韓国ドラマ「青い海の伝説」第16話②
韓国ドラマ「青い海の伝説」第16話①
★★★
モランは下を向いた。
「ごめんなさい」
「もういいんだ…詫びなくていいよ」
「お父さんが…あなたをちゃんと育ててくれるとばかり思ってたのに…留学中じゃなかったのね」
「いいんだ。留学はしてないけど元気に過ごしてたよ。いい人たちとね」
モランはジュンジェを見つめた。きちんと勉学できたかどうかが心配だった。
「高校生の時に家出したそうね。どうしてそんなことを?」
「母さんに会いたくて…すごく会いたくて」
モランは目を伏せた。ジュンジェを置いて逃げた自分を悔いた。
「必死に捜したけど…全然見つからなかった。それで思ったりしたよ。死んだかもしれないとか、その他もろもろのことを…」
「…」
「だからもう、謝ったり自分を責めたりしないで…こうして元気でいてくれただけで十分だから」
ジュンジェはモランの横にきた。テーブルに置かれたナプキンを手にし、モランの涙を拭いてやった。そして抱きしめた。
「だけど母さん…すごく小さくなったね」
「…」
「昔は抱きしめられていたのに…これからは逆だね」
モランはジュンジェの腕を取った。
「大変だったでしょ…こんなに大きくなるまで。孤独な時間をずっと耐えて、どんなに大変だったことか」
「…」
「寂しかったでしょう…そうとも知らずに私は」
モランはジュンジェの腕の中でずっと泣き続けた。
「離れてると何も分からないだろ? だからもう、どこにも行かないで」
★★★
「そうだったの?」
みんなは驚いた。
「ジュンジェのお母さんはシアの家にいたのか?」
とナムドゥ。
トンガリ帽子をかぶったセファは頷く。
「今、二人で嬉しさに浸ってるわ」
「俺もお母さんを捜してあちこち走り回ったんだがな。こんなに近くにいたなんて信じられないな」
ホームレスのおばさんは食べるのを休めて顔を上げた。
「すばらしいことだけど、せっかくの誕生日会はうやむやになってきたね」
「そうだな、よりによって今日にするから…」
「だけど」とセファ。「今日にしたから2人は再会できたんだよ」
「それはそうだ」とナムドゥ。「やあ~、シムチョンは語彙も増えたし、物事を論理的に理解して話すようになったな」
テオは自分がほめられたように頷く。
「もうないわ」
ホームレスのおばさんが空になった皿をナムドゥによこす。ナムドゥは渋い顔で皿を持って立ち上がる。歩き出す時、足の先を思い切り椅子にぶつける。渋い顔はにくらしそうに歪んだ。
しかしその瞬間、セファといたプールサイドの光景が脳裏をよぎった。
ナムドゥは思案に沈む。何であれを今まで思い出せないでいたのだ…?
じっと立ち尽くしてるナムドゥを見てセファが訊ねる。
「どうしたの?」
セファを見てナムドゥは首を振る。
「何でもにない」
もやもやした気分を引きずって流し台に向かう。
「よそではすぐおかわりが出るのに」とおばさん。
流し台前のカウンターに立ったナムドゥはもやもやした気分でセファを見た。
「一体、どうなってるんだ? 何か大事なことを忘れてる気がするんだが…」
母と何十年ぶりの懐かしさに浸ったジュンジェはモランを家に連れてきた。家の前まで来た時は何十年の空白が嘘のように母子のやり取りも戻っている。
「ここがあなたの家だとは夢にも思わなかったわ」
「俺もずっと味が似てると思いながら、母さんの料理を食べてたんだな」
ジュンジェの話にモランはチャ・シアとここに立った時の日を思い浮かべる。
「私の恋人…になる人の家です」
チャ・シアは確かそう言った。
モランは訊ねた。
「ひょっとして、ジンジュさん宅のシアさんと恋仲なの?」
「えっ? 違うよ」首を振る。「大学時代からの友達だ」
「そうでしょう?」モランは嬉しそうにする。「恋人はシムチョンさんでしょ?」
ジュンジェは照れ臭そうにする。
「ずいぶん好きみたいね…でも、もう一緒に住んでるのね…?」
「そうじゃなくて…あいつは行くところがないんだ」
モランは得心したように頷く。
「人間って不思議な縁で結ばれてるわ。彼女には何度も助けられたの」
「…」
「ひったくりに遭った時がそうだったし、車に轢かれそうになった時も…」
「車で轢かれそうに?」
ジュンジェの表情は変わった。
「2人とも車とは相性が悪いな…頼むから車には気をつけてくれよ」
「分かったわ」
モランは笑って頷いた。
「それにしてもいいお家ね。お金はどうやって?」
「たくさん儲けたからだよ。ここは賃貸だけど…一緒に暮らす家もそのうち用意できる」
