春のワルツ 全話見終えての感想
NHKガイドから
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美しい自然を背景に、純粋な愛を描くユン・ソクホ監督「四季シリーズ」。ユン監督いわく、最終章の本作では「春」だからこそ「希望」を描きたかったのだとか。心に傷を抱えた人も、愛と許しによってやがて癒されていく、そんな心の温かさが描かれている。
また、メインキャラクターにはスター性あふれる新人を登用し、「春」のフレッシュさを感じさせる。
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感想
刺激的ではなかったけれど、最後まで手を抜かずていねいに描きこんだいいドラマだと思った。最後、盛り上がるような感動を期待したがそれは外れた。しかし、こんな風に未来形や希望の中に感動を押し込んでやるのも悪くないと感じた。
感動を抑制した分、作品全体に格調が生まれている。このことに充足した人は多いかもしれない。
ただ、正攻法で描いてきただけに、18話あたりから先が読めてきてしまったところがあって、そこが物足りないとも思った。
それぞれのキャラの心理過程や屈折は無理なく描かれていると思ったが、スホの父親チョンテだけがもうひとつわからなかった。役者の演技は十分過ぎるほどだが、あれほど気ままにたかりの人生をやってきた男が成功した息子に再会し、幾度か顔を合わせているうちに親としての罪悪感を揺さぶられ、次第に心を入れ替えてくるというのは何だか妙である。
それなら息子のカングとのやりとりでその辺につながる場面を用意するべきだった。
いずれにしろ、チョンテは記者会見の席であんな演説をぶつより、罪悪感を揺さぶられたまま空しく死んでいくべきであったろう。チョンテというキャラの根っこは救いようのないいやらしさから簡単に抜けてはならないところである。
終章はチョンテ抜きで用意するべきだっただろう。
結婚式の場面以降は僕的にはいらないと思うけど、蛇足にも蛇足なりの良さがあるということにする。
最後、カングが登場して女の子とかくれんぼをやっているが、男女の純粋な愛は牧歌的な世界にこそある、とのメッセージなのかもしれない。