープをかけながら付け加える。
「俺にも生活があるんだからな。悪く思うな」
「ほどけ! ほどけよ、コノヤローッ!」
「ああ、それから」
ナムドゥはポケットから紙切れを取り出す。
「何だよ、それは?」
「お前の遺書だ」
「…!」
「お前は父親を殺した罪悪感から自殺するんだ」
「何だと?」
チヒョンはほくそ笑む。
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ナムドゥは注射針を取り出した。いきなり太ももに突き刺す。
不意を食らってジュンジェは悲鳴をあげる。中身を注ぎ込んでから注射針を抜く。
ジュンジェは呻いた。
「何をしやがった?」
「お前の父親も殺した毒薬だ。…遅くても30分後には楽になれる。父親にも再会できるだろうさ」
「この野郎…こんな奴と俺は…」
「お前は」チヒョンは言った。「遺産の相続を拒んだ父親を殺し―その証拠を地下室に隠した。うちの構造も熟知してるからな…」
ジュンジェは苦しみもがきだす。
「どうだ?」
チヒョンはジュンジェの前に顔を突き出す。「完璧なシナリオだろ?」
2人は睨み合う。
「チヒョン」カン・ソヒ。
チヒョンは振り返る。
「その人と外へ」
チヒョンとナムドゥは場所を離れた。
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「あんたの思い通りにはさせない」とジュンジェ。
「あんたに何ができるの?」
「…」
「死人に口なし、よ。あんたの父親も何も言えない」
「あんたって奴は…恩知らずめ。父さんはお前に尽くしたのに」
「私も17年間尽くしたわ。17年間、私とチヒョンはあの人の言いなりだった」
「…」
「でも、あんたに全財産譲ると言った」
「だから、殺したのか?」
「うん。そうしたよ。どのみち、もう助からなかったわ」
「…」
「ずっと前から毒を飲ませてたんだもの。徐々に侵されてたから、気づかなかったのよ。1年以内に死んでたはず」
「…」
「でも、ふざけた遺言書を書いたりするから、私も予定を変えて少し早く逝ってもらったの」
「前の夫たちもそうやって殺したんだろう? カン・ジヒョン」
「そうよ。…だけど、20年経ってもバレてないの。きっと、あと20年経ってもバレtないはずよ」
「…」
「あんたたちを殺したこともね」
カン・ソヒは笑いだした。
一緒になってジュンジェも笑いだす。
「うっふふふふふふ…」
ジュンジェが笑うのをカン・ソヒは覗き込む。
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ジュンジェは腹をよじらせた。
「うっふふふ……あっはははは…」
顔を上げた。
「本当にそうかな?」
カン・ソヒが怪訝そうにした時、どこかで携帯が鳴りだした。その携帯がやんだと見ると別の場所からまた携帯が鳴りだした。
物陰から一人が立ち上がった。ホン刑事だった。
「ああ、もう…携帯の電源は切っておけよ。白けるだろう…みんな出てこい」
周囲から刑事たちがいっせいに飛び出してくる。
カン・ソヒは驚いた。
「何、これ?」
しかしすでに遅い。
歩み寄った刑事はカン・ソヒの腕を取った。手錠をかけた。
「離しなさい。何するのよ」
ジュンジェは言った。
「あんたを自白させるために多くの人間が苦労した…」
携帯を取り出した。
「もう、言い逃れできないぞ」とホン刑事。「さっさと署に連行しろ」
「離してったら離して!」
カン・ソヒは決まり文句で反発しながら刑事たちに引っ立てられて行った。