韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑩
韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑨
★★★
〇 ”男が好むのはガードが緩そうで堅い女”ってテレビで説明していた。
「緩そうで堅い? どういうことかしら…?」
〇 最初はスキンシップを拒否して―という件もあった。
「いったい、何のために? 難しすぎるわ。ほんとムカつく…」
〇 さらに話は続き”2回目を拒否してから3回目に…”って話は展開。
「回数まで決まってるの? どうして?」
〇 男にとって初恋とは?
セファはジュンジェに訊ねた。
「男の”初恋”って落胤みたいなもんでしょう? 押されたら一生消えない」
「初恋…???」
「セファがそうなんでしょう?」
「ああ、それね…」
ジュンジェはちょっと困る。正直に話した方がいいのかどうか…。
「それは何というか…ちょっと違うんだ」
「私は平気よ」セファは言った。「烙印を押されたから夢にまで見るのよね」
「いや、違うんだって」
「話はまだあるわ。男の初恋は成就しないってこと」
「…」
「だから、セファの落胤、私は気にしないわ」
「…」
「私が初恋じゃなくて本当によかった。そう思うの」
「…(セファはお前だ)って言ったらどんな反応を見せるのだろう…?」
笑顔のセファを見つめながらジュンジェは複雑な思いだった。
★★★
酒をひっかけながら、マ・デヨンは気持ちが落ち着かない。
邪魔が入り、夢で魘されたあの女が人魚なのだと確認できなかったのは残念でならなかった。
あれこれ考えているところに電話が入る。
「何だ? しつこいぞ」
「何言ってるの! 知らない女を拉致して捕まりかけるなんてどうかしてるわ。それと、避けてないで電話に出てよ」
「ジヒョン」
「誰がジヒョンよ、やめて。私はソヒよ」
「近頃、妙な夢を見るんだ」
「えっ?」
「夢で…前世の俺が出てくる」
ソヒは笑い声を立てる。
「笑いごとじゃない。夢にはホ・ジュンジェもお前も出てくる」
「…」
「はっは、それにあの女もな」
「あなたが拉致した女のこと?」
「ああ、そうなんだ」
「…(夢の中で―あの女は…はっははは、あの女は人魚だったよ)。薬を飲んでないのね。きっとそのせいよ」
「…そう思うだろ? 俺だって信じたくないんだ。しかし夢があまりに生々しいんだ」
「…いい? あと一歩なの。夫はもう長くないわ」
「…」
「ジュンジェさえ始末してくれたら、私たちもチヒョンも幸せになれるの」
「…」
「私たちの念願の夢が叶うのよ」
ソヒは苛立ちでため息をもらした。
「あなたがしっかりしないと…ともかく薬飲んで」
「…」
「夢の話なんかしてる場合じゃないの。いい?」
「ああ…」
ジュンジェも心療内科にかかっている。
「夢は見続けていますが、内容は細切れで…突然、衝撃的な場面に遭遇することも…」
医師はじっくりジュンジェの話に耳を傾ける。
部下は書類を見て説明した。
「この人は不定期ではありますが、2009年からヤツをもっとも多く診察していた医師です」
ホン・ドンピョのもとでマ・デヨンのデーターは着実に増えていた。
「チン・ギョンウォンか…」
医師はジュンジェに訊ねた。
「それで…君は夢の結末を見たいのか?」
「彼が僕に何を伝えたいのか…真意を知るためには結末を見ないといけないのでは?」
「ふむ。しかし、それは深刻なトラウマになる可能性もある」
「…」
「それでもいいのか?」
しばし思案に沈み、ジュンジェは小さく頷く。
「はい」
医師はジュンジェの診療を開始した。
ソヒの話もあり、薬をもらうためマ・デヨンは心療内科(チン・ギョンウォン)の医院を訪れた。
医師の診療でジュンジェは少しずつ心の奥深くおりていった。
「…(頼んだぞ。忘れるな…)」
前世の都事(ジュンジェ)は友人宅を訪れていた。
友人は言った。
「そんな頼みごとをするなんて…まるで今生の別れだ」
「…今日は何日だ?」
彼は傍らの医員に訊ねた。医員は答える。
「12月11日です」
シアから届いた資料にジュンジェは目を通していた。
―12月11日、数え年にして27歳という若さで…死去。
「そう決まっているなら…」ジュンジェの意識の底に出てきた都事は小さく笑みを浮かべる。「私の宿命であろう」
黙っている友人に向けて彼は続けた。
「私たちの再会も決まっている。またよき友になれる」
そして彼は白装束で流刑の地に向かった。
彼を流刑地へと送り届ける官吏は前世のホン・ドンピョだった。
「まもなく出港します」
「そなたでよかった」
前世のホン・ドンピョは時の法に忠実な官吏だった。
「恩義を感じたのは昔のこと、私は責務を果たします」
都事は黙って彼の肩に手を置いた。
彼も船上で運命を共にするひとりだったのか…?