「…」
「だから仕事は辞めて一緒に暮らそう」
「…どんな仕事をしてるの?」
「それは…」
ジュンジェは困惑した。詐欺で大金を稼いでるとは言えない。結局、あいまいな答え方になった。
「まあ…いろいろとね」
「…」
「ともかく中へ…」
ジュンジェ母子が加わってから、セファの誕生日会は本番に入った。みんな手を叩いてセファの誕生日を祝った。
★セイチュッカ~、ハミンダ~♪
(愛するシムチョンの ~ お誕生日おめでとう♪
「次は火を消す…」
セファがロウソクの火を消そうとすると、ジュンジェから待ったが入る。
「願い事は?」
「あっ、そうだ」
セファは胸の前で両手を組んだ。
「ここでジュンジェと末永く幸せに暮らしたい!」
ジュンジェは苦笑する。
「声に出すとかなわないのに」とナムドゥ。
「そうなの? どうしよう…」
悲しそうにするセファ。
「いいんだ」
ジュンジェが助けを入れる。
「ちゃんとかなうから火を消せ」
一息で消して全員が拍手。
ジュンジェがロウソクを抜こうとしたら、
「もう一度やりましょ」
とセファ。
「どうして?」
「2人の再会も祝わないと…あなたがお母さんと会った分も」
みんなほっこり顔で納得。
ジュンジェ母子も顔を見合わせて笑顔になった。
ロウソクにもう一度火が入り、それをジュンジェとモランが息を合わせて消した。
次の進行になりかけた時、セファはさらに付け足す。
「ほかにお祝いしてほしい人はいない?」
ユナが手をあげた。
「英単語のテストで満点を取ったわ」
「うん、お祝いしなきゃね。ではそれも」
「やりたいだけだろ」と茶化すジュンジェ」
正直に頷くセファ。
「まあ、いいじゃない」とおばさん。
「じゃあ、やろう」とジュンジェ。
再びロウソクに火が入り、それをユナが吹き消した。
みんなそうして日ごろのストレスを吹き消し、セファの誕生日会はいよいよ盛り上がりを見せた。
モランは下を向いた。
「ごめんなさい」
「もういいんだ…詫びなくていいよ」
「お父さんが…あなたをちゃんと育ててくれるとばかり思ってたのに…留学中じゃなかったのね」
「いいんだ。留学はしてないけど元気に過ごしてたよ。いい人たちとね」
モランはジュンジェを見つめた。きちんと勉学できたかどうかが心配だった。
「高校生の時に家出したそうね。どうしてそんなことを?」
「母さんに会いたくて…すごく会いたくて」
モランは目を伏せた。ジュンジェを置いて逃げた自分を悔いた。
「必死に捜したけど…全然見つからなかった。それで思ったりしたよ。死んだかもしれないとか、その他もろもろのことを…」
「…」
「だからもう、謝ったり自分を責めたりしないで…こうして元気でいてくれただけで十分だから」
ジュンジェはモランの横にきた。テーブルに置かれたナプキンを手にし、モランの涙を拭いてやった。そして抱きしめた。
「だけど母さん…すごく小さくなったね」
「…」
「昔は抱きしめられていたのに…これからは逆だね」
モランはジュンジェの腕を取った。
「大変だったでしょ…こんなに大きくなるまで。孤独な時間をずっと耐えて、どんなに大変だったことか」
「…」
「寂しかったでしょう…そうとも知らずに私は」
モランはジュンジェの腕の中でずっと泣き続けた。
「離れてると何も分からないだろ? だからもう、どこにも行かないで」
★★★
「そうだったの?」
みんなは驚いた。
「ジュンジェのお母さんはシアの家にいたのか?」
とナムドゥ。
トンガリ帽子をかぶったセファは頷く。
「今、二人で嬉しさに浸ってるわ」
「俺もお母さんを捜してあちこち走り回ったんだがな。こんなに近くにいたなんて信じられないな」
ホームレスのおばさんは食べるのを休めて顔を上げた。
「すばらしいことだけど、せっかくの誕生日会はうやむやになってきたね」
「そうだな、よりによって今日にするから…」
「だけど」とセファ。「今日にしたから2人は再会できたんだよ」
「それはそうだ」とナムドゥ。「やあ~、シムチョンは語彙も増えたし、物事を論理的に理解して話すようになったな」
テオは自分がほめられたように頷く。
「もうないわ」
ホームレスのおばさんが空になった皿をナムドゥによこす。ナムドゥは渋い顔で皿を持って立ち上がる。歩き出す時、足の先を思い切り椅子にぶつける。渋い顔はにくらしそうに歪んだ。
しかしその瞬間、セファといたプールサイドの光景が脳裏をよぎった。
ナムドゥは思案に沈む。何であれを今まで思い出せないでいたのだ…?
