雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載153)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載153)




「30だけど17です」第18話(初めてのキス)①


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★

 ウジンが目で追うとソリは急ぎ足で消えた。
 ウジンの目から逃れてソリは呼吸を整える。ジェニファーを見かけて歩み寄った。清々しい声で朝の挨拶をする。
 ジェニファーは飲み物を立てていた。
「練習で忙しそうですね。音楽祭の準備は上手くいってますか?」
「舞台には立ちません」
「…」
「何も質問しないんですか?」
「いい話ではなさそうなので、質問は遠慮します」
 ソリは苦笑いする。
「チャン君には…」
「大会が近いので言わないでおきます」
 ジェニファーは錠剤を口に入れる。
「薬を? どうしたんです」
「ビタミン剤です。お医者様がくださいました」
「ああ、キム・ヒョンテ先生ですね?」
 ジェニファーはソリを見た。
「どうしてそれを?」
「掃除してた時に見たら、友達と同じ名前だったので…」
 当時は洋楽が好きだった彼を思い出しながらソリは答えた。
「そうだ、キム・ヒョンテって歌手はいますか? 歌うのが好きだったので」
 ジェニファーはすぐ携帯で検索を入れた。
「1959年生まれ―代表曲は”愛の水車”、”ナメクジ チャチャチャ”〜」
 横から携帯を覗いてソリは落胆する。
「歌手にはなってないみたい…スミとヒョンテはどうしてるかな〜」
 ソリはしみじみと昔の仲間たちに想いを向けた。

★★★


 手術室を出てきたキム・ヒョンテのポケットで携帯が鳴った。
「はい。何かありましたか?」
「そうではなくて」
 電話を入れたのはウ・ソリの入院してたリハビリ病院からだった。
 受付の事務員は説明した。
「毎月、払われていた入院費が―中断されました」
 キム・ヒョンテはソリの家を訪ねた昔のことを思い出した。預けっぱなしになっていたCDを引き取りにウ・ソリの家に出向いた日だった。
 ソリの家にやって来るとヒョンテの縁戚筋のクク・ミヒョンが車のトランクに荷物を積むのに忙しくしていた。
 ヒョンテが声をかけても返事をしなかった。
 腕に手をかけるとその手をふりほどいた。
「私とはもう関係ないのよ」
 そう言っていそいそ車に乗り込んだ。
「おばさん…どうしたんです」
 ミヒョンは返事もせずにクルマで走り去った。ヒョンテは走って後を追ったが無駄だった。ミヒョンはあれ以来、行方を晦ましてしまった。


 あれからすぐ、ヒョンテはウ・ソリの入院するリハビリ病院に出向いた。高校生の身で病院の受付と掛け合った。
「ウ・ソリをここに居させてください。僕が保護者になります」
 しかし、受付の女性は答えた。
「入院費なら支払われてます」
 ヒョンテは訝った。おばさん以外にウ・ソリの入院費を払える人はいなかったはずだからだ。
「誰が払ってるんですか?」


 確かあの時は「分からない」という話だった。
「支払っていた人は不明なんですよね? お金を振り込んで来るだけで…」
「いえ、偶然かもしれませんが、ある男性が訪ねてきた直後に支払いが中断されたんです」
「男性ですか?」
「帽子のせいで顔は見えなかったそうです」
「…」
「先生なら何かご存じかと思ったんですが、心当たりなどは?」
 ヒョンテは答えた。
「僕にも見当がつきません―警察から連絡はないですか?」
 警察からも連絡はないようだった。
 ヒョンテは空しく携帯を切った。
「帽子の男か…その人が支払っていたに違いない。11年も払い続けていた、ってどういう人なのだろう」


 帽子をかぶったその男は工事現場から歩き去ろうとする。
 ヘルメットを被った同僚が声をかける。だが、彼は返事をしなかった。疲れた足取りで行き過ぎる。
「あれ、キムさんだよな?」
 無視された同僚は歩み寄った同僚に話しかける。
 同僚は頷く。
「仕事もしないでどこへ行くんだ?」
「ここを辞めるそうだ」
「そうなのか? 金が要るからと必死で働いてたのにどうしてだ? もう稼ぐ必要がなくなったのかな」
 2人は男を見やった。
 彼の姿は工事現場から遠ざかっていった。


 デザイン事務所に出勤したソリは、3人の同僚に深々と頭を下げた。
「ご心配をおかけしてすみませんでした」
 カン・ヒスが笑顔で言った。
「ソリさんの決断を尊重するわ」
 ソリはヒスにもう一度頭を下げて着席した。
 ヒスが席を立った。
「私は委員長に会ってくる。ともあれ、準備はすすめなきゃね」
 ウジンをやむない表情で見やり、事務所を出ようとする。
 その時、ヒスの携帯が鳴った。
「もしもし…」
 歩いて行きかかったヒスは足を止めた。
「ああ、どうも…」
 ヒスは表情を変えた。思わず3人を振り返った。
「分かりました」
 ヒスは席に戻った。ヒョンが訊ねた。
「何かあった?」
 席に座り、ヒスはノートパソコンを開いた。速報ニュースを見る。
 
― 飲酒運転で事故を起こして逃走した―ピョン氏に逮捕状が出されました。


 ヒスは3人にニュースの映像を見せた。
 ”飲酒運転で歩道に突っ込む”と字幕が出て、ボンネットが大きく開いた乗用車が映し出されている。
 
― 血中アルコール濃度は0.268%で…


「ウソ?」とヒス。
「これ、ピョン委員長?」とヒョン。
「酒好きなのは知ってたけど、事故を起こすとはね」
 ヒスは呆れた声で言った。そして明るい顔になった。
「ものすごく残念だけど…」
 パンパンパンと手を叩いた。スタッフを見回して言った。
「私たちは粛々と頑張りましょう」
「はい」
 ヒョンとソリは元気に返事した。
 4人はさっと席を立つ。
 ウジンはヒスに訊ねた。
「聞いたのか?」
 ヒスはウジンに歩み寄った。小さな声で言った。
「シム先生から電話があって話を聞いたわ。委員長の意図は知らなかったと言っておられた」
「…」
「納得できる理由だから許してあげるわ」
 2人は笑みを交わし合った。  




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