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韓国ドラマ「病院船」から(連載48)
「病院船」第5話➡騒動⑤
★★★
周囲が可笑しさで沸き返っている中、一番真剣でショックなのはアリムだった。
アリムは呼び出した友達に詰め寄った。
「アリム、私の話を聞いて」
アリムは言い訳は聞かない態度だった。
「私は拒んだの。でもギヨンさんが…」
「その口を閉じなさい!」
友達は階段口まで追い詰められた。もう後ろがない。さっと横に逃げ、ドアの中に逃げ込んだ。
アリムはドアを叩いて友達を罵った。
「開けなさい。勝手なことして、この性悪女! 開けなさい」
やがてアリムの声がしなくなった。
ほっとして後ろを振り向くとそこはスタッフの休憩室だった。
ジェゴルが驚いている。
「ホン秘書がなぜここに? まさか」
ホン秘書は懇願した。
「お父様には黙ってて…ではなくて」
手を合わせて頼み込む。
「院長にはどうか内密に」
これには船長もびっくりだ。
「何だ、知り合いか?」
「”秘書”? ”お父様”?」
ジュニョンはジェゴルの身分をいぶかりだす。
ジェゴルは黙ってその場を去る。
「待って」とホン秘書。
「父親が院長ってことは…まさか」
ジュニョンはホン秘書を見た。ホン秘書は仕方なく頷いた。
「ジェゴルは巨済第一病院の院長の息子ってこと?」
ジェゴルの身分がそこにいるスタッフらに伝わり、ホン秘書は頭を抱え込んだ。
★★★
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「シュバイツアーの息子に院長の息子まで…病院船は名だたる”二世”のあつまりですね」
甲板長は言った。
「まったくだ…」と船長。
2人のやりとりに事務長は顔を上げた。
「何の話です?」
待ってたとばかり船長が答えた。
「キム先生は巨済第一病院院長の院長の息子だ」
事務長も驚く。
「ところで患者はどうなった? ちょん切っちゃうのはどうだ」
「しっ、声が大きい。患者に聞こえるだろ」
「…」
「えっ! 手術をですか?」
ウンジェの説明に患者は不安がった。
「病院船でですか?」
「そうです」
「そ、それは…」
急に患者はそこを痛がる。
「嫌です」と答える。「大きな病院に行きます」
「…」
「早く海洋警察を呼んで」
ヒョンがすかさず答えた。
「30分でやってきます」
「ご自由に。ただし…」
「ただし?」
「白膜破裂の場合、2時間以内に処置しないと、機能に問題が出る可能性があります。そこは理解しておいてください」
「えっ! 機能に問題ですか?」
「詳しく説明した方がよろしいですか?」
ヒョンと目が合って患者は恐る恐る訊ねる。
「使い物にならなくなる、と…?」
うんうん、とヒョンは頷く。患者は目頭を押さえた。
ギヨンやホン秘書に怒りをぶつけた後、大きなテーブル横の長いすに乗っかり、アリムはひとり考え込んだ。
あれが折れてしまうほど燃え上がった2人を思うと、悔しいし、悲しいし、寂しかった。ギヨンやホン秘書を許したところで、気持ちのもやもやはふっきれそうにない。ずっと引きずっていってしまいそうだった。
拭っても涙は後から後から染み出てくる。
そこに男たちの声が聞こえだす。船長と甲板長だった。
「まさか院長の息子だったとは…あれっ?」
船長はアリムがいるのに気づいた。
「なぜ、ここに? アリムさんが隠れる必要はないだろ」
「別に…隠れてるわけじゃありません」
「…ソン先生もおせっかいだな」
甲板長は拳を振り上げて続けた。
「あんな奴、去勢しちまえばよかったのに。それを助けるために手術するなんてどうかしてます」
アリムは2人を見た。
「手術するんですか?」
「知らなかった?」と船長。
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アリムは席を立った。2人をおいて船室に向かった。
船長は甲板長を睨みつけた。
「まったく余計なことを言うもんだから」
甲板長は肩を落とした。
「まずかったですか…?」
病院船内を騒がした患者の手術は始まろうとしていた。
ウンジェは患者に説明した。
「手術は簡単です。結手を除去して縫合します」
患者は殊勝にウンジェの説明に聞き入る。
「ただ、破裂部位に変形は生じます」
「…機能の方は大丈夫でしょうね?」
患者はスタッフを見回す。ウンジェは頷く。
サブについたヒョンは言った。
「意識の高揚が見られるので、鎮静剤も投与します」
ウンジェは了承する。
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この時、手術室にアリムが飛び込んできた。彼女も興奮していた。
声を荒げてウンジェに訴えた。
「どうしてこんな奴に手術を?」
アリムの声に患者は目をあけ「ふぅ―っ」と息を吐く。
「アリムさん」とウンジェ。
「しないで」とアリム。「する必要はありません」
「自分が何言ってるか、わかってる?」
「ええ。愛と信頼を裏切るヤツは、ほんとの男じゃない。だから」
「ストップ、そこまで」
ウンジェはアリムを睨みつける。
アリムは黙った。
ヒョンが言った。
「ジュニョン、彼女を外に」
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「いいえ」とウンジェ。すかさずアリムに指示を出す。「手術着に着替えて」
一瞬、静寂がきた。アリムはウンジェを見つめ返す。
ウンジェはアリムの目を見て言った。
「あなたもここに参加するのよ」