雨の記号(rain symbol)

藤井聡太竜王 VS 渡辺明王将

 


藤井聡太竜王 VS 渡辺明王将




(第71期ALSOK杯王将戦)第3局より




 渡辺王将と藤井竜王による王将戦は棋界最高峰の戦いを見せている。
 第1局、第2局に続いて第3局も醍醐味に溢れた将棋となった。
 両者は相手の思惑を読みながら、全軍躍動の態勢で慎重に駒組みを進めていく。


 攻め駒は相手に立ち遅れてはいけない。攻撃態勢を整えるのが一手遅れればそれはそのまま負けにつながってしまう。
 その一手のために駆け引きが行われ、隙を見つけるや激しく襲いかかる。
 
 藤井竜王再びの8六歩は飛車の動きを挑発した一手。この歩の下に8七金と構えるのを藤井竜王はたまに採用しているらしい。
 最終盤、この歩が後手玉を即詰みに追い込む拠点となるが、藤井竜王もさすがにここまでは想定していなかっただろう。
 しかし、両者ともほぼ居玉(守備駒は少ない)で、戦いが進んだ時、玉は相手の攻めに応じて上下左右どこにでも逃げられる態勢を取っていた。
 渡辺王将もいったん左辺に玉を移動し、藤井竜王の上部からの厚い攻めに、守備駒の多い右辺に逃げて行かざるを得ない状況に追い込まれてその詰み筋が生じたのだった。


 この日の戦いは両者が互いに相手の攻め筋をつぶし合った結果、藤井竜王が中央上部から攻め上がる形になり、渡辺王将はその裏に生じたスペースから反撃していけるかどうかが勝負の分かれ目となった。
 数枚の攻め駒に玉を圧迫された後手にも、裏のスペースから5六桂打ちという渾身の勝負手があったようだが、これを見逃して負けに追い込まれてしまった。


 終盤の緻密を極まる戦いは自分にはさっぱり優劣が分からなかった。しかし最新のAIは次々と最善手を挙げてくる。その分析を解説する動画を見ながらハラハラドキドキした。説明されれば分かる棋力を持つものには何物にも代えがたい醍醐味だった。
 さながらON(長嶋選手と王選手)時代のテレビの野球中継の楽しさと言えようか。隣に野球解説者がいるとアナウンサーの実況放送が何倍も面白くなった。
 野球解説者だけの中継ならあれほど面白くはならなかったはずである。
今の将棋もAIの解析だけではそれほど面白さを感じない。しかし、その解析を口の達者な人が説明してくれるとなぜか楽しくなってくる。たまに説明を間違ってくれると、対局してる両者をしょせん超えることが出来ないのが分かって、なお楽しさを覚えてしまうのである。


 藤井竜王と渡辺王将のタイトル戦がAIのせいでコメディーになってはいけない。将棋解説は、藤井竜王や渡辺王将と同レベルの棋士がしてくださるより、口の達者なアマチュア棋士がたまに間違えながらやって下さる方がよいと感じたこの日の最高峰の対局だった。




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