雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「朱蒙」第19話


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 夫余では塩の補給問題が急を告げていた。金蛙王はオクチョとの戦を決断した。それを聞いて帯素は、自分に兵を率いさせてください、と申し出た。

 夫余がオクチョに兵を出すとの伝令をきいてヤンジョンも受けてたつ気構えだった。オクチョに兵をさしむけ、応戦の準備に入れと命令を出した。

 ヨミウルは出兵時間のお告げを行った。
 金蛙王が臣下を鼓舞しているところに朱蒙が戻り、面会を求めた。
 朱蒙は召西奴とともに金蛙王の前に進み出た。
「二人で何しにきたのだ」
 朱蒙は切り出した。
「陛下。今すぐオクチョへの出兵をとりやめてください。オクチョと戦う必要はもうありません」
 全員は何事かという顔になった。
「私はヨンタバル商団の召西奴番頭とコサン国の遠征に行ってまいりました。コサン国には夫余が代々使える塩山がありました。陛下。これから夫余は塩のためにハンナラの圧迫を受けなくてもいいのです。夫余が必要なだけ、いくらでも塩が調達できるのです」
(第18話より)

 金蛙王は朱蒙に訊ねた。
「わしも知らないコサン国の塩山について誰に聞いたのだ」
「母上です。ハベク族の母方のお祖父さんがコサン国に行けば塩でいっぱいの山があると言っていたそうです。私は今回の遠征を通してお祖父さんの話が事実だったことを確かめました」
「うむ」
「これはすべて塩山のことを話してくれた母上と今回の遠征を率いた召西奴番頭の功績です」
「ヨンタバル首長に賢い娘がいると聞いてはいたがただの噂ではなかったようだな。ご苦労だった」
 金蛙王は戦争状態の解除を命じた。
「朱蒙王子と遠征商団のために宴会を開こう。諸臣らは全員出席するように」

 朱蒙のやりとげた仕事に面白くなさそうな帯素とヨンポである。
 一方、召西奴率いる商団の遠征が成功してヨンタバルは上機嫌であった。
「帯素王子と朱蒙王子の競合はますます激しくなるだろう。はっははは」

 王妃の母子は朱蒙にしてやられた悔しさをぶつけあっていた。
「帯素や。どうして黙っているの。何とかいいなさい」
「母上。これで終わりではありません。勝負はこれからです。母上を悲しませることはいたしません。心配しないでください」
 そうは言っても考えに沈む帯素であった。
 そんな帯素の目の先を朱蒙と召西奴が楽しそうに歩き去った。
 朱蒙は召西奴をユファ夫人に会わせた。
 三人は商団の遠征について話を交わした。
 ユファ夫人は、どうやって匪賊たちから逃れたのだ、と朱蒙らに訊ねた。
「召西奴さんが山塞にやってきて匪賊の頭と談判したのです」
「自分から赴いたのか?」
「はい。そして結局、コサン国まで匪賊を護衛武士として連れていきました。はっははは」
 ユファ夫人も楽しそうに笑った。
「きれいでか弱いお嬢さんがその大胆さとは驚きです」
「とんでもありません。運がよかっただけです」
 笑みをたたえながら朱蒙が補足した。
「始祖山に行く途中に沼にはまった私を救ってくれたのも召西奴さんです」
 ユファ夫人は表情をさらに明るくした。
「それ、本当なの」
「はい」
「私も王子様に命を助けてもらったことがあります」召西奴も言った。「王子様が商団にいらしてから、学ぶことは多いです」


 召西奴が引き揚げた後、ユファ夫人は朱蒙に言った。
「あなたを二回も救ってくれたなら、普通の縁ではなさそうね」
 それを聞いて朱蒙は照れ臭そうにした。
「私があげた指輪はまだ持ってる?」
「はい」
「指輪をあげたくなりませんでしたか」
「そこまではまだ・・・」
「そう、それはいそぐこともないわね」

