雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「プレーヤー」(連載42)

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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載42)

☆主なキャスト&登場人物


○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)


 「プレーヤー」第3話→(検事と手を組む詐欺軍団)⑩


★★★


 ナ社長に呼ばれてハリと立ち会わされた男は、共通の友人を見つけて言った。
「スヒョクと会ったよ」
「誰?」
「いただろが…1年の時に司法試験に受かった男だ」
 それを聞いて相手も反応した。
「チェ・スヒョクか。覚えてるよ」
 


 ナ社長はユリに切り出した。
「使える選手に心当たりはないか」
「なぜですか」 
「バイトさせてやろうかと」
「あの賭博場で? 私が嫌いだと知ってるでしょう」
「薬をやって出られないヤツの金稼ぎになるだろ」
「うちにはいないわ―ああ、そうだ。ビョンジュンさんに聞いてみては? あの人も選手の管理をしてると言ってたわ」
「…そうか」
 ナ社長は思案に沈んだ。
 いけ好かないヤツだが当たってみるか…。こっちにすれば金儲けになりさえすればいい話だ―こっちで金かけて見付けだすより手っ取り早い…


★★★


 周囲にはソウルの街並みの全貌が開けている。
 ハリはジヌンを連れて来て高層ビルの屋上でナ社長が現れるのを待った。

 ほどなくナ社長はやってきた。連れをひとり伴っている。
 連れはジヌンと一緒に待っていた男をナ社長に紹介した。
「彼は私が」
「見た目はいいな」
 男をチラ見してナ社長は言った。
 続いてジヌンに歩み寄った。胸を掴んだ。
「こいつは柔らか過ぎじゃないのか?」
 ハリは苦笑した。
「これでもうちのエースです。少し休んでましたが」
 ナ社長はジヌンを見て訊ねた。

「薬でもやったのか?」
 ハリはジヌンと目を合わせた。
「いや、そういうわけではなくて」
 ナ社長に歩み寄る。小さい声で言った。
「女性問題で少し…」
 ジヌンを見てナ社長は鼻を鳴らす。
「女は顔を見ないのか?」
 ハリは軽く笑い声を立てる。 
「まあ、それはいい―しかし、困ったな。必要なのは1人なんだ」
 ナ社長は惚けた声で言った。
 ハリはジヌンの肩を叩いた。
「任せてください。後悔はさせません。なあ、後輩さんよ」
 ナ社長は腕を組んだ。
「誰しも連れてきてそう言う。実力は見せてもらわないと」
 連れを促す。連れは懐から札束を取り出した。ナ社長はそれを2人の間に投げた。
「持っていけ」
「…」
「勝った方がな」
 ジヌンはナ社長を見て拳を握った。
 ハリがナ社長の前に立った。
「はっははは―、ここでそこまでしなくても…」
 しかし、相手の男がハリを押しのけた。気合もろともジヌンに飛びかかった。ジヌンはとりあえず男の攻撃を避ける。
 ナ社長は喜悦の声をあげる。
「そうそう、そうでなくちゃ面白くない」
 相手はどんどん攻撃を続ける。
 男の攻撃を避けながら、ジヌンはハリに目をやる。ハリは軽く頷きを入れた。
 ジヌンは防御から反撃の態勢を取る。太い腕が頬に炸裂、次の一発で
男は後方に吹っ飛んだ。
 ナ社長は口をあんぐりさせた。
「何だこいつは! 強いな」
 ナ社長の連れもびっくりする。
「すごい選手を用意したな」
 ナ社長は満足そうにハリを見た。ハリはペコリと頭を下げた。
「ほら見ろ」ナ社長は言った。「だから確かめたいんだ。こいつを選んでいたら大変だった」
 ナ社長は負けた男に蹴りを入れた。
「このクソ野郎を選んでいたらまた負けるところだった。こいつが! こいつが!」
 罵倒し、蹴りを入れ続けるナ社長に詰め寄ろうとするジヌンをハリは手で制した。
 ジヌンを見て目をつぶった。お前も目をつぶるんだ、と言わんばかりに…。  
 やられた男を散々蹴りまわしてナ社長はジヌンの前に歩いてきた。
「今すぐ契約しよう。いいな」
 とまた胸を触ってくる。
「はっははは…」
 ハリの肩を叩いて背を向ける。
 その背に向かってハリは笑顔を返した。
「すぐに準備します」


 ナ社長が姿を消した後、ジヌンは札束を拾い上げた。男のもとに歩み寄り、腹の上にそっと置いた。
「悪かったな。治療費に使ってください」
 ハリのそばに戻って言った。
「何があってもあいつを捕まえよう」
 ハリは黙ってジヌンの肩を叩いた。


 
 ナ社長はジヌンを配下に得られてご機嫌だった。
「チェ社長の泣きっ面な顔を見るのが今から楽しみだ」 
 口に愛用のサプリメントを放り込んで秘書を見た。
「礼の件はどうなった?」
「入札関係者との話は終わりました。マンションの方もじきに終わります」
 ナ社長はボクサーのファイティングポーズで秘書にジャブを入れ始める。パンチは秘書の身体にヒットした。
「問題がないように進めろよ」
「はい」
 パンチを逃げながら秘書は答える。
「社長、保険には入られた方が」
 ナ社長は足を止める。
「保険?」
「もし、試合で負けたら金が流れません。こっちとしても計画があるんです」
「…」
 秘書は匂いけしを口内にスプレーしてから、ナ社長の耳元に顔を近づけた。
 秘書の話を聞いてナ社長は顎を撫でた。
「うむ…、それも悪くないな」 

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