韓国ドラマ「青い海の伝説」第8話⑥
第8話⑤
セファも立ち上がる。セファを見て彼はいう。
「来世では人間になって思い切り女遊びしてやる。こんな心臓を持つのは真っ平御免だ」
「私の心臓はいつまで持つの?」
「どうだろう…俺は彼女が去って2ヶ月経った。俺があとどれくらい持つかでそれも分かるだろう」
「…」
「いずれ、お前もこうなる。だから、そんな目で見るな」
セファの瞳はまた濡れ始める。
彼は言った。
「ほら、袋を」
セファは袋の中に涙を落とし続ける。
★★★
ホン・ドンビョらは車に乗り込み、張り込みを続けていた。
ドンピョの相棒が渋い顔をして言う。
「捕まりかけた場所にやってくるわけが…」
「黙ってろ!」
ドンピョは握りこぶしを振り上げる。
「ヤツは必ず現れる」
「…」
「やって来る用が何かあるはずだ」
「来たとしたらタダのバカだ」
そこへヘルメット姿でガードマン風の男が現れ、車にぶつかる。刑事らに軽く頭を下げて通り過ぎる。
「何だ…驚かすなよ」
歩き過ぎる男を見て一人がいう。
追っているマ・デヨンだが、刑事らはそれに気付かない。
標的にしてるのはジュンジェだからマ・デヨンはまた現れたわけだった。
マグカップで飲み物を用意していて、ジュンジェはナム部長の若い頃を思い浮かべた。そして彼が夢の中に登場した親友と似ているのを感じた。ジュンジェは横を向いた。目を開けた。
二人はあまりに似ている。
ジュンジェは携帯を手にする。ナム部長に電話を入れる。しかし携帯はつながらない。
やむなくメールにする。
――ずっと電話がつながりませんね。連絡ください。
酔っ払いがふらふら歩いてきてタバコを投げた。それは座っているマ・デヨンのそばに落ちた。
「拾ってくださいな」
マ・デヨンが声かける。
男は振り向く。
「俺のことか?」
「ポイ捨てはいけません
「お前に関係ないだろ。何言ってんだ!」
男はマ・デヨンに近づく。相手をやり込めようと思ったらしい。
マ・デヨンは顔を上げた。
「拾え!」
男はマ・デヨンの顔に底知れない恐怖を感じた。大人しくタバコの吸殻を拾った。そそくさ歩き去った。
マ・デヨンはポケットから携帯を取り出した。ナム部長所有の携帯だった。
彼はナム部長になりすましてジュンジェへの返信を書き始める。
――忙しかったんだ。…
「かかりやがった…」
セファは寝床の中で海の仲間とやりとりした言葉を思い返している。
「私の心臓はいつまで持つの?」
「さあな…彼女が去って2ヶ月経った。この後、俺がどうなるかで分かるさ」
「…」
「お前もこうなるんだ」
「…」
「そんな目で見るな」
セファは身体を起こす。
ジュンジェの携帯にメールが入った。
――忙しかったんだ。…話があるんだが会えないか?
返信を書き出す。
――明日の夜なら大丈夫です。何か変わったことは?
――何もないよ。じゃあ、明日な。場所はまた連絡する。
「よかった」
ジュンジェはそうつぶやいて寝転んだ。
そこにセファから声がかかった。
「ジュンジェ、起きてる?」