じっと立ち尽くしてるナムドゥを見てセファが訊ねる。
「どうしたの?」
セファを見てナムドゥは首を振る。
「何でもにない」
もやもやした気分を引きずって流し台に向かう。
「よそではすぐおかわりが出るのに」とおばさん。
流し台前のカウンターに立ったナムドゥはもやもやした気分でセファを見た。
「一体、どうなってるんだ? 何か大事なことを忘れてる気がするんだが…」
母と何十年ぶりの懐かしさに浸ったジュンジェはモランを家に連れてきた。家の前まで来た時は何十年の空白が嘘のように母子のやり取りも戻っている。
「ここがあなたの家だとは夢にも思わなかったわ」
「俺もずっと味が似てると思いながら、母さんの料理を食べてたんだな」
ジュンジェの話にモランはチャ・シアとここに立った時の日を思い浮かべる。
「私の恋人…になる人の家です」
チャ・シアは確かそう言った。
モランは訊ねた。
「ひょっとして、ジンジュさん宅のシアさんと恋仲なの?」
「えっ? 違うよ」首を振る。「大学時代からの友達だ」
「そうでしょう?」モランは嬉しそうにする。「恋人はシムチョンさんでしょ?」
ジュンジェは照れ臭そうにする。
「ずいぶん好きみたいね…でも、もう一緒に住んでるのね…?」
「そうじゃなくて…あいつは行くところがないんだ」
モランは得心したように頷く。
「人間って不思議な縁で結ばれてるわ。彼女には何度も助けられたの」
「…」
「ひったくりに遭った時がそうだったし、車に轢かれそうになった時も…」
「車で轢かれそうに?」
ジュンジェの表情は変わった。
「2人とも車とは相性が悪いな…頼むから車には気をつけてくれよ」
「分かったわ」
モランは笑って頷いた。
「それにしてもいいお家ね。お金はどうやって?」
「たくさん儲けたからだよ。ここは賃貸だけど…一緒に暮らす家もそのうち用意できる」
「…」
「だから仕事は辞めて一緒に暮らそう」
「…どんな仕事をしてるの?」
「それは…」
ジュンジェは困惑した。詐欺で大金を稼いでるとは言えない。結局、あいまいな答え方になった。
「まあ…いろいろとね」
「…」
「ともかく中へ…」
ジュンジェ母子が加わってから、セファの誕生日会は本番に入った。みんな手を叩いてセファの誕生日を祝った。
★セイチュッカ~、ハミンダ~♪
(愛するシムチョンの ~ お誕生日おめでとう♪
「次は火を消す…」
セファがロウソクの火を消そうとすると、ジュンジェから待ったが入る。
「願い事は?」
「あっ、そうだ」
セファは胸の前で両手を組んだ。
「ここでジュンジェと末永く幸せに暮らしたい!」
ジュンジェは苦笑する。
「声に出すとかなわないのに」とナムドゥ。
「そうなの? どうしよう…」
悲しそうにするセファ。
「いいんだ」
ジュンジェが助けを入れる。
「ちゃんとかなうから火を消せ」
一息で消して全員が拍手。
ジュンジェがロウソクを抜こうとしたら、
「もう一度やりましょ」
とセファ。
「どうして?」
「2人の再会も祝わないと…あなたがお母さんと会った分も」
みんなほっこり顔で納得。
ジュンジェ母子も顔を見合わせて笑顔になった。
ロウソクにもう一度火が入り、それをジュンジェとモランが息を合わせて消した。
次の進行になりかけた時、セファはさらに付け足す。
「ほかにお祝いしてほしい人はいない?」
ユナが手をあげた。
「英単語のテストで満点を取ったわ」
「うん、お祝いしなきゃね。ではそれも」
「やりたいだけだろ」と茶化すジュンジェ」
正直に頷くセファ。
「まあ、いいじゃない」とおばさん。
「じゃあ、やろう」とジュンジェ。
再びロウソクに火が入り、それをユナが吹き消した。
みんなそうして日ごろのストレスを吹き消し、セファの誕生日会はいよいよ盛り上がりを見せた。