雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載115)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載115)


「30だけど17です」第13話(家は売らない)⑨


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★

 部屋に戻ったウジンは軽い感激を味わっていた。mpプレーヤーは確かに安く手に入る代物だが、ソリの心配りがウジンは嬉しかった。
 シャツのボタンが目に留まる。事務所で外れかかっていたのをソリが見つけ、針と糸を使って付け直してくれた。
 あの時の何とも言えない緊張が今は満ち足りたものに変化しているのを覚える。
 うっとり気分に浸っているとチャンが部屋に顔を出した。声をかけてきた。
 しかし、その声はウジンに届かない。
 チャンは首を傾げた。
「俺の声が聞こえない?」
 ウジンは何かに打たれたように振り返る。
「どうしたんだ?」
 一瞬、チャンは度忘れする。
「何だっけ?」
 チャンは指を鳴らす。
「重要な話を忘れるとこだった」
「…?」
「俺の夢を見て」
 チャンはそう言って部屋を出ていった。

★★★


 翌日、ウジンは”(秀)アートギャラリー”に出向いた。
 ステージ製作の件だった。タブレットPCを手に案内の女性は言った。
「コーナーは大きく三つに分けます」
 会場はまだ何も施されていない。台車や脚立、その他の道具が雑然と置かれているだけだ。
 あたりを見回し、携帯を取り出した。
「テーマごとにアレンジしましょう。基本的にはシンプルな…」
 画面を覗き込んでウジンは動揺する。
「トッポッキ?」
 女性は驚いてウジンを見る。
「シンプルなトッポッキですか?」
 ウジンは苦笑する。
「いえ、すみません」
 女性は笑ってよそに目をやった。
 ウジンは画面を見て呟いた。
「当選したんだ…」
 
 事務所に引き上げてきたウジンを見てチン・ヒョンは言った。
「ご機嫌ですね」
 ウジンは事務所を見回した。
「女性陣は?」
「代表は予定変更でスリョン島へ出向きました。クラッシックの専門家を連れて」
「そうなんだ…」
 拍子抜けした表情でウジンは横をすり抜ける。
 ヒョンはウジンを目で追った。熱いコーヒーを飲みかけたらふいにウジンが振り返る。
「戻りは?」
「7時の船に乗るから9時頃かな?」
 ウジンは机上を拳で軽く叩いた。
「9時か…9時ね〜」
 ため息が出る。
「無料券の当選を知らせたいのに…携帯がない〜か」
 時刻は3時になったところだ。
 ソリの帰りを待つことになったウジンは仕事が手に付かなかった。
 携帯の時計が7時を示すとウジンは携帯を見つめて歓声を上げた。
「7時だ。ようやく船に乗ったな」
 その時、固定電話が鳴った。
「はい、代表。…えっ! 戻れない?」 
 ウジンは立ち上がった。
「どうした? 7時の船に乗ってないのか?」
 ヒョンはウジンの興奮ぶりにびっくりする。
 話を聞き終わって代表とのやりとりに戻る。
「はい、わかりました」
 ウジンはヒョンのそばに駆け付ける。
「な、な、何かあったのか?」
 ヒョンは怪訝そうにウジンを見つめ返す。
「は、波浪注意報で音楽祭は中止、船も欠航だそうです」
 そう答えて立ち上がり、給湯室に向かう。
 ウジンは携帯を取り出した。カン代表に連絡を入れた。
「おお、カン代表。いったいどういうこと?」


 電話に出たカン・ヒスはスリョン島で暴風雨にさらされていた。
「いま、宿を探しているのよ。あとで連絡する」


 連絡はプツンと途絶えた。
「おい、待ってくれって!」
 しかし、携帯はもうつながらない。ウジンはため息をつく。
「こっちも話があるっていうのに。彼女はどうしてるんだ…」


 ウジンが帰宅するとチャンが誰かと話している。
「ええ! 波浪注意報で帰ってこれないの? 俺は明日から合宿なのに…ボートで迎えに行こうか?」
 ウジンは急いで走り寄る。
「チャン、待って待って待って」
 ウジンの慌てようを見てチャンは言う。
「叔父さんが切れと言ってる。あとで電話する」
 電話を切ってからチャンは訊ねる。
「何か用?」
「いつ僕が電話を切れと…」
「えっ?」
「突然切ったら…その〜」
 落胆が先に来て文句をいう気にもなれない。
 ウジンは背を返す。
「部屋に行く」
 行きかけてやっぱり向き直る。
「お前は!」
 怒りをぶつけかけて、何とかこらえる。
 そして2階に向かった。
 ウジンを見送って「何なの?」とチャン。
 
 部屋に入ったウジンは身体に汗を感じた。
 思わず口をついて出た。
「暑い」
 雨は上がっている。
 外の風を引き入れるためにラバーカップを握った。
 しかし、ラバーカップでいくら押しても天窓は開かない。身体はますます汗にまみれた。
「ああ、もう〜、今日はツイてない」
 ため息をついていると携帯が鳴った。
 ジーンズのポケットから携帯を取り出そうとする。だが、今度は携帯がポケットからなかなか取り出せない。天窓を開けるため、台の上に乘っているから余計だった。
 取り出せたと思った瞬間、携帯は手から離れて床に落ちた。ベッドと網の衝立の間からベッド下に入り込んでしまった。
 携帯は鳴り続けている。ウジンは焦ってベッドの下から腕を伸ばした。丈の低いベッドは身体が入っていかない。両手で持ち上げようとしても大きなベッドは持ち上がらない。
 もう一度腕を伸ばし、頭をねじ込む。指先が何とか携帯に触れた。
「もしもし、カン代表」
「聞こえます?」
 ソリの声だ。
 ウジンは顔を押し込んだ。叫んだ。
「おお、よく聞こえてるよ」
「携帯が変だわ。もしもし…」
 ウジンは必死に叫ぶ。
「聞こえてるよ」


「もしもし…もしもし…」
 ソリは通信の切れた携帯を見つめた。


 ウジンはラバーカップで何とか携帯を外に引っ張り出した。急いでカン・ヒスの携帯に電話をいれる。
 しかし、電話は留守電に切り替わってつながらない。
「バッテリー切れか…?」
 ウジンは頭を抱え込んだ。 
「ほんとツイてない日だ〜」



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