雨の記号(rain symbol)

韓国映画「ビューティ-・インサイド」から①





韓国映画「ビューティ-・インサイド」から①



 

ハン・ヒョジュ主演の「ビューティ-・インサイド」を見終えた。

 一晩寝たら顔と姿かたちが変わってしまう家具のデザイナー兼職人の男とアンティークの家具を扱う店で店員&専門ガイドを務める女が、愛の感情を交錯させ傷つきながらも再生を果たしていく”王道”ラブストーリーである。
 
 周囲の者と何ら変わらない高校生活を送っていたキム・ウジンは、ある朝突然、中年男に変貌している自分を鏡で見て愕然となる。
 驚いた母はウジンを連れて実家に戻る。以降、二人は周囲との関係を一切断って生活していくようになる。
 高校を中退し大学進学もあきらめたウジンは、人が実際に交わらないですむSNSを利用し、家具(椅子)のデザインの仕事に打ち込んで相応の収入を得られるようになる。


 学校時代の友達に遭遇してギブ&テークで一緒に家具ブランド(アレックス)を立ち上げ、表に出ない自分なりのライフスタイルを切り開いたウジンは、毎日入れ替わる自分の容姿をコントロールしながら、前向きに過ごすようになった。
 稼いだ金でほんとの自分を知る唯一の友で同僚でもあるサンベクと、酒場にも出入りし、女性に声をかけてトークを楽しむ余裕も得た。イケメンの容姿を持ってる時は女性の誘惑に乗り一夜を共にしたりと若者らしいストレスや性欲の処理もできるようになった。
 ただ、女になった時は別だった。自身の背骨を貫く”男”のプライドは守り続けた。自分が心を許す親友に対してさえ操を守り通した。
 だが、そんな生活もウジンの心を十全に満たすものではなかった。黒々とした思いが心の隅にまつわりついていたからだった。
 性欲なら一過性で処理できる。だが、ひとりの男として人並みの恋がしたい感情はどうにもならないものだった。

 気ままながら未来なき一過性の日々に甘んじていたウジンの心を揺るがす転機が訪れたのは、高級アンチークの本格家具店で働くホン・イスを身近に見てからだった。
 彼女は容姿が美しいだけでなく心の方も美しい。お客への応接を見ていてウジンは感じ取った。彼女なら本当の自分の姿にも必ず理解を見せてくれる。
 毎日姿を変える自分の容姿を利してホン・イスを観察しだしたウジンは、彼女はただ美しいだけでなく、家具に対する愛情や考え方も自分に似ている。そう思った瞬間、まるで事象の地平線の向こうから引っ張られるような状況にある自分に気づいたのだった。
 ———今までの刹那的な生き方を捨てたい、もっともっと彼女に近づきたい、自分はそれを心の底から願っていた、と…

 ある朝、鏡を見たウジンの心はいきなりのぼせた。活性化した。全身からときめきが起こって燃え上がった。あらゆる世代の女も自ら経験してきたウジンはこれならいけると踏んだ。
 パク・ソジュン並みの要望を得られた日、ウジンはためらうことなく行動に移った。



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