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韓国ドラマ「病院船」から(連載208)
「病院船」第19話➡執刀医の不在⑩
★★★
ヒョンたちは海岸の砂浜に出た。
「クァク先生、昨夜、何かあった?」
ヒョンは黙ってウンジェの手を引き続ける。
「なぜこんなことを?」
ヒョンは手を放して向き直った。ウンジェの首を手で挟み、いきなりキスをした。一瞬、抗ったウンジェだが、ヒョンの握力は強かった。まっすぐ唇を奪われた。
激しくキスしてヒョンは口を放した。
ウンジェはきょとんとヒョンを見上げた。ヒョンは嬉しさが満開だった。
「いい朝だから」
「…」
「一生に一度くらいの―最高の朝だよ」
ウンジェはそう言われても得心がいかない。だって新生児は…。
「ハンソルが回復した」
ヒョンの言葉にウンジェは驚く。表情は和らぎ次の言葉に耳をすます。
「あの子は夜通し、僕の胸の上で小さな心臓を動かそうと、懸命に頑張ったんだ」
「ほんとに?」
ウンジェの顔に喜色が浮かんだ。
「ああ」
ヒョンも笑顔を返した。
ウンジェはヒョンの胸に手のひらを押し当てた。
「じゃあ、あの子にも伝わったわね。あなたは世界一温かい心の持ち主なんだって」
ヒョンは小さく頷きはにかんだ。
2人は思い切り抱きしめ合った。
手をつないで海岸から戻って来るとウンジェの携帯が鳴った。
ウンジェは電話に出た。
「ソン先生?」
「そうですが」
「私は道庁の保健政策課長です。今日は調査委員会ですよ。お忘れですか?」
「今日なんですか?」
相手の説明を聞いてウンジェは携帯を切った。
「何の電話?」
ヒョンが訊ねる。
「…」
ウンジェは大きくため息をついた。
★★★
リハビリルームでくつろいでいるチャン会長のもとに秘書たちが駆け込んできた。
「会長、大変です」
チャン会長は読んでいた新聞を折り、秘書らを見上げた。
「何事だ…?」
ファン・インギョンは母親とともに記者会見に臨んでいた。
「私は今日、この場で病院船のソン先生とクァク先生に対する―告訴を取り下げることを発表します」
その頃、ウンジェとヒョンは道庁に顔を出し、調査委員会に臨んでいた。
「自己の原因について2人ともだんまりか…? 同意なく手術をしたんだろが!」
「いいえ。同意は得ました」
ウンジェは冷静に答えた。
「嘘をつくな」
興奮して怒鳴りたてる保健政策課長のもとに所員が駆け込んできた。何事か耳打ちした。
居丈高だった課長はちらとウンジェたちを見た。
「ほんとなのか…?」
所員は近くにあったリモコンを握った。テレビが映像と音声を流し出す。
記者が質問をぶつけている。
「告訴を取り下げた理由は何ですか? 外科医が同意なしに手術をしたのでは?」
「それは…」母親が応じた。「私が嘘をついたんです」
「何だあれは…!」
道庁の課長は記者会見の様子に動揺した。
隣席にいた巨済第一病院の医師が課長を睨みつけた。
「ろくに調べもせずに調査委員会を開くって、どういう神経です? 税金の使い方も知らないのか? バカバカしい」
医師が席を立つと他の委員も次々と席を立った。
「何かの間違いだ―ちょっと待ってくれ」
委員らは振り向きもせずに部屋を出ていった。
ウンジェとヒョンは顔を見合わせて笑った。
大型テレビの張り付いた部屋で、チャン会長も会見の様子を視聴した。
「なぜ、嘘を?」
記者らの質問は続いている。
母親が続けて答えている。
「弁護士がやって来て―お金をくれると…私が”信用できない”と言ったら、ドゥソンがついてるから大丈夫だ、と」
「ドゥソングループですか?」
「あのドゥソン?」
チャン会長は思案に沈んだ。やがて顔を上げる。担当した弁護士を睨みつける。弁護士はうろたえ、空咳を繰り返す。
チャン会長は人目を避けて車に乗り込んだ。第一病院からの退散を目論んだが、記者たちは網を張って待ち受けていた。
車の前に立ちはだかって記者らは質問を向けた。
