春のワルツ 第19話「誘拐疑惑」
まずはNHKガイドより
スホが幼い頃突然姿を消し、別人ユン・ジェハとして生きてきたのは、すべて自分の手術代のためだったことを知ったウニョン。チェハが姿を消したことを知ったウニョンは、幼い頃スホとボートで流れ着いた島へチェハを探しに向かう。ウニョンが、かつて世話になった老人の家を訪ねると、チェハがそこをすでに発った後であることを聞かされる。ウニョンは急いで船着場へ向かうが、すでにフェリーは出航してしまっていた。途方に暮れたウニョンは、幼い頃スホと二人で歩いた思い出の林をあてもなく歩きだす。
チェハに加えウニョンまでもが姿を消したことを知ったイナは、二人が一緒であると思い、探し出そうと躍起になる。そんなイナを、「二人は結ばれる運命なのだからあきらめろ」と諭すフィリップ。そして、15年前スホがチェハとして生きることを決意した理由をイナに聞かせる。
その頃、ヒジンの働く新聞に、チェハの養父ミョンフンの誘拐疑惑の記事が報じられる。次期外務大臣候補ミョンフンと天才ピアニストである息子チェハのスキャンダルに、マスコミが大勢押し寄せる。
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チェハはフィリップに15年前の出来事をいっさいがっさい話す。チェハ(養子)となって外国に渡ったのは、ウニョンの手術費を出してもらうためだった、と。
チェハは記者会見に臨む。その中で、イ・スホに関する質問も飛び出す。それを何とか乗り切ったが、ユン・ジェハの「初恋の調べ」という記事が先に出たようである。イナの友人が先手で嘘をでっち上げたのだろうか。
チェハはイナに怒りをぶつけ、行方をくらましてしまう。
フィリップはウニョンを呼び出し、バスケットボールで勝負しようと切り出す。一点取られたら僕の負けだ、という勝負。一点取られたフィリップは、イ・スホがチェハとなって姿を消したのは、ウニョン、あなたの手術費のためだった、と。
それを聞かされたウニョンの目からは、ボロボロボロと涙が流れ落ちて・・・。
(18話ラストより)
自分の手術代のため、スホがユン・ジェハとなって引き取られていったことをフィリップに聞かされ、ウニョンの目からは涙が溢れた。
彼女の心からはユン・ジェハの姿は消えた。スホ・オッパーとの思い出世界が広がりだすのだった。
いろいろのことがあった。ほんとにいろいろのことがあった。
どうしてもスホ・オッパーに会わなければ・・・探して誤解していたことを謝らなければ・・・ウニョンは子供の頃、二人で流れ着いたおじいちゃんとおばあちゃんの島へ向かう。島は
昔の名残をとどめていた。
「おじいちゃん」
「誰?」
「ウニョンよ」
ウニョンが子供の頃ボートで流れ着いてケガをした話をすると、おじいちゃんはウニョンらのことを覚えていた。
「お前の兄がきた時、お前がいないな、と思ったよ」
ウニョンの顔は喜びで輝いた。せわしげに訊ねた。
「オッパーはどこにいるの?」
「船で帰ったよ。飴をやったんだ。お前にもひとつあげようか」
ウニョンは急いで船着場へ駆けて行った。しかし、折り返しの船は出て行くところだった。
途方にくれたウニョンは、思い出を噛み締めるように近くの林を歩き出す。林の中には二人の思い出の場面がたくさんたたずんでいた。
そしてある場所へやってくると、大人になったスホ・オッパーの姿が・・・。
そこからしばし二人の楽しい時間が流れる。
ウニョンに電話をかけたフィリップは携帯から流れ出す二人の楽しそうなやりとりに複雑な思いだった。しかし、愛するソ・ウニョンと親友であるユン・ジェハの二人が幸せであってくれればそれでいいと自分に言い聞かせるのだった。
泰然としているように見えるフィリップをイナは責めた。
「二人の居場所を知っているんでしょう? 私にはどうして教えてくれないの」
「僕は愛を押し付けられない」
「私はこのままでいられないわ」
探しに行こうとするイナをフィリップは強い言葉でとめた。
「やめておけ。二人は結ばれる運命にあるんだ」
スホとウニョンの一つ部屋の夜は思い出時間の襲来だった。二人は心行くまで懐かしさにひたった。ウニョンは言うのだった。
「私にはユン・ジェハでもイ・スホでもどっちでもいい。私にとってオッパーはオッパーだから」
新聞記者たちは執拗にユン・ミョンフンとユン・ジェハに関する疑惑を追っていた。
そしてついにそれが新聞のトップ記事で報道される。養子縁組の手続きを正式に踏んでいない誘拐疑惑の報道だった。
騒ぎの中、スホとウニョンの二人はソウルへ戻ってくる。ウニョンはスホを連れて戻るが、ヤンスンはスホを店に入れようとしない。妹の人生をむちゃくちゃにしたイ・ジョンテの息子だとの思いが強いからだ。
「出ていって。すぐ出ていって」
ウニョンは必死に許しをこうが、ヘスンが浮かばれない、とウニョンをも責めるヤンスンだった。
一方、チェハの育ての母であるヒョン・ジスクは、チェハを手放したくない苦悩から逃れでようとしていた。それは母であることに執着しようとしたからだ。彼女は夫(ユン・ミョンフン)にウニョンと同じような言葉を口にする。
「ユン・ジャハでもイ・スホでも私の息子であることには変わりはないわ。チェハを自由にしてあげましょう」
そう言って心穏やかに眠りを取るジスクだった。
「何が起こっているかわかっているわよね」
自分の立場を通そうとするイナは、ウニョンを呼び出し、助けをこう。
「ウニョンさん、チェハさんを助けてあげて」
彼女は続けた。
「チェハが誰といるのが幸せかわからない。考えてみてよ」
「私もオッパーの家族と居場所がなくなることを望んではいません」
「何が言いたいかわかるわよね。あなたといると、チェハさんはイ・スホだと発覚してしまうのよ。チェハさんの家族も大変なことになるのよ」
「スホ・オッパーを私のせいで苦しめたくない。オッパーが幸せならどんな決断をしても私はかまいません」
「この状況を解決できるのは私だけよ。だから、私とチェハさんが結婚できるように、ウニョンさんが彼から離れてほしいの」
自分の言い分を伝えてその場をイナだった。
(ウニョンとイナでは相手を包みこむ度量の大きさに月とスッポンほどの差があるようだ)。
スホを呼び出したウニョンは、オッパーがユン・ジェハとして生きても私にとってはオッパーに変わりはないから、と涙ながらに別れを伝える。ウニョンの涙を見たスホは・・・。
記者会見の日がやってきた。
最初の質問は「あなたの本当の名は?」というものだった。