ジュンジェは魘された。
暗い海の空にたくさんの風灯が上がっている。
運命の12月11日―流刑地に向かう海でどんな出来事があったというのか…。
〇 ”男が好むのはガードが緩そうで堅い女”ってテレビで説明していた。
「緩そうで堅い? どういうことかしら…?」
〇 最初はスキンシップを拒否して―という件もあった。
「いったい、何のために? 難しすぎるわ。ほんとムカつく…」
〇 さらに話は続き”2回目を拒否してから3回目に…”って話は展開。
「回数まで決まってるの? どうして?」
〇 男にとって初恋とは?
セファはジュンジェに訊ねた。
「男の”初恋”って落胤みたいなもんでしょう? 押されたら一生消えない」
「初恋…???」
「セファがそうなんでしょう?」
「ああ、それね…」
ジュンジェはちょっと困る。正直に話した方がいいのかどうか…。
「それは何というか…ちょっと違うんだ」
「私は平気よ」セファは言った。「烙印を押されたから夢にまで見るのよね」
「いや、違うんだって」
「話はまだあるわ。男の初恋は成就しないってこと」
「…」
「だから、セファの落胤、私は気にしないわ」
「…」
「私が初恋じゃなくて本当によかった。そう思うの」
「…(セファはお前だ)って言ったらどんな反応を見せるのだろう…?」
笑顔のセファを見つめながらジュンジェは複雑な思いだった。
★★★
酒をひっかけながら、マ・デヨンは気持ちが落ち着かない。
邪魔が入り、夢で魘されたあの女が人魚なのだと確認できなかったのは残念でならなかった。
あれこれ考えているところに電話が入る。
「何だ? しつこいぞ」
「何言ってるの! 知らない女を拉致して捕まりかけるなんてどうかしてるわ。それと、避けてないで電話に出てよ」
「ジヒョン」
「誰がジヒョンよ、やめて。私はソヒよ」
「近頃、妙な夢を見るんだ」
「えっ?」
「夢で…前世の俺が出てくる」
ソヒは笑い声を立てる。
「笑いごとじゃない。夢にはホ・ジュンジェもお前も出てくる」
「…」
「はっは、それにあの女もな」
「あなたが拉致した女のこと?」
「ああ、そうなんだ」
「…(夢の中で―あの女は…はっははは、あの女は人魚だったよ)。薬を飲んでないのね。きっとそのせいよ」
「…そう思うだろ? 俺だって信じたくないんだ。しかし夢があまりに生々しいんだ」
「…いい? あと一歩なの。夫はもう長くないわ」
「…」
「ジュンジェさえ始末してくれたら、私たちもチヒョンも幸せになれるの」
「…」
「私たちの念願の夢が叶うのよ」
ソヒは苛立ちでため息をもらした。
「あなたがしっかりしないと…ともかく薬飲んで」
「…」
「夢の話なんかしてる場合じゃないの。いい?」
「ああ…」
ジュンジェも心療内科にかかっている。
「夢は見続けていますが、内容は細切れで…突然、衝撃的な場面に遭遇することも…」
医師はじっくりジュンジェの話に耳を傾ける。
部下は書類を見て説明した。
「この人は不定期ではありますが、2009年からヤツをもっとも多く診察していた医師です」
ホン・ドンピョのもとでマ・デヨンのデーターは着実に増えていた。
「チン・ギョンウォンか…」
医師はジュンジェに訊ねた。
「それで…君は夢の結末を見たいのか?」
「彼が僕に何を伝えたいのか…真意を知るためには結末を見ないといけないのでは?」
「ふむ。しかし、それは深刻なトラウマになる可能性もある」
「…」
「それでもいいのか?」
しばし思案に沈み、ジュンジェは小さく頷く。
「はい」
医師はジュンジェの診療を開始した。
ソヒの話もあり、薬をもらうためマ・デヨンは心療内科(チン・ギョンウォン)の医院を訪れた。
医師の診療でジュンジェは少しずつ心の奥深くおりていった。
「…(頼んだぞ。忘れるな…)」
前世の都事(ジュンジェ)は友人宅を訪れていた。
友人は言った。
「そんな頼みごとをするなんて…まるで今生の別れだ」
「…今日は何日だ?」
彼は傍らの医員に訊ねた。医員は答える。
「12月11日です」
シアから届いた資料にジュンジェは目を通していた。
―12月11日、数え年にして27歳という若さで…死去。
「そう決まっているなら…」ジュンジェの意識の底に出てきた都事は小さく笑みを浮かべる。「私の宿命であろう」
黙っている友人に向けて彼は続けた。
「私たちの再会も決まっている。またよき友になれる」
そして彼は白装束で流刑の地に向かった。
彼を流刑地へと送り届ける官吏は前世のホン・ドンピョだった。
「まもなく出港します」
「そなたでよかった」
前世のホン・ドンピョは時の法に忠実な官吏だった。
「恩義を感じたのは昔のこと、私は責務を果たします」
都事は黙って彼の肩に手を置いた。
彼も船上で運命を共にするひとりだったのか…?
ジュンジェは魘された。
暗い海の空にたくさんの風灯が上がっている。
運命の12月11日―流刑地に向かう海でどんな出来事があったというのか…。