「ひと言お願いします」
いっせいにカメラのフラッシュが炊かれる。
車は記者らを二つに割って突き進む。
記者らを背にしたところでチャン会長は秘書らに指示を出す。
「ソウルに着いたら私は入院する。お前たちはシラを切り通せ。弁護士の作り話だと言うんだ」
ファン・インギョンの”告訴取り消し”をきっかけに、ドゥソンの”遠隔診療”の試みは次々に欠陥をさらけ出した。
テレビ局の記者は第一病院の前に立ち、本日のトップニュースを伝えた。
「遠隔診療法案を念頭に、ドゥソンは自社開発した家庭用医療機器の―流通網構築を狙ったようです。昨晩、逃げるように巨済を後にしたチャン会長は、複数の公務員を買収した疑いがあります。
テレビのニュースを見ながら、道庁の知事と保健政策課長は顔を曇らせた。
「これはまずいぞ」
知事は切り出した。課長に指示を出す。
「すぐに船長を呼べ」
「…」
「誤解される前に病院船を再開した方がいい」
「…本当に誤解なんですよね?」
「誤解? 君と一緒にするな」
「何言いだすんです? 私は道知事に従っただけですよ」
「だったら、言われた通り、船長を連れて来い」
課長は船長を呼び寄せて頼みこんだ。
「船長頼むよ。会ってやってくれ」
「会う必要はないと思います」
船長は冷たい応接を見せる。
「でも、知事に会うため、夜通し待ってたでしょうが…はっははは…」
「知事はお忙しいようだ」
船長は顎をしゃくる。課長の背後から段ボールをかかえた一団がやってくる。
彼らが知事の部屋に消えた後、課長はドアに耳を押し当てた。
「収賄罪…? 私は公職に身をささげてきた高潔な人間だ」
やってきた一団に対し、知事は大きな声でシラを切っているようだった。
課長はへらへら笑いながら船長のもとにやってきた。船長の手を取った。
「離してください」
船長は冷たく言い放った。ガッツポーズを取った。
「きっちり返してやった。すっきりだ」
病院船のパク・ソヌ船長は道庁の外に出てきた。
両手拳でガッツポーズをとった。
病院船は運航の再開が決まったらしい。
「病院船」第19話➡執刀医の不在⑩
★★★
ヒョンたちは海岸の砂浜に出た。
「クァク先生、昨夜、何かあった?」
ヒョンは黙ってウンジェの手を引き続ける。
「なぜこんなことを?」
ヒョンは手を放して向き直った。ウンジェの首を手で挟み、いきなりキスをした。一瞬、抗ったウンジェだが、ヒョンの握力は強かった。まっすぐ唇を奪われた。
激しくキスしてヒョンは口を放した。
ウンジェはきょとんとヒョンを見上げた。ヒョンは嬉しさが満開だった。
「いい朝だから」
「…」
「一生に一度くらいの―最高の朝だよ」
ウンジェはそう言われても得心がいかない。だって新生児は…。
「ハンソルが回復した」
ヒョンの言葉にウンジェは驚く。表情は和らぎ次の言葉に耳をすます。
「あの子は夜通し、僕の胸の上で小さな心臓を動かそうと、懸命に頑張ったんだ」
「ほんとに?」
ウンジェの顔に喜色が浮かんだ。
「ああ」
ヒョンも笑顔を返した。
ウンジェはヒョンの胸に手のひらを押し当てた。
「じゃあ、あの子にも伝わったわね。あなたは世界一温かい心の持ち主なんだって」
ヒョンは小さく頷きはにかんだ。
2人は思い切り抱きしめ合った。
手をつないで海岸から戻って来るとウンジェの携帯が鳴った。
ウンジェは電話に出た。
「ソン先生?」
「そうですが」
「私は道庁の保健政策課長です。今日は調査委員会ですよ。お忘れですか?」
「今日なんですか?」
相手の説明を聞いてウンジェは携帯を切った。
「何の電話?」
ヒョンが訊ねる。
「…」
ウンジェは大きくため息をついた。
★★★
リハビリルームでくつろいでいるチャン会長のもとに秘書たちが駆け込んできた。
「会長、大変です」
チャン会長は読んでいた新聞を折り、秘書らを見上げた。
「何事だ…?」
ファン・インギョンは母親とともに記者会見に臨んでいた。
