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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載39)

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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載39)


「30だけど17です」第4話(壊れたバイオリン)⑨
☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


 話を聞いてチャンはあまりの驚きで、すぐには慰める言葉も思いつかなかった。
 黙り合ったまま時間が流れ、チャンはようやく口を開いた。
「あの…俺が思うに、今どきの30歳はまだまだ若い。早いうちから、何だっけ…挫折か、ああ、そうだ、挫けてなんかいないで前を見てほしい。生きていれば、いい日が必ず来るから。だから」
 ソリはチャンをじっと見た。頷きながら次の言葉を待った。
「それで…」
 チャンに合わせてソリも首を長くし、顔を持ち上げる。
「その…ダメだ」
 頭に手をやった。髪をかいた。
「言葉が出てこない…だから、つまりですね」
「”ガンバレ”ってこと?」
 チャンは頷く。
「はい」
 ソリはチャンの励ましに笑顔を返した。
「ありがとう」


★★★


「そうだ」
 チャンは膝を叩いて立ち上がった。
「こうなったら何か辛い物を食べて、イヤな気分を吹き飛ばそう。おばさん、こういう時は―」
 阿吽の呼吸でソリは答える。
「トッポッキ?」
「あれ? よく知ってますね」
 ソリもはしゃいで立ち上がる。
「トッポッキは大好物なんです。麺も入れたら最高」
「そんなの当然です。行こう」
「ええ」
「のり巻きに天ぷらも?」
 ソリは手を叩いた。
「それも食べたいわ」


― のり巻き天ぷら♪ のり巻き天ぷら♪


 2人は唱和しながら店へ急いだ。


 
 ウジンは車で帰宅した。
 ちょうどジェニファーがキャリーバッグを引いて出てくる。
「お帰りなさい」
 お迎えの挨拶をしてジェニファーは切り出す。
「これからお肉を買って参ります。お好きな部位は?」
「特にありません」
「そうですか。では」
 ジェニファーと入れ違いに運送屋が台車に荷を積んでウジン宅へやって来る。
「すみません」
 振り返ったウジンに配送員は言った。
「宅配便です」

 宅配便は凄い量だった。ウジンはそれを1人で中に運び入れた。
 どこから誰にだろう、と調べると、住所は合ってるが自分たち宛ての荷物ではない。
 ウジンはそれを調べていく。
「”トン・ヘボム、トン・ヘボム、トン・へボム”、”ハン・ドクス”、”ユ・チャン”、”トン・ヘボム”」
 ひとところにまとめてウジンは首をかしげる。
「なぜ、うちに送って寄こしたんだ? まったく…」
 宅配便を気にしながら部屋に向かってると、膝を何かに思い切り打ち付けた。痛みで悲鳴をあげる。
 打ち付けたのはまたしても鉢植えだった。
「何でまたここに…」
 ウジンは痛みをこらえながら部屋に向かう。
 部屋で着替えているとインターホンが鳴った。
 ウジンはTシャツ姿で急いで階段を駆け下りる。モニタをつけた。
「どなたです?」
「蒸し豚セットです」
「うちじゃないですよ。頼んでませんけど」
 するとモニタの向こうで人の気配がした。
「わ~い、ちょうどよかった。僕たちです、おじさん」
「…」
「ご苦労様でした」
 ウジンは鬱陶しそうにモニタを消す。
 やがて、チャンの友達らが玄関から顔を出す。
「おじさん、お邪魔しま~す」
 リビングルームに入って来るなり、醤油を見せて「蒸し豚、蒸し豚」と掛け声あげながら踊りだす。
「なぜ、うちに出前を?」
「チャンはまだかな」とへボム。
「すぐ帰って来るさ」とドクス。
 相手にしてる時間もない。ウジンは黙って背を返す。
 すると彼らから声がかかる。
「おじさんも一緒にどうですか?」
 ウジンは彼らを振り返る。
「自分はいい。お前たちで食べろ」

 向き直ろうとしたら、またしても膝を打ち付けた。
 痛がってるウジンに彼らはいう。
「麺料理もありますよ」
「ほしくないから、いいって」
「そうだ、おじさん」
「いらないよ」

「そうじゃなくて、荷物の受け取りをありがとう」
 2人は親指を突き出し、腕でハートマークをつくる。ウインクまで見せる。

 ウジンは気味が悪くなり、部屋に逃げ込んだ。
 イベントのミニチュア版ステージのイメージづくりに励んだ。
 小さな傘をピンセットで扱っているとまたもインターホンが鳴った。ピンセットから小さな傘は逃げ落ちた。
 苛立ちながらピンセットで傘を掴み直す。再び細かな作業開始すると、いきなり部屋のドアが開いた。
「おじさん」
 へボムが顔を出して言った。
「トッポッキはいかがです?」
「食べたくないんだ、キム君」
「一緒に食べたかったのに…それじゃ失礼します」
 ドアは閉まる。
 ほっと息をついていると、またドアは開いた。
「じゃあ、北京風酢豚は? これは美味しいですよ」
「今は食べたくないんだ」
「美味しいので一緒に食べたかったのに残念です」
 へボムが出て行った後、ウジンはドアをロックした。
 なぜ気付かなかったのだろう、これなら誰も入ってこれない。
 立ち上がっていってドアをロックする。ほっとして席に戻っているとまたもドアは開いた。入ってきたのはドクスだった。
 ウジンはびっくりする。



「鍵はどうした?」
「開きましたよ。チャンは?」
 ウジンはため息をつく。
「電話してみたらどうだ」
「ああ、そうですね。気づかなかった」
 ドクスは笑いながら部屋を出ていった。
 ウジンはため息をつきながらドアを閉めた。



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