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韓国ドラマ「病院船」から(連載83)
「病院船」第8話➡微妙な関係④
★★★
ウンジェ達の応急処置は無事終了した。子供を病院に搬送するため救急車が迎えに来た。
家族を見送りに出てヒョンは手話で説明した。
「応急処置はしましたが、治療が必要です。病院には手話のできる看護師もいます」
「どうもありがとう」
両親はヒョンに感謝を伝え、子供に付き添って救急車で走り去った。
看護師らの話にアリムは敏感に反応した。
「えっ! 6年も付き合ってるの?」
「うん、ラブラブみたい…」
ロッカーの前に立つウンジェも彼女らに目をやる。
「結婚するらしいよ」
「結婚、結婚って…」
アリムはさらに驚く。
ロッカーの扉がガチンと鳴った。みんなギョッとする。閉めたのはウンジェだった。扉に触り、ブツブツ呟く。
「調子が悪いわね…」
話をする女たちは見ずにドアを開けて出ていく。そばにいたゴウンは軽く笑みを浮かべた。
★★★
ジェゴルとジュニョンはヒョンのところに行った。ヨンウンとの関係を問いただした。
根耳に水の話にヒョンは驚いた。
「婚約? 誰と?」
2人はヒョンを指さす。ヒョンは舌打ちした。
「あいつ…何を触れ回ってるんだ!」
「ぜんぶ嘘なのか?」
「いや」
ヒョンは難しい顔になった。
「付き合ってたのは本当だ」
「振ったのか?」
「…」
「振られたか」
「過ぎた話だ」
「今更、婚約者ヅラするのはなぜだろう」
ジェゴルはジュニョンを見て言った。
「”逃がした魚は大きい”ってことだろな」
「ヒョン先生を見直したのか…」
「どこにいる?」
「知らない。電話してみれば…?」
ヒョンはしかめっ面で言った。
「電話番号は消した」
「消したの?」
ヒョンは頷く。
「何だ、完全に終わった仲じゃないか」
ジュニョンはジェゴルを見て言う。
「なのに…なぜ?」
ジェゴルは言った。
「誰かに取られたくないんだよ」
「誰かって誰? …ソン先生?」
「何言ってる!」とヒョン。
ジュニョンは応じる。
「他に誰がいる?」
ヒョンは不機嫌にため息をつく。
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夜になり、寮では食事の支度が進んでいる。チェ・ヨンウンは厨房に入っている。事務長や甲板業務のスタッフらが配膳を行っている。
そこへジュニョンやジェゴルらの医療スタッフが入って来る。
「みんなお帰り」と事務長。
テーブルには豪華な料理が並んでいた。
「まさか…それ、チェさんが作ったの?」
ジュニョンが訊ねた。
「もちろんさ」
事務長はご機嫌で答える。
二階からは女性スタッフがくつろいだ姿で降りてくる。
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「わあ、美味しそう」とゴウン。
「突っ立ってないでここへ来なさい。早く」
「ごちそうだわ」
女性たちはテーブルに駆け寄る。
ヒョンはなぜか浮かぬ顔でテーブルに目をやっている。
「早くいただきましょう」
病院船のスタッフがほぼ集結して和気あいあいの夕食になった。
「美味いな」
「ええ、プロ級です」
「絵も最高だしな」
事務長や船の設備業務のスタッフはとりわけ食事が進むようだった。
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「絵が売れれば設備を整えられる。はっははは」
みなに聞こえるような声で言う。
「ソン先生」
事務長からウンジェに声がかかる。
「ほしい物があれば何でも勝ってあげますよ」
いつになく太っ腹なことを言う。
「絵も完成してないのによく言うわね」とゴウン。
「それだけ応援してるのさ」と返す事務長。「いい絵を描いてください」
ひと呼吸おいて思い出したように手を叩く。
「それからチェさんも寮で一緒に暮らすことになった」
「えっ?」
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ゴウン始め、医療スタッフは驚きを見せる。
「どうして? 転がり込んで来るってこと?」とアリム。
「冷たい言い方をするなよ」
「絵は心を描くものなんです」ヨンウン。「心を知るためには一緒に暮らすのが一番です」
「もっともらしいことを言うんですね」
とアリム。彼女にすれば立派な言葉を並べても、恋のライバルが当人のそばに紛れ込んで来るとしか映っていないようだった。
ゴウンも言った。
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「ヨンウンさん、他を当たった方がいいのでは? ここは病院船の寮ですから。それに部屋も余ってないし」
「そうです」アリム。「私とゴウンさんの部屋と…」
「ソン先生の部屋ですね」とヨンウン。
「そうですけど」
ウンジェはヨンウンを見つめ返す。
「私と一緒にお願いします」
みなは食事の手を休めて彼女を見る。揃って意外そうな表情だった。
しかしウンジェは平然と応じた。
「いいですよ」
ヒョン、ゴウン、アリム、ジュニョン、ジェゴルらは複雑そうな顔になった。
食事がすんだ後、ウンジェはヨンウンを自分の部屋に迎えた。