「私は今日、この場で病院船のソン先生とクァク先生に対する―告訴を取り下げることを発表します」
その頃、ウンジェとヒョンは道庁に顔を出し、調査委員会に臨んでいた。
「自己の原因について2人ともだんまりか…? 同意なく手術をしたんだろが!」
「いいえ。同意は得ました」
ウンジェは冷静に答えた。
「嘘をつくな」
興奮して怒鳴りたてる保健政策課長のもとに所員が駆け込んできた。何事か耳打ちした。
居丈高だった課長はちらとウンジェたちを見た。
「ほんとなのか…?」
所員は近くにあったリモコンを握った。テレビが映像と音声を流し出す。
記者が質問をぶつけている。
「告訴を取り下げた理由は何ですか? 外科医が同意なしに手術をしたのでは?」
「それは…」母親が応じた。「私が嘘をついたんです」
「何だあれは…!」
道庁の課長は記者会見の様子に動揺した。
隣席にいた巨済第一病院の医師が課長を睨みつけた。
「ろくに調べもせずに調査委員会を開くって、どういう神経です? 税金の使い方も知らないのか? バカバカしい」
医師が席を立つと他の委員も次々と席を立った。
「何かの間違いだ―ちょっと待ってくれ」
委員らは振り向きもせずに部屋を出ていった。
ウンジェとヒョンは顔を見合わせて笑った。
大型テレビの張り付いた部屋で、チャン会長も会見の様子を視聴した。
「なぜ、嘘を?」
記者らの質問は続いている。
母親が続けて答えている。
「弁護士がやって来て―お金をくれると…私が”信用できない”と言ったら、ドゥソンがついてるから大丈夫だ、と」
「ドゥソングループですか?」
「あのドゥソン?」
チャン会長は思案に沈んだ。やがて顔を上げる。担当した弁護士を睨みつける。弁護士はうろたえ、空咳を繰り返す。
チャン会長は人目を避けて車に乗り込んだ。第一病院からの退散を目論んだが、記者たちは網を張って待ち受けていた。
車の前に立ちはだかって記者らは質問を向けた。
「ひと言お願いします」
いっせいにカメラのフラッシュが炊かれる。
車は記者らを二つに割って突き進む。
記者らを背にしたところでチャン会長は秘書らに指示を出す。
「ソウルに着いたら私は入院する。お前たちはシラを切り通せ。弁護士の作り話だと言うんだ」
ファン・インギョンの”告訴取り消し”をきっかけに、ドゥソンの”遠隔診療”の試みは次々に欠陥をさらけ出した。
テレビ局の記者は第一病院の前に立ち、本日のトップニュースを伝えた。
「遠隔診療法案を念頭に、ドゥソンは自社開発した家庭用医療機器の―流通網構築を狙ったようです。昨晩、逃げるように巨済を後にしたチャン会長は、複数の公務員を買収した疑いがあります。
テレビのニュースを見ながら、道庁の知事と保健政策課長は顔を曇らせた。
「これはまずいぞ」
知事は切り出した。課長に指示を出す。
「すぐに船長を呼べ」
「…」
「誤解される前に病院船を再開した方がいい」
「…本当に誤解なんですよね?」
「誤解? 君と一緒にするな」
「何言いだすんです? 私は道知事に従っただけですよ」
「だったら、言われた通り、船長を連れて来い」
課長は船長を呼び寄せて頼みこんだ。
「船長頼むよ。会ってやってくれ」
「会う必要はないと思います」
船長は冷たい応接を見せる。
「でも、知事に会うため、夜通し待ってたでしょうが…はっははは…」
「知事はお忙しいようだ」
船長は顎をしゃくる。課長の背後から段ボールをかかえた一団がやってくる。
彼らが知事の部屋に消えた後、課長はドアに耳を押し当てた。
「収賄罪…? 私は公職に身をささげてきた高潔な人間だ」
やってきた一団に対し、知事は大きな声でシラを切っているようだった。
課長はへらへら笑いながら船長のもとにやってきた。船長の手を取った。
「離してください」
船長は冷たく言い放った。ガッツポーズを取った。
「きっちり返してやった。すっきりだ」
病院船のパク・ソヌ船長は道庁の外に出てきた。
両手拳でガッツポーズをとった。
病院船は運航の再開が決まったらしい。