 ヨンポはトチのところへ乗り込んだ。死んだと思っていた朱蒙がただ戻ってきたばかりか、手柄まで引っさげていたからである。ヨンポはトチの髷を切り落とし、お前との付き合いもこれまでだ、と言い残して引き揚げていった(しかし、まだまだ続くんですな、腐れ縁が・・・結局、髷どころか命を落としてしまうまで・・・おっと、これはネタバレだ)。

 ヨンタバル商団は遠征の成功で沸き返っていた。ケピルやサヨンは、召西奴の大胆さは首長以上だ、と誉めそやした。
 ウテだけが一人不機嫌だった。
「それは大胆というようなものではありません。分別がないだけです」
 そう言って召西奴を睨みつけた。

 ユファ夫人と王妃が宮の通路で顔を合わせた。
 王妃が言った。
「朱蒙が夫余のために大きな功を立てたのでさぞかし嬉しいことでしょうね」
「王妃様のおかげです」
「いつ一人前になるかと心配していたが、やっと王子の本分をつくしてくれたので本当によかったわ」
 ユファ夫人は頭を下げたまま、王妃の言葉を聞いていた。
「もともと分別のない子だから、今回のことでは軽率に動かないよう注意してあげなさい。・・・今までの行動から見て、またいつ問題をおこすか知れないんだから。今回の功は大きいが、過去を償うにはまだ足りないです」
「肝に銘じます」
 王妃らが立ち去ってからムドクがユファ夫人に言った。
「王妃様、ずいぶんご機嫌斜めのようですね」
「お前にもそう見える?」
「はい」 

 宴会の席に向けてヨンタバルの人たちも宮へやってきた。
 ヨンポは酒を飲んでいた。帯素はそれを見てヨンポを叱り付けた。
「宴会前なのに何しているんだ」
「私は行きません。朱蒙の喜んでいる顔など見たくないんですよ」
「情けないやつめ」
「そんな風に言わないでください。私も精一杯努力してきたんです」
「何だと」
「兄上にはかなわないがそんな風にいわれたくありません」
「少し、言い過ぎた。私も朱蒙のことを考えれば悔しい。しかし、その感情を表に出せば私たちの負けになる。だから、悔しいほど毅然たる態度をとっていなきゃならないのだ」
「・・・」
「行こう」

 朱蒙らにとって宴会は楽しいものとなった。
 しかし、帯素は少しもそれを楽しんでいなかった。
 ほどよい頃、金蛙王は朱蒙、召西奴、ヨンタバルを呼んだ。みなの前で酒を注いで飲ませた。三人の功績を讃えた。
「朱蒙王子は誰も知らなかったコサン国の塩山を見つけ、夫余の心配事を解決したのでその功はもっとも大きいといえる。その褒美に願いを一つかなえてやろう」
 その言葉に王妃や帯素らは不安の影を走らせた。
 そこにプドウクブルが口をはさんだ。
「朱蒙王子の功は大きく褒美を賜るのは当然ですが、今回のことは太子競合には・・・」
 金蛙王はその先を遮った。
「大使者の言いたいことはわかっている。ここで太子を決めることはない。心配するな」
 金蛙王は話を朱蒙への褒美の件に戻した。
「さあ、願いを言ってみなさい」
 朱蒙は言った。
「コサン国の塩山について言い出したのは私ですが、私の話を信じ、危ない遠征に出かけて取引を成し遂げた召西奴番頭の功に比べたら取るに足らないものです。陛下から賜る褒美は召西奴番頭のものです」
「ならば、召西奴が願いを申してみろ。何でも聞いてやろう」
「陛下」
 召西奴は応じた。
「私が率いた商団が微力ながら夫余の助けとなったのは、私にとっても本当に嬉しいことです。私の願いは夫余の王室とゲルが今日のような友好的な関係を維持することです」
「部族を思うそなたの心はまことにけなげだ。その願いを受け入れ、夫余とゲルの永遠の友好関係を約束する。
「感激の至りです」

 ほんのり酔って宮の中を散歩する召西奴をナロが呼び止める。
 召西奴はやむなく帯素に会った。
 その場で帯素は召西奴に求婚する。
「私は必ず太子になり、王位を継ぐ。そしてお前を王妃にする」
 そんな二人のやりとりを朱蒙が遠くで見ていた。

