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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載64)

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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載64)

☆主なキャスト&登場人物


○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)


 プレーヤー」第5話→(仲間とは何か)⑤


★★★


 捕まりかかった女を手助けしたアリョンは郵便ポストの前にきた。財布を郵便ポストに投げ込み、盗んだ金を調べる。
「ずいぶん、盗んだわね」
 いろいろ調べているとその手を掴んだ者がいる。
 さっきの女だった。
「やっぱり、姉御だったね」
 女は馴れ馴れしく笑っている。
 それはアリョンにとって困惑だった。
 案の定、女はアリョンに付きまとう。憧れをこめていう。
「あんな一瞬でやれるとは全然気づかなかった」
 付きまとわれてアリョンはため息をつく。
「プロよね。今もこれで? 私にも教えて」
「ついてこないで」
「そんなこと言わないで。私も姉御みたいになりたいの」
「もう、足を洗ったからついて来ないで」
「だったら」女はアリョンの前に立つ。「後輩に引き継がないと。私はピョン・ヨンジ」
 女は握手を求めた。
 アリョンは呆れ、黙って行こうとする。
 女は引き留める。
「わかったわ。一度だけ…」
 アリョンはその手を振り払う。一瞬で女から水色の財布を抜き取る。
「教えたわよ」
 女は驚く。
「カッコいい」
 アリョンは財布を後ろに投げて歩き出す。
「ああ、もう~」
 女は財布を拾いに走り、叫んだ。
「姉御、待って」


★★★


 チャン検事とメン係長は庁内の食堂で忙しく昼食を口にかきこんでいる。チャン検事はファイルと睨めっこしながら食事を進めていた。
 そばを通ってテーブルについた同僚らは、白い目をちらと二人に流し聞えよがしに陰口を叩いた。
「身内を裏切っておいてよく飯が食えるよな」
「無神経なんだろうよ」
 メン係長はご飯を飛ばして怒る。
「食事中だぞ。静かにしろ」
「…」
「ムカつく連中だ」
 顔についたご飯粒を顔やファイルから払ってチャン検事は言う。
「気にせず食べよう」
 食事を終えてもメン係長は怒りが収まらない。

 メン係長は歯ブラシを振り回しながら言った。
「本当に大丈夫なんですか?」
「ああ」
「スゴイですね。敵に囲まれているのに気にしないでいられるなんて」
「そう学んだんだ」
「チェ団長に」
「そうだ。”人を信じず、組織を思って耐えろ” ”いい日が来るから”と」
 チャン検事は部屋のドアを押した。
「本当でしょうか」
 <犯罪収益金還収チーム>のパネルの張りつけられた部屋にメン係長もついて入っていく。
 中からは威勢のいい声が響いた。

「おかえりなさいチャン検事」
「お食事はすみましたか」
「ああ、食べたよ」
 チャン検事はメン係長を見た。

「見ろ。その日も遠くない」
 テーブルに歯ブラシをおいてチャン検事はチーム面々に気合を入れた。
「もう少しだ。頑張ろう。ファイト」
 拳を突き上げると元気のいい声が返ってくる。
「おおっ! やるぞ! チャン検事のためにファイト」
 気勢を上げるメンバーにチャン検事は苦笑いする。
「俺のためじゃない。正義のためだろう」
 その時、電話が入った。
 携帯を握るとユ次長検事からだった。




 チャン検事はファイルを持って次長検事のもとに出向いた。
 ファイルに目を通し、ユ次長検事はチャン検事を励ました。
「よくやってるな。このまま進めてくれ」
 チャン検事は頭を下げた。
「はい、頑張ります」
 ユ検事は脇にあった紙バッグをテーブル上においた。
「みんなで食べてくれ」
 中を覗いてチャン検事は喜ぶ。
「いただきます。係長は甘い物が好きなので」
「…何か、不安なことはないか?」
「今のところはありません」
「何かあったら報告しろ」
「わかりました」
 チャン検事は一礼して背を返した。
「ところで…」
 ユ次長検事の言葉に足を止める。
「ヒョンギの息子のことだが」

 チャン検事の表情は一瞬強張る。だが、笑顔で振り返る。
「スヒョクですか?」
「そうだった。スヒョクだったな。アメリカに渡ったと聞いたが…」
 チャン検事は目を落とした。
「だいぶ前に死んだそうです」
「何だって! どうして?」
「自殺したという話です」
「…」
「団長がああなって、奥様も亡くなられて1人で辛かったんでしょう」
「…」
 チャン検事は頭を下げて背を返した。




 ハリは”延ニ病院”に顔を出した。チュ・ヨニは黙ってハリを迎えた。
 2人は飲み物を手に長いすに腰をおろした。
 先にハリが切り出した。
「また世話をかけるな」
 ヨニは表情を緩ませた。
「お礼は言わないのね」
 ハリを見る。
「相変わらず」

 ハリは黙ってコーヒーを飲む。
 ぽつんと言う。
「美味いな」
「…」
「ほっとするよ」
「仲間が出来たのね」
「…」
「仲がよさそうだった」
 ハリはヨニを見る。
「別にそうでもないさ」
「また始めるの?」
 ハリは頷く。
「やらないと」
「無理せず、ケガしないように気をつけて」
「主治医がいるから大丈夫だ」
「…悪い男ね」
「連絡はないのか?」
「…ないわ」
「…」
「何も起きないわよね」
「そのつもりだ」
「…」
「何かあったら教えてくれ」
「まだ決めてないわ―教えるかどうか」
 ハリはヨニを見た。
「待ってるよ」
 ハニは席を立った。マグカップをカウンターに置いた。
「もう行くよ」
 そう言って外に向かって歩き出す。
 数歩歩いてヨニを振り返る。

「ありがとう」

 その声にヨニも振り返る。
 笑顔を残してハリは”延ニ病院”を後にした。

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