欽ちゃんの野球クラブ(解散)騒動は全国的なものになった。
野球の本家本元であるプロ野球がかげりを見せ始める中、このような騒動は野球人気を再び復活させてくれるのだろうか。
日本のプロ野球は国民的なスポーツと言いながら、全盛期ですら、それほど女性の支持は集めていなかったと僕は見ている。
王、長嶋の力で子供たちにまで人気の幅を広げはしたが、それは巨人オンリーの人気に留まってしまった(せいぜい阪神まで)。ほんとは王、長嶋の力を借りて、巨人以外のチームの人気も引き上げねばならなかったのである。
心ある大人たちが贔屓チームをいくら分散させたところで、大衆はなかなかそれについていかない。バックボーンのところが巨人一辺倒だったから、裾野はちっともひろがりはしない。そうするうちに長嶋、王は引退してしまい、野球は低迷期に入ってきてしまった。
欽ちゃんのやっていることを見ればいい。あれは野球人気を下町的な場所から掘り起こす作業であった。家族的な指示を集め、それは実を結びつつあった。いろんな野球人たちが欽ちゃんに習ってクラブチームをつくり、独自の活動を始めたことからしてもそれがうかがい知れよう。
ところで、欣ちゃんクラブ一員が起こした今回の不祥事はどっちに転んでいくのだろう。僕は地道に働きながら好きな野球に励む彼らの様子をテレビで見て、本当の野球人気がやってくるかもしれないと心底思った。だが、山本何がし君には裏切られた。あれは野球人気復活にはマイナスだった。偽善が見えてならない。高級マンションなんかに住みながら、よくもあの野球チームに加わっていたものだ。それは彼自身の人気取りパフォーマンスだったか、それとも必要あって欣ちゃんが引っ張ったものなのか。だとしたら、裏目である。
高級マンションに住むような人間があのチームにきちゃいけないよ。何か違うって感じがするんだ。いや、来るのはいいが、それなりの覚悟でチームに溶けていってほしかったのである。
名のある人がいい加減な気分で加わってまた不祥事を起こしたら、今度こそ、野球人気復活に水をさしてしまうだろう。そして、お金がチャラチャラ頭の上で舞うとか金儲け優先の気配が出てきたら、そこここ底辺で火のつきだした野球人気はいっぺんにしぼんでいってしまうだろう。
野球は強さや勝ち負けも大事だが、その時その時のゲーム性も大事である。そこを追求しだしている欣ちゃんらの底辺野球を僕は支持しているからこその心配である。