チョルスの家にカンジャがやってきてコッスンと遊んでいる。
アンナは屋外の据付けテーブルの前に子供たちを集めていた。
テーブルには小銭の入った壷が置かれている。
「一緒に拾ったから公平に分けてあげる」
ジュンソクらは嬉しそうにする。
「僕、100個ほしい」
身を乗り出してグンソクが言い出す。
アンナは壷の中を覗き込む。
「ここには100個もないよ。あげられないわ」
「グンソクは…数が多いとぜんぶ”100”になっちゃうんだ」
ジュンソクの説明を聞き、アンナは言った。
「あんた、100まで数えられるの?」
グンソクは首を横に振る。
「だったら、50個」
「…50まで数えられる?」
グンソクはまた首を横に振る。
「あんた、バカなのね」
アンナにズケッと言われてグンソクは泣き出す。
「でも、字は書けるんだよ」
ジュンソクが弁護する。
「算数が苦手なんだ」
とユンソク。
「私は数えられるよ」
カンジャがアンナを見て1から数えだす。
――1234…56810…
アンナは一喝する。
「うるさい!」
しかし、カンジャは数え続ける。
――123710…
「ほら、泣かないで。泣いても何にもならないわ」
アンナはグンソクをなだめる。
グンソクは顔をあげる。
「100まで数えることは大事なことよ。私が教えてあげる」
アンナは100個のチョコレートをグンソクの前に並べた。
「あんたが好きなチョコレートよ」
「うわー、すごい。100個もある」
「そうよ、100個あるわ。でも、数えもせずに”100”と言ってはダメ」
「いっぱいあれば100個だよ。ぜんぶ、僕のだ」
「どうかな?」
アンナはチョコレートのひとつつまんで口に放り込んだ。美味しそうに口を動かす。
「ああっ」
グンソクは嘆息する。残念そうな顔になる。
「100と99の差がわかった?」
「?」
「まだ、たくさんあるから100個?」
「おばさんが一個食べたよ」
悔しそうにするグンソク。
今度は2個口に放り込むアンナ。
「あっ、あっ!」
また嘆くグンソク。
三つ目も口に入れ、アンナのほっぺたは風船のようにふくらむ。
「ああっ?」
「まだ100個ある?」とアンナ。
グンソクは大きく首を横に振る。
「いいわ。そしたら数えられた分だけ食べていいわ。さあ、10から数えて」
グンソクは自信なさそうにチョコをひとつ手にする。
「12…」
数えようとするが間違ったため、すかさずアンナがそれをとりあげる。次の瞬間にはアンナの口中に消える。
「10の次は11よ。やり直し」
「21…」
「19の次は20よ」
「はい、もう一度」
「37…」
「いいわ」
「38…」
「いいわ、その調子よ」
「39、40」
まで数えてグンソクはアンナを見る。
アンナは頷いた。
「よくできたわ。60個奪われた悔しさを忘れないで」
40個入ったチョコの器をアンナはグンソクの方に押した。
「あんたが数えて報われた分のチョコよ。しっかり味わって食べなさい」
グンソクは自分の分を手元に引き寄せて言った。
「100まで教えて」
「今度ね。今日はもうお腹いっぱいよ」
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