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その頃、ビリーは思い切った決断をくだそうとしていた。
「アンナ…僕は金のために君を捨て、また連れ戻そうとした。でも、もう金のために君を連れ戻す必要はなくなった。アンナ…、君は本当に、僕を試しているのか?」
カンジャの楽しそうな歌が続いている。
そんな中、チョルスはアンナに言った。
「宴会なんだから、少しは楽しそうにしろよ。手を叩けよ、手を」
「イヤよ」
アンナは意地を張る。
「手が痛くなる」
「まったく」チョルスは手を叩きながらいう。「手拍子がイヤなら歌うしかないな」
アンナはカンジャを見た。自分があんな風に歌うのはイヤだ。あまりにカッコウが悪い。アンナはやむなく手を叩き出す。それを見てチョルスは笑う。
一緒に手を叩きながらアンナに注文をつける。
「何だよ、それは。軍隊同期のナ一等兵、もっと強くだ。ほら、こうだ」
チョルスに合わせアンナは大きな身振り手振りで手を叩いた。
チョルスを見てやっているうちにアンナは笑い出す。
「チャン・チョルス。まるでハエを叩いてるみたいだわ。カッコウ悪い」
「そうさ。お前もそうやってハエを100匹捕まえろ」
カンジャの上手な歌謡ショーが続く。
チョルスに合わせ大きな身振り手振りで手を叩いているうちにアンナは次第に宴会が楽しくなりだした。
チョルスはアンナを見て言った。
「サンシルが笑ったな。いいぞいいぞ、もっと笑え。たくさん笑え」
チョルスの言葉を嬉しく感じながら、アンナは手を叩き、笑い続ける。
この時、脳裏を妙な言葉がよぎった。
「笑うほど楽しくないわ」
野外パーティーを行っている自分の姿が脳裏に浮かび上がってきた。
「楽しいことがなくて笑えないわ」
アンナの表情は一瞬にして固まった。
この光景はいつのことなのだ?
近くで食器の転がる音がする。アンナの神経は敏感に反応した。また別の光景が脳裏で展開しだす。
従業員に一斉の反発を受け、孤立している自分の姿だった。
アンナは目元にしわを寄せた。次の場面が開かれる。自分は叫んでいる。
「待ちなさい!」
現実と脳内の世界が複雑に交錯しだす。アンナは頭痛を覚えた。立ち上がって席を離れた。
チョルスは怪訝そうにアンナの背中を目で追った。
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