 召西奴に気持ちを伝えたことで決心もついたか、帯素はヒョント城に出向くと王妃に打ち明ける。
「ヤンジョンと約束したのです」
「約束って何の約束です」
「私が夫余の太子になるための後押しです。その約束をはたしてもらうためこれから出かけます。陛下にはうまく取り繕っておいてください」

 その頃、金蛙王は朱蒙に夫余の特使者としてヒョント城に行ってもらう話を伝えていた。
「陛下。それは私にとって過分の役割です。とりさげてください」
「いや、今のお前なら十分この役割を果たせる」

 召西奴は帯素の言葉を重く受け止め、考え続けた。

「この剣はわしに代わる王の剣だ。ヤンジョンにわしの意をどうどうと伝えてこい」
「陛下の命に従い、特使者の任務を最善をつくして果たします」
 王の剣を預かり、朱蒙は配下をしたがえどうどうと夫余宮から出かけていった。

 ハンダンはペマンを町で見かけ、どうして約束を守らなかった、と迫った。
「約束などした覚えなどない。・・・なぜ、朱蒙を生かしたか、わかるか? 儲かるからだ。今は匪賊などやらず大もうけしている。わっははは」
 ペマンは高笑いを残して立ち去った。
 
 ヤンジョンに会った帯素は、自分がならず、朱蒙が太子になるとハンナラと夫余の関係は悪化する、と説いた。そして、ヤンジョンの後押しは返事待ちとなった。
 ナロと酒を飲みながら、私が太子になったなら私に背いたやつらはみな殺してやる、と帯素は息巻いた。

 その頃、朱蒙が特使者としてヒョント城に到着した。このことはすぐ帯素の耳にも入った。
「朱蒙が特使者だと・・・? どういうことだ?」

 朱蒙は金蛙王からの親書を差し出した。親書を読み終えたヤンジョンは顔色が変わった。
「交易は再開しなくてもいいからこれ以上干渉するなだと! 夫余の王は本当に無礼で恩を知らない恥知らずだ。ハンナラとの交易がなかったら、今の夫余が存在できるのか」
「無礼だぞ。ハンナラは夫余に恩を与えたのではなく、あらゆる夫余の国事に干渉し、思うままにならない時は、交易中断と戦で脅迫してきた。一時、夫余と同じ先祖から始まったゲマ国の王子として、ハンナラの人質になって恥辱を受けた者がそんな妄言を口にできるのか。・・・ヒョント群の太守はちゃんと聞け。夫余はこれから、どの国の干渉や脅迫にも応じない。ハンナラがこれに反する場合、夫余が先に軍を動かすことを警告する」
 ヤンジョンにそう警告して引き下がろうとする朱蒙の前に帯素が現れる。
「話がある」
「お断りします。今の私は兄上の弟ではありません。夫余の特使者としてここにきております」
「こいつが! ちょっと功を立てたと思って太子にでもなったつもりか。しかと覚えておけ。勝負はこれからだ」

 夫余ではトチの悪巧みが始まっていた。オイのもとに、プヨンが奴隷商人に売られようとしている、という話がもたらされたのだ。
 プヨンにほれているオイはマリとヒョッポをつれてトチのもとに押しかけるが、大金をふっかけられて交渉は進まない。思い余ったオイはヨンタバルに借金を申し込むが、一万両の大金を貸してくれるわけもない。
「命をかけるというが、お前の命にそれほど値打ちがあると思っているのか。私は商人だ。利益にならない取引はしない」
 何の当てもなくなったオイはとうとうトチに泣き付く。トチはオイを連れてヨンポ、次に帯素に会わせた。
 帯素は、朱蒙が何を図っているか、知っているか、とオイに訊ねた。
 オイはためらったが、ヨンポらに「太子競合のために何をやっているのか、言ってみろ」と促されてやむなく答えた。
「朱蒙王子様は、太子競合で優位に立つためには、鉄製武器の開発がもっとも重要だと、鉄器工房の房長と手を組んで、炒鋼法の秘法の解明に力を入れています」
「炒鋼法?」
 帯素は思案に沈んだ。
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