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韓国ドラマ「病院船」から(連載171)
「病院船」第16話➡退院祝い⑥
★★★
船長は事務長の報告を電話で受けた。
「えっ! そんなに頑ななのか?」
「今回は切り抜けるのが難しいようです」
「分かった―濃霧で客船が動いてないから、寮で休んでろ。戻り次第、そっちに向かう」
やり取りが終わると後ろで話を聞いていた甲板長が訊ねた。
「どうしたんです? 誰が頑なだと?」
「何でもない。気にするな」と船長。
「…?」
「ありゃ~、霧はどんどん濃くなって来てる。前方がぜんぜん見えないからもどかしい。どうしたものかな…」
ヒョンが紅茶で休憩を取っていると、そこへウンジェがやってきた。肩や首を押さえている。
「疲れた?」
「少し」
「患者が多くて?」
ウンジェは首に手を回したまま顔を上げる。
「濃霧で漁船同士が衝突して―負傷者が多く出て座る暇もなかった」
「ふむ~、たたいてあげたい」
ウンジェはヒョンを見つめ返す。
「君の肩を」
「本気でいってる?」
「ダメか」
ウンジェは首にやっていた手をおろす。
「私たちには明確なルールが必要ね」
「ルール?」
「同僚である時と…」
「恋人である時…」
ウンジェは慌ててヒョンの口を両手で押える。
「人に聞かれるわ」
「ルールか」
頷いて辺りを窺うウンジェ。
「分かった」とヒョン。「いつ決める? 土曜日はどう? その日は勤務もないだろ」
「いいわね」
ウンジェは気分よく応じた。
★★★
笑みを交わした後、ヒョンは改まって言った。
「つまり、その日が初デートってわけか」
ウンジェはいたずらっぽくとぼける。
「そうなるかしら?」
「僕がステキな場所を探しておく」
「いいえ」とウンジェ。「その日のことは私に任せて」
ヒョンは即座に合わせる。
「じゃあ、そうして」
「お医者様、助けて」
突然、患者らしい女性の声が近くで聞こえた。
ウンジェらは声した方角に緊張の眼差しを送る。
「ここにお座りください」
ゴウンやアリムらが応接に当たっている。
妊婦のようだ。
ウンジェらも傍に駆けつける。
椅子に浅く腰をおろした状態で妊婦は泣きながら訴えている。
「子供が生まれそうなんです。羊水が…」
妊婦を見てウンジェが言った。
「診療室に移しましょ」
妊婦の身体を助け起こしながらゴウンが言う。
「少しだけ頑張って」
ヒョンも反対側で妊婦の腕を取った。
他のスタッフらも廊下に顔を出す。
「早産だわ…」
ウンジェとアリムは診療室に急ぐ。
ゴウンとヒョンが妊婦を助けながら後に続く。
「もう少しだけ頑張ってください」
妊婦は診療室に運び込まれた。
診察台に寝かされても妊婦はもがき泣きわめいている。診療室までついてきた母親は心配のあまり妊婦に張り付こうとする。
ゴウンが必死に宥める。
「ご家族を外へ」ウンジェが言った。
ゴウンは母親の腕を取り、妊婦から引き離す。
「お母さん落ち着いて…後は先生たちに任せましょう。出てください」
ウンジェはアリムに言った。
「まず内診を」
ヒョンは妊婦に対した。
「ゆっくり息をしてください。ゆっくり、ゆっくりです」
妊婦は懸命に従おうとする。
ウンジェは胎児の様子を観察をした。上げた顔は深刻そうだ。
「臍帯脱出よ」
ヒョンは驚いてウンジェを見る。
「何だって?」
妊婦もその言葉に反応した。
「お腹の子に何かあったのですか?」
ウンジェは説明する。
「へその緒が先に出て胎児が危険です」
妊婦は恐怖に駆られる。
ウンジェは冷静に言った。
「痛みますが、胎児の頭を押し上げますね」
ウンジェとヒョンはアイコンタクトで頷きあう。
「大丈夫。息を吸って。ゆっくり大きく…いいですね」
頷く妊婦。
ウンジェがリズムをとる。
「1、2の3」
その瞬間、妊婦は大きな痛みに声をあげる。
外で娘の悲痛な声を聞く母親は立ったり座ったり、飛び込んで行こうとしたり気が気でない状態だった。それをゴウンとミヒャンが必死に宥め続けた。
「ご安心を…陣痛が始まったようです」
そう言われても母親は心配できない。
「ひと月も早産なんです。どうしたらいいのか…」
ゴウンを見て言う。
「母も子も命を落とすかも…」
ゴウンは穏やかな声で説明する。
「早産ですが、病院で応急処置をすれば大丈夫です」
診療室ではウンジェらの懸命の処置が続く。
「もう一度いくわ。1、2の3」
ヒョンは海洋警察に妊婦の搬送を願い出た。
「霧ですか…どうしても無理ですか?」
「風より霧の方が危険です」
ヒョンはやむなく電話を切った。ウンジェたちを見た。
「船もヘリコプターも霧で出せないと言うんだ」
ウンジェはアリムに指示を出す。
「ピヨさんを呼んできて」
ヒョンはアリムと代わる。
「もう一度やる」とウンジェ。「
ヒョンは妊婦の両手を握った。
「1、2の3」
妊婦の母親を宥めているゴウンのところにアリムが駆けてくる。
「どうしたの?」
「早く診療室へ」
それを聞いて母親の心配は増す。
母親をミヒャンに任せてゴウンは診療室に向かう。