雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第14話(11)





 チョルスの家にカンジャがやってきてコッスンと遊んでいる。
 アンナは屋外の据付けテーブルの前に子供たちを集めていた。
 テーブルには小銭の入った壷が置かれている。
「一緒に拾ったから公平に分けてあげる」
 ジュンソクらは嬉しそうにする。
「僕、100個ほしい」
 身を乗り出してグンソクが言い出す。
 アンナは壷の中を覗き込む。
「ここには100個もないよ。あげられないわ」
「グンソクは…数が多いとぜんぶ”100”になっちゃうんだ」
 ジュンソクの説明を聞き、アンナは言った。
「あんた、100まで数えられるの?」
 グンソクは首を横に振る。
「だったら、50個」
「…50まで数えられる?」 
 グンソクはまた首を横に振る。
「あんた、バカなのね」
 アンナにズケッと言われてグンソクは泣き出す。
「でも、字は書けるんだよ」
 ジュンソクが弁護する。
「算数が苦手なんだ」
 とユンソク。
「私は数えられるよ」
 カンジャがアンナを見て1から数えだす。 

――1234…56810…

 アンナは一喝する。
「うるさい!」
 しかし、カンジャは数え続ける。

――123710…

「ほら、泣かないで。泣いても何にもならないわ」
 アンナはグンソクをなだめる。
 グンソクは顔をあげる。
「100まで数えることは大事なことよ。私が教えてあげる」


 アンナは100個のチョコレートをグンソクの前に並べた。
「あんたが好きなチョコレートよ」
「うわー、すごい。100個もある」
「そうよ、100個あるわ。でも、数えもせずに”100”と言ってはダメ」
「いっぱいあれば100個だよ。ぜんぶ、僕のだ」
「どうかな?」
 アンナはチョコレートのひとつつまんで口に放り込んだ。美味しそうに口を動かす。 
「ああっ」
 グンソクは嘆息する。残念そうな顔になる。
「100と99の差がわかった?」
「?」
「まだ、たくさんあるから100個?」
「おばさんが一個食べたよ」
 悔しそうにするグンソク。
 今度は2個口に放り込むアンナ。
「あっ、あっ!」
 また嘆くグンソク。
 三つ目も口に入れ、アンナのほっぺたは風船のようにふくらむ。
「ああっ?」
「まだ100個ある?」とアンナ。
 グンソクは大きく首を横に振る。
「いいわ。そしたら数えられた分だけ食べていいわ。さあ、10から数えて」
 グンソクは自信なさそうにチョコをひとつ手にする。
「12…」
 数えようとするが間違ったため、すかさずアンナがそれをとりあげる。次の瞬間にはアンナの口中に消える。
「10の次は11よ。やり直し」
「21…」
「19の次は20よ」
「はい、もう一度」
「37…」
「いいわ」 
「38…」
「いいわ、その調子よ」
「39、40」
 まで数えてグンソクはアンナを見る。
 アンナは頷いた。
「よくできたわ。60個奪われた悔しさを忘れないで」
 40個入ったチョコの器をアンナはグンソクの方に押した。
「あんたが数えて報われた分のチョコよ。しっかり味わって食べなさい」
 グンソクは自分の分を手元に引き寄せて言った。
「100まで教えて」
「今度ね。今日はもうお腹いっぱいよ」



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