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隣人宅で酒を飲んで引き揚げてきた後、酔い覚ましに甘菓子をついばみながら書きかけだった文章を完成した。
左肩と腕にこりと痛みを感じたのはこれをブログにアップした後だった。
手指はいくぶん浮腫み加減だ。キーボードを叩き過ぎたと感じてパソコンをシャットダウンした。
この後、しばらくテレビドラマを楽しんだ。だが、眠気と肩こりのせいで身を入れて鑑賞ができない。早々に寝床へ入った。すぐ眠りに引き込まれた。だが眠りは浅かった。
この眠りの中で幾つも夢を見た。一度途切れた夢の続きをまた見ていると感じたりした。
それが夢かどうかはわからなかった。誰かが玄関のドアをあけて入ってくるのを感じて僕は目を覚ました。部屋はまっくらだった。近くには誰の気配もない。
それで夢と気付いたのだったが、明かりをつけたら尿意をもよおしトイレに立った。
放尿が始まった時、ふとタツオの顔が浮かんだ。またメールが送りつけられたのかもしれない。トイレから戻ると急いで机の前に座った。パソコンを立ち上げた。
メールチェックをすると予感は当たっていた。弟からメールが届いていた。届いた時間帯も誰かの気配を玄関に感じた頃合いと重なっている。
――中野にやってきてそんなに経ってないけど、ここは便利で面白い街だね。狭い区域の中に街もあれば盛り場もある。すぐそばに下町もある。まるで都市の縮図のような街だ。兄さんがここで十年近く暮らした理由がわかる気がするよ。一人暮らしの人間は気ままにどこにでも移り住むからひとところに長居はできない。よっぽど居心地がよかったんだろうね。
僕は首をかしげた。何のつもりでこんなメール書いてよこしたかがつかめないからだった。自分にとっては何十年も前の話だ。確かに面白い街ではあった。だが、仕事が思うようにいかなかった自分にとって、決して居心地よく過ごした街なわけではない。後から思うと徒労と悔恨をメタンガスのように吐き捨ててきた街。それが中野だったからだ。
――何日ぶりかに銭湯にいってきて昨日は彼女と駅周辺を散策した。二人とも仕事が休みだったんだ。それからサンプラザの裏を通ってセントラルパークに行って食事した。野菜たっぷりのランチを食べながら、彼女とは仕事や将来の話をした。彼女は新宿の居酒屋に勤めてる。俺は昼の勤めで彼女は夜。
二十歳で家を飛び出したので兄さんたちは心配でならないだろうけど、彼女もできたし、ハンデーはあっても俺ってけっこううまく世の中を渡っているみたいだ。
舌打ちした。憮然とした思いに駆られた。
何もかもうまくいかず、独身のまま上り下りもない平坦な道を歩みだしてしまってる老境の兄をからかってでもいるのか?
だいたい、自分も四十を過ぎているのに仕事や将来の話もないだろう。何日ぶりかに銭湯にいったのなら、弟の生活ぶりがどのようなものか聞かずとも想像がつくというものだ。彼女といっても、こんなこと書いてくる以上、知り合って日も浅いに違いない。
最後の行を読んで愕然となった。
――近いうち、兄さん宅へ顔出すよ。
あいつが戻ってくると碌なことがない。僕の中で胸騒ぎが